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35話:王女の凄い部屋
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「どっしぇえ…」
どんだけの黄金を使うとこうなるんだというくらい、アンブロシア宮殿の内装のゴージャスさはハンパナイ。黄金以外の面積のほうが少ない。
水蓮を模した花模様を中心とした飾り彫刻に、ルビーやダイヤモンドを惜しみなくあしらって、これから2週間、いや、後継者になったらずっと住むことになる私の部屋の中は凄かった。煌めき度100倍増し。
部屋の中に噴水と水路、蓮の浮かぶ池があり、オスのクジャクまで歩いているよ。
隣接してある侍女の部屋もすさまじく豪華で、マドゥも驚きのあまり開いた口が全然塞がっていなかった。
「ひ、姫様ああ」
「どうしたの!?」
カイラとダミニとニシャが、慌てふためきながら駆け込んできて私に飛びついてきた。みぞおちに幸せタックルちょっと痛かった。
「あたしたちのお部屋が黄金だらけで、ベッドカバーはシルクなんですう」
大興奮しているニシャがまくし立てた。
「私たちのお部屋、姫様のすぐ近くなんですよ」
ダミニとカイラが嬉しそうににっこり微笑んだ。
「それは良かった、すぐ会える距離なんだね」
「はい!」
輝く笑顔で喜ぶ子供たち。
ソティラスといえど奴隷身分の子供たちが、王女になれなれしくしてはいけないとバークティ妃は散々言ってきた。でも、私を守るためにいる子供たちに、奴隷だからと隔たりを作るのはよくないと思うんだ。
そうバークティ妃と一週間くらい徹底口論し、ベタベタ仲良くしてもイイとお許しが出ました。もちろん時と場所は選ぶけど。
子供たちは私以上に喜んで、とくに甘えっ子なニシャは大喜びだった。
私自身に戦う力はない。子供たちを戦いの武器に造り替える力しか。実際戦うのは子供たちで、私は子供たちに守ってもらう立場なのだ。
奴隷も王女もへったくれもない。命をかけるんだから。
私が死ねば自分たちも共倒れだからじゃなく、子供たち自身が王女を守りたいと思わないといけないの。
身分だの立場だの「クソ食らえ」でございます。
「さすが王女の部屋だな、凄い豪奢だ」
アールシュ、セス、ルドラ、アヤンが部屋に入ってきた。
「ボクたちの部屋もすごかったです。あんなところで寝起きしてたら罰が当たりそう」
ルドラがげんなりと言うと、アヤンはクスクスと笑った。
「なんだかボクたちも王侯貴族になった気分です」
「みんなの部屋も奇麗でよかった」
アヤンは大きく頷いて、クジャクに気づいて珍しそうに見つめ始めた。
「セス、宮殿に見合うようその見た目を」
「変えぬわ!」
「ちぃっ」
ウシャス宮殿をかさに着てもダメか。一人浮いてるわ、ジャイアンめ。
「王女よ、これからあなたの部屋にカイラとニシャの≪分身≫がつきっきりで入る。他の≪分身≫は部屋の外などに配置するよう決めてきた」
「おっけい」
「このウシャス宮殿全体に、おそらく国王配下の≪分身≫たちがいたるところに配置されているな。だからアルジェン王子の≪分身≫が侵入してくる可能性は低いと見ていいだろう」
「え…そんなにいるん? 国王の≪分身≫たち」
「ああ、見えないようにしてあるが、かなりの数だな。さすがは1万もいるというエセキアス・アラリコだ」
「ひえ…」
アールシュは肩をすくめて苦笑する。ううん、忍者みたいに隠れみの術、とかやってるんだろうか。
24時間常に監視されてるんじゃ胃に穴があきそうよ。
「とりあえず今日はもう寝よっか。車に座りっぱなしだったから疲れちゃった」
子供たちともっと話していたかったけど、眠気のほうが勝ってしまった。
「そうですね。もう寝ましょう」
「みんなおやすみ~」
「おやすみなさい、姫様」
「おやすみなさい」
カイラとニシャの≪分身≫だけ残し、子供たちは部屋を出て行った。
「≪分身≫は寝なくて平気なんだっけ?」
「はい。一生寝なくても大丈夫みたいですよ。というより眠気が全くなくって」
「…それは」
にっこりと答えるカイラの≪分身≫に、思わず引き攣った笑みを向けた。
分身ではあるけど、全く別の生き物なんだなあとしみじみ思いました。
どんだけの黄金を使うとこうなるんだというくらい、アンブロシア宮殿の内装のゴージャスさはハンパナイ。黄金以外の面積のほうが少ない。
水蓮を模した花模様を中心とした飾り彫刻に、ルビーやダイヤモンドを惜しみなくあしらって、これから2週間、いや、後継者になったらずっと住むことになる私の部屋の中は凄かった。煌めき度100倍増し。
部屋の中に噴水と水路、蓮の浮かぶ池があり、オスのクジャクまで歩いているよ。
隣接してある侍女の部屋もすさまじく豪華で、マドゥも驚きのあまり開いた口が全然塞がっていなかった。
「ひ、姫様ああ」
「どうしたの!?」
カイラとダミニとニシャが、慌てふためきながら駆け込んできて私に飛びついてきた。みぞおちに幸せタックルちょっと痛かった。
「あたしたちのお部屋が黄金だらけで、ベッドカバーはシルクなんですう」
大興奮しているニシャがまくし立てた。
「私たちのお部屋、姫様のすぐ近くなんですよ」
ダミニとカイラが嬉しそうににっこり微笑んだ。
「それは良かった、すぐ会える距離なんだね」
「はい!」
輝く笑顔で喜ぶ子供たち。
ソティラスといえど奴隷身分の子供たちが、王女になれなれしくしてはいけないとバークティ妃は散々言ってきた。でも、私を守るためにいる子供たちに、奴隷だからと隔たりを作るのはよくないと思うんだ。
そうバークティ妃と一週間くらい徹底口論し、ベタベタ仲良くしてもイイとお許しが出ました。もちろん時と場所は選ぶけど。
子供たちは私以上に喜んで、とくに甘えっ子なニシャは大喜びだった。
私自身に戦う力はない。子供たちを戦いの武器に造り替える力しか。実際戦うのは子供たちで、私は子供たちに守ってもらう立場なのだ。
奴隷も王女もへったくれもない。命をかけるんだから。
私が死ねば自分たちも共倒れだからじゃなく、子供たち自身が王女を守りたいと思わないといけないの。
身分だの立場だの「クソ食らえ」でございます。
「さすが王女の部屋だな、凄い豪奢だ」
アールシュ、セス、ルドラ、アヤンが部屋に入ってきた。
「ボクたちの部屋もすごかったです。あんなところで寝起きしてたら罰が当たりそう」
ルドラがげんなりと言うと、アヤンはクスクスと笑った。
「なんだかボクたちも王侯貴族になった気分です」
「みんなの部屋も奇麗でよかった」
アヤンは大きく頷いて、クジャクに気づいて珍しそうに見つめ始めた。
「セス、宮殿に見合うようその見た目を」
「変えぬわ!」
「ちぃっ」
ウシャス宮殿をかさに着てもダメか。一人浮いてるわ、ジャイアンめ。
「王女よ、これからあなたの部屋にカイラとニシャの≪分身≫がつきっきりで入る。他の≪分身≫は部屋の外などに配置するよう決めてきた」
「おっけい」
「このウシャス宮殿全体に、おそらく国王配下の≪分身≫たちがいたるところに配置されているな。だからアルジェン王子の≪分身≫が侵入してくる可能性は低いと見ていいだろう」
「え…そんなにいるん? 国王の≪分身≫たち」
「ああ、見えないようにしてあるが、かなりの数だな。さすがは1万もいるというエセキアス・アラリコだ」
「ひえ…」
アールシュは肩をすくめて苦笑する。ううん、忍者みたいに隠れみの術、とかやってるんだろうか。
24時間常に監視されてるんじゃ胃に穴があきそうよ。
「とりあえず今日はもう寝よっか。車に座りっぱなしだったから疲れちゃった」
子供たちともっと話していたかったけど、眠気のほうが勝ってしまった。
「そうですね。もう寝ましょう」
「みんなおやすみ~」
「おやすみなさい、姫様」
「おやすみなさい」
カイラとニシャの≪分身≫だけ残し、子供たちは部屋を出て行った。
「≪分身≫は寝なくて平気なんだっけ?」
「はい。一生寝なくても大丈夫みたいですよ。というより眠気が全くなくって」
「…それは」
にっこりと答えるカイラの≪分身≫に、思わず引き攣った笑みを向けた。
分身ではあるけど、全く別の生き物なんだなあとしみじみ思いました。
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