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5話:頑張っちゃうかあ!!
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マドゥに案内されて、先ほどの部屋に戻った。もともとシャンティ王女が使っていた部屋らしい。
「ご用がありましたら、そこのベルを鳴らしてください。すぐに参ります」
「ありがとう」
マドゥが下がり、身体をぐるぐる巻いているサリーをバサッと脱ぎ捨てた。
「動きづらい!」
ぴったぴたに身体にフィットするTシャツとダボダボのズボンだけになると、長椅子にごろーんと横になった。
シルクのカバーできっと最高級品なのかもしれない長椅子だが、身体に馴染んだ故郷のソファが恋しい。どうせ生まれも育ちも庶民だし。
「さて…、とんでもないことになっちゃった」
凄い巨大な王国の王女に改造されて、半年後に死ぬ世継ぎに代わって、自分がその座に就く。そしてゆくゆくはこの国の女王になるという、とてつもない計画。
バークティ妃の話しぶりからして、単に玉座を欲してのことではなく、故郷を奴隷身分から解放したいという必死な願いからきているのは伝わってきた。その為にラタ王女を毒殺しようとしている。
「きっと、色々と準備してきたんだろうなあ…」
故郷は侵略され、奴隷にされ、敵国の王の側室にされた。バークティ妃はさぞ悔しかっただろうと思う。
私が生まれたときは、日本はすでに平和な国で、他国に侵略されるという恐怖はなかった。それに奴隷に堕とされることもなく、毎日平和に過ごしていた。
正直想像の域を出ない話だ。
「きっともう帰れないし、この姿で帰っても大変なことになりそう。お母さんのノリからして、警察に通報されちゃうわ…。あまりにも現実離れしすぎてまだ腹は括れないけど、やるしかないのよね、タブン」
バークティ妃の気持ちも少しは判るつもりだし、女王になるのもなんだか興味がある。日本だとそんな就職先はナイ。考えてること以上に大変なことだろうけど、もうどっぷり船に足を突っ込んでいるんだからやるしかない。
「よおーし! 頑張っちゃうかあ!!」
***
陽が陰ったころマドゥが迎えに来て、夕食のために食堂へ案内された。
当然サリーはまた着せられてしまった。
大広間のような食堂は豪華絢爛、黄金の光が飛び交いすぎて眩しすぎる。内装以外にも食卓の上の黄金圧が凄まじい。
「わお…」
かつて映画で見た、ちょー長いテーブルに金の食器が並べられたシーンを思い出した。きっと、あの黄金のスープポットには、サルの脳みそスープとか、目玉が入っているにチガイない。
そんなゲテモノ、食べられるわけがアリマセン。
テーブルにつくと、対面にはバークティ妃が座ってニコリと笑んでいた。
色々なものがインドみたいなので、食事もきっと手づかみだろうと思っていると、左右に黄金のフォークやナイフがズラズラと並びだし、頭の中に”テーブルマナー”という言葉が浮かんで生唾を飲み込んだ。
テーブルマナーなんて知らないんです。
暫くすると、地味な恰好をした女性たちが、料理の盆を持ってテーブルに並べ始めた。
私の前に、丸い黄金の盆がスッと置かれた。
「インド料理?」
テレビで見たことのある、ナンと小皿に盛られたカレー各種。
「食べ方は判るかしら?」
「うんと、このナンを千切ってカレー付けて食べるんだよね?」
「あっているわ。もし食べづらかったら、フォークやスプーンを使ってね」
「はーい」
ヨカッタ、手づかみ万歳。
しかし、ナンとかカレーとか、名称はどっちの世界も共通なようで助かる。
盆に乗ったカレーの小皿は10個もある。日本のカレーとは違うという知識だけはあるけど、実際に食べるのは初めてだ。
色んなスパイスの香りが凄かったけど、味は意外と食べやすくて美味しい。
野菜や魚のカレーで、欲を言えば肉のカレーもほしかった。まさか、宗教上で食べてはいけない食材に肉とかあるんだろうか。そこは異世界ということでナシにしてほしいと思う。
そんな私の表情で察したのか、
「ふふ、シャンティは肉が嫌いだったの。あなたは食べられそうだから、次からは肉料理も出すように言うわね」
「ありがとう…」
顔ががっついていたのかと思い、なんだかちょっと気恥ずかしかった。
最初は少なく感じていた盆の中身は、全て食べ終えると満腹になっていた。盛りに盛られたフルーツやアイスクリームなど、全く手が伸びないくらいに。
「一緒にお風呂に入りましょうか」
バークティ妃に誘われて、一緒にお風呂に入ることになった。
「ご用がありましたら、そこのベルを鳴らしてください。すぐに参ります」
「ありがとう」
マドゥが下がり、身体をぐるぐる巻いているサリーをバサッと脱ぎ捨てた。
「動きづらい!」
ぴったぴたに身体にフィットするTシャツとダボダボのズボンだけになると、長椅子にごろーんと横になった。
シルクのカバーできっと最高級品なのかもしれない長椅子だが、身体に馴染んだ故郷のソファが恋しい。どうせ生まれも育ちも庶民だし。
「さて…、とんでもないことになっちゃった」
凄い巨大な王国の王女に改造されて、半年後に死ぬ世継ぎに代わって、自分がその座に就く。そしてゆくゆくはこの国の女王になるという、とてつもない計画。
バークティ妃の話しぶりからして、単に玉座を欲してのことではなく、故郷を奴隷身分から解放したいという必死な願いからきているのは伝わってきた。その為にラタ王女を毒殺しようとしている。
「きっと、色々と準備してきたんだろうなあ…」
故郷は侵略され、奴隷にされ、敵国の王の側室にされた。バークティ妃はさぞ悔しかっただろうと思う。
私が生まれたときは、日本はすでに平和な国で、他国に侵略されるという恐怖はなかった。それに奴隷に堕とされることもなく、毎日平和に過ごしていた。
正直想像の域を出ない話だ。
「きっともう帰れないし、この姿で帰っても大変なことになりそう。お母さんのノリからして、警察に通報されちゃうわ…。あまりにも現実離れしすぎてまだ腹は括れないけど、やるしかないのよね、タブン」
バークティ妃の気持ちも少しは判るつもりだし、女王になるのもなんだか興味がある。日本だとそんな就職先はナイ。考えてること以上に大変なことだろうけど、もうどっぷり船に足を突っ込んでいるんだからやるしかない。
「よおーし! 頑張っちゃうかあ!!」
***
陽が陰ったころマドゥが迎えに来て、夕食のために食堂へ案内された。
当然サリーはまた着せられてしまった。
大広間のような食堂は豪華絢爛、黄金の光が飛び交いすぎて眩しすぎる。内装以外にも食卓の上の黄金圧が凄まじい。
「わお…」
かつて映画で見た、ちょー長いテーブルに金の食器が並べられたシーンを思い出した。きっと、あの黄金のスープポットには、サルの脳みそスープとか、目玉が入っているにチガイない。
そんなゲテモノ、食べられるわけがアリマセン。
テーブルにつくと、対面にはバークティ妃が座ってニコリと笑んでいた。
色々なものがインドみたいなので、食事もきっと手づかみだろうと思っていると、左右に黄金のフォークやナイフがズラズラと並びだし、頭の中に”テーブルマナー”という言葉が浮かんで生唾を飲み込んだ。
テーブルマナーなんて知らないんです。
暫くすると、地味な恰好をした女性たちが、料理の盆を持ってテーブルに並べ始めた。
私の前に、丸い黄金の盆がスッと置かれた。
「インド料理?」
テレビで見たことのある、ナンと小皿に盛られたカレー各種。
「食べ方は判るかしら?」
「うんと、このナンを千切ってカレー付けて食べるんだよね?」
「あっているわ。もし食べづらかったら、フォークやスプーンを使ってね」
「はーい」
ヨカッタ、手づかみ万歳。
しかし、ナンとかカレーとか、名称はどっちの世界も共通なようで助かる。
盆に乗ったカレーの小皿は10個もある。日本のカレーとは違うという知識だけはあるけど、実際に食べるのは初めてだ。
色んなスパイスの香りが凄かったけど、味は意外と食べやすくて美味しい。
野菜や魚のカレーで、欲を言えば肉のカレーもほしかった。まさか、宗教上で食べてはいけない食材に肉とかあるんだろうか。そこは異世界ということでナシにしてほしいと思う。
そんな私の表情で察したのか、
「ふふ、シャンティは肉が嫌いだったの。あなたは食べられそうだから、次からは肉料理も出すように言うわね」
「ありがとう…」
顔ががっついていたのかと思い、なんだかちょっと気恥ずかしかった。
最初は少なく感じていた盆の中身は、全て食べ終えると満腹になっていた。盛りに盛られたフルーツやアイスクリームなど、全く手が伸びないくらいに。
「一緒にお風呂に入りましょうか」
バークティ妃に誘われて、一緒にお風呂に入ることになった。
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