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2話:目が覚めたら別人になってました
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目が覚めるとまだ怠さが残っていて、ベッドに寝ていると気づくのに少し遅れた。
「ぬう…なによ背骨に悪そうなこの柔らかすぎるベッドは」
寝返りをうとうとすると、ずぶっと沈み込みそうになるほど敷布団が柔らかすぎる。これは長時間寝てると身体が痛くなる系だ。
身体を起こしてベッドからはいずり出る。そして室内を見てげんなりした。
「…マ、マハラジャ~??」
壁や天井は黄金でキンキラキン、テーブルや椅子も黄金でキンキラキン、床は深紅の絨毯、虎を一頭毛皮をまるごと剥いだような敷物まである。
昔見たインド映画に出てきたマハラジャの宮殿の一部みたいな感じで、感激を通り越して口がひきつった。
「ちょっとお母さん、DIYやりすぎでしょ…」
ツッコミしてみるものの、DIY好きとはいえ母親にこれは無理だろう。庶民のDIYとはレベルが違いすぎる。
フラフラと室内を歩いていると、金色のテーブルの上にハワイ行きの航空券が置いてあった。
「ハワイ…」
くしゃっとなったハワイ行きの航空券を見つめていると、
「お目覚めになりましたか」
そう声をかけられた。
ショッキングピンクの布地に金色の派手な刺繍を施された、動きやすそうな服を着た女の子がドアのところに立っていた。
「お加減は如何ですか?」
重ねて丁寧に訊ねられ、気持ちがちょっと落ち着いた。
「あ、うん。ちょっと怠いけど、だいじょうぶだよ」
「一週間も眠られていたからでしょう。お飲み物などをご用意いたします。奥様を呼んでまいりますね」
そう言って女の子は身をひるがえして消えてしまった。
「えーっと……」
さらりと衝撃的発言を聞いたような…
「一週間!?」
まず冷静に冷静に思い出す。こんなキンキラした部屋の内装に驚いている場合じゃない。
「えと、地震が起きて居間に光が乱舞して、目を閉じて、開けたらキンキラした部屋にいて…」
そして目の前にいた美女にブドウジュースを勧められるままに飲んだら、死にそうなほど痛い思いをして気絶した。
「そうだよ、毒飲まされたんだよ毒!」
死にはしなかったけど、死にそうな思いを味わったほど苦しかった。
「ううん…それで一週間も寝ちゃったのかあ~。そんなに寝たの生まれて初めてだよお。寝過ぎると身体痛むし、腰痛いい」
トントン、と握り拳で腰のあたりを叩き、そしてあることに気づいて仰天する。
腰まで届く長い髪、それは変わりはないんだけど、どう見ても色がおかしい。
キョロキョロと室内を見回すと、姿見の鏡を見つけたので走り寄る。
「ンなっ!」
鏡に映った自分を見てギョッと目を剥いた。
「誰さ!?」
黄緑色と緑色の中間くらいの明るい緑色の髪に、やや褐色の肌、宝石のように澄んだ青い瞳、今までとは違う顔立ち。
「ふっ。よ、よし。最近アニメの見過ぎでちょっと妄想癖入っちゃってるんだな。ウン、コスプレしちゃってる夢を見てるんだよ。だって、この部屋自体なんか現実的じゃないし、この見た目も誰よってカンジ。あはははは」
セルフツッコミに納得しようとするが、どこか苦しい言い訳のような感じが払拭できないでいる自分に気づいていた。
「これ絶対ヤバイって…。いくら田舎のJKでもこの見た目は校則違反過ぎるよ。まだ私一年生だよ、これじゃ停学処分か退学になっちゃうじゃん! お母さんもお父さんもショックでぶっ倒れちゃう」
「あらあら大丈夫よ。もう学校へ戻らなくていいんだから」
「なぬ?」
声のほうへ振り向くと、ゴージャスなキンキラ派手衣装に身を包んだ美女が、ニコニコと笑顔を張り付けて立っている。
「あ、ジュースの人!」
あのブドウジュースを勧めてきた美女!
「一週間も眠っていて心配したのよ。元気そうで安心したわ」
怠さは残ってるし、現在頭の中がカオスだけど身体は元気っぽい。
「色々お話をしましょう。こちらへ来て」
美女が優雅に手を差し出す。ジュースを飲んでぶっ倒れた件もあるので警戒してみたが、自分の置かれた現状を早く知りたくて、美女の手をとった。
「ぬう…なによ背骨に悪そうなこの柔らかすぎるベッドは」
寝返りをうとうとすると、ずぶっと沈み込みそうになるほど敷布団が柔らかすぎる。これは長時間寝てると身体が痛くなる系だ。
身体を起こしてベッドからはいずり出る。そして室内を見てげんなりした。
「…マ、マハラジャ~??」
壁や天井は黄金でキンキラキン、テーブルや椅子も黄金でキンキラキン、床は深紅の絨毯、虎を一頭毛皮をまるごと剥いだような敷物まである。
昔見たインド映画に出てきたマハラジャの宮殿の一部みたいな感じで、感激を通り越して口がひきつった。
「ちょっとお母さん、DIYやりすぎでしょ…」
ツッコミしてみるものの、DIY好きとはいえ母親にこれは無理だろう。庶民のDIYとはレベルが違いすぎる。
フラフラと室内を歩いていると、金色のテーブルの上にハワイ行きの航空券が置いてあった。
「ハワイ…」
くしゃっとなったハワイ行きの航空券を見つめていると、
「お目覚めになりましたか」
そう声をかけられた。
ショッキングピンクの布地に金色の派手な刺繍を施された、動きやすそうな服を着た女の子がドアのところに立っていた。
「お加減は如何ですか?」
重ねて丁寧に訊ねられ、気持ちがちょっと落ち着いた。
「あ、うん。ちょっと怠いけど、だいじょうぶだよ」
「一週間も眠られていたからでしょう。お飲み物などをご用意いたします。奥様を呼んでまいりますね」
そう言って女の子は身をひるがえして消えてしまった。
「えーっと……」
さらりと衝撃的発言を聞いたような…
「一週間!?」
まず冷静に冷静に思い出す。こんなキンキラした部屋の内装に驚いている場合じゃない。
「えと、地震が起きて居間に光が乱舞して、目を閉じて、開けたらキンキラした部屋にいて…」
そして目の前にいた美女にブドウジュースを勧められるままに飲んだら、死にそうなほど痛い思いをして気絶した。
「そうだよ、毒飲まされたんだよ毒!」
死にはしなかったけど、死にそうな思いを味わったほど苦しかった。
「ううん…それで一週間も寝ちゃったのかあ~。そんなに寝たの生まれて初めてだよお。寝過ぎると身体痛むし、腰痛いい」
トントン、と握り拳で腰のあたりを叩き、そしてあることに気づいて仰天する。
腰まで届く長い髪、それは変わりはないんだけど、どう見ても色がおかしい。
キョロキョロと室内を見回すと、姿見の鏡を見つけたので走り寄る。
「ンなっ!」
鏡に映った自分を見てギョッと目を剥いた。
「誰さ!?」
黄緑色と緑色の中間くらいの明るい緑色の髪に、やや褐色の肌、宝石のように澄んだ青い瞳、今までとは違う顔立ち。
「ふっ。よ、よし。最近アニメの見過ぎでちょっと妄想癖入っちゃってるんだな。ウン、コスプレしちゃってる夢を見てるんだよ。だって、この部屋自体なんか現実的じゃないし、この見た目も誰よってカンジ。あはははは」
セルフツッコミに納得しようとするが、どこか苦しい言い訳のような感じが払拭できないでいる自分に気づいていた。
「これ絶対ヤバイって…。いくら田舎のJKでもこの見た目は校則違反過ぎるよ。まだ私一年生だよ、これじゃ停学処分か退学になっちゃうじゃん! お母さんもお父さんもショックでぶっ倒れちゃう」
「あらあら大丈夫よ。もう学校へ戻らなくていいんだから」
「なぬ?」
声のほうへ振り向くと、ゴージャスなキンキラ派手衣装に身を包んだ美女が、ニコニコと笑顔を張り付けて立っている。
「あ、ジュースの人!」
あのブドウジュースを勧めてきた美女!
「一週間も眠っていて心配したのよ。元気そうで安心したわ」
怠さは残ってるし、現在頭の中がカオスだけど身体は元気っぽい。
「色々お話をしましょう。こちらへ来て」
美女が優雅に手を差し出す。ジュースを飲んでぶっ倒れた件もあるので警戒してみたが、自分の置かれた現状を早く知りたくて、美女の手をとった。
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