上 下
6 / 6

記憶の中のあたし2

しおりを挟む

 筆頭は紅茶の名前である。基本紅茶の名前はその土地の名前が付いているのである。
 感の良い諸君だったら分かると思う。私も昔読んでて突っ込んだ事が多々あるのは言うまでもない。
 異世界転移や転生ものには付き物であるが、ダージリン、ニルギリ、アッサム、セイロン、ヌワラエリア、などなどはその土地の名前などである。
 普通に「今日はダージリンティーをお願いね」などと言うのはぶっちゃけおかしいのである。
 日本人の感覚的なイメージでするっと受け入れてしまうが、日本産版で当てはめて表すと「今日のお茶? うーん、どれがいいかしら。狭山茶セイロン宇治茶アッサム静岡茶ニルギリ……八女茶ダージリンにするわ」こんな感じで違和感バリバリとなる。

 そうなると、この世界は純粋な異世界ではなく、地球を知る誰かの考えた世界であるかもしれない。
 もしくは、先人の内誰かが異世界転生チートで食生活を作り上げたというパターンもある。あくまで予測なので実際はどうかはわからないが。
 食生活はぶっちゃけ日本やヨーロッパ寄りの物が広がっている。南米系やインド系の香辛料を使ったものは少ない。カレーなどもない。現在の私は、おこちゃま(6歳)でなの辛い物に目移りしないので、殆ど口に出さなかった。思い出したが、その後食べたいと思わなかったから記憶の本棚にしまい込んだままだった。

 ぼへーっと流れる雲を見てて。
「あ。カレーライスみたいな雲! あれ? カレーって無いよね?」
 セルフ突っ込みの自分の言葉で、転生したことを思い出すってどうなのさ?
 まぁ、痛いのは嫌だからいいか。と自己完結して緑の匂いを胸に吸い込みつつ、ごろごろと転がった昼下がりだった。

しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。


処理中です...