推しが尊いから始まる異世界転生

恋人

　「こ、恋人！？」

　僕は、転生して早々、前世でも出したことがない程の大きな声を出した。

　彼と恋人なんか、幸せすぎる！なにこの天国みたいな場所！

　夢なの？いや、でも、しっかり殺されたよな。

　「いきなりそんな馬鹿みたいな大きな声を出すなよ。まぁ、一見元気そうだけど、おかしいところもあるみたいだな。医者に言っておくよ。」

　やはり、記憶がない人のように思われている。まぁ、実際転生してここへ来たのだから、僕が乗り移った人は元々どんな人であったとか、その人の記憶は全く知らない。

　つまり、記憶喪失と言われても、確かにその通りであるのだ。否定のしようがない。

　ラミ君。ちがう、恋人のミラノは部屋を出た。さて、こっからどうするのか。流れに身を任せてよいのだろうか。



　その後、医者が部屋に来て(それも、結構偉そうな医者であった)、色々と診察された。だが、体調は良好。むしろ健康体と言っても過言ではないほどのようだった。

　転生したおかげで、元々の身体が元気になったのだろうか。

　「では、記憶の方は、少しずつ取り戻していきましょう。親族との会話や、社交をしていけば、段々と戻ってくるはずです。」

　よし。それで関係とか、立場とか、色々知ることが出きるな。自分のこともよく分からないし。何とか、和めるようにしたい。

　そして、和めば、ただただ大好きなラミ君のドッペルゲンガー(？)と楽しい、幸せな日々を過ごせるのだ！



　ｷﾞｨｨｨｨ

　ドアが、ゆっくりと開いた。今は、深夜で緊急時以外は他人の部屋に入ることは禁止されているはず。

　誰だ？というか、何のようだ？

　「俺だよ。ミラノだ。」

　「み、ミラノ……」

　「お前が最近疲れてるのは、ストレスのせいなんじゃないかって。最近思ってな。だから、少しでもお前のストレスを和らげることが出来ればと思って。」

　「え！？」

　ランプの光で照らされたミラノは、バスローブで露出激しめのミラノだった。

　「気持ちよくさせてやる……」