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第7話 再会3日後~何も知らない男~ レオン視点(2)

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「な……っ。なぁ……っっ!?」

 ただだた、呆然とする事しかできない。
 このフィッティングルームには、ルシィが入ったはずだ。なのにどうして、出てきたのはこの男……!?

「ど、どうなっているんだ……。なぜその中に、貴様がいる……!?」
「答えは、実にシンプル。お前がそっちで着替えている間に、入れ替わったんだよ。他意しかない、ルシィに似合いもしない服を着せないためにな」
「っっ!? どうしてお前がソレを知っている……っ!? お前は何も知らないはずで――んなっっ!? る、ルシィ……。どうして、君は……。エリオットの隣に行くんだ……!?」

 フィッテングルームの陰にいた彼女は、僕ではなくアイツの傍で立っている。
 ソイツを誰よりも忌み嫌い、この僕を誰よりも愛しているというのに……! 何が起きているんだ……!?

「レオン様、私にかかっていた催眠は一昨日に解けているんです。エリオット君が私を救ってくれて、何もかも知っているのですよ」

 夜会での細工――。アリー・ベイズナとの結託――。アリーの目的――。僕の目的――。隠していた事全てが、淡々と語られた。

「残念ながら、幼馴染の目は誤魔化せない。あの夜俺はルシィの異変に気付いていて、ずっと操れたフリをしてたんだよ」
「…………な…………」

 あの術は、その道のプロでも感知できないはず。それを、悟っていただと……!?

「アリーへの告白も、全部意図的にしたもの。敢えてお望み通り動いて注意を逸らし、この3か月間ずっと方法を探してたんだよ」
「……ば、バカな……! たった3か月だなんて、有り得ない……!!」

 他の宰相候補を蹴落とすための方法を留学中ずっと探し、やっと見つけたんだぞ! それを他国のコイツが、たった3でだと……!?

「うそだ……。物理的に、おかしい……! うそに決まっている……!!」
「大切な人の人生が、心と体が、かかってるんだ。昼夜問わず死に物狂いで動き回って、数日前に見つけた。……レオン。てめぇとは、抱えてるものが違うんだよ」

 ヤツはルシィの手を握りながらこちらを鋭く睨みつけ、「以上で、入れ替わりに関するご説明はお仕舞いだ」「ここからは、その後についての説明をしてやるよ」と告げる。そうしたら、どこからともなく6人の男達が現れて――!? おもわず、息を呑んでしまう。
 その集団の先頭にいる、獅子のような雄々しさを持つ男。コイツは――この御方は、バシル・リンカーズ様。この国の、第2王子殿下だ……。

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