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第5話 始まる救済(2)
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「お嬢様」
「ええ、サポートをありがとう。……それじゃあノワール、目覚めの時間よ。『形態移行(チェンジ)』」
小さな黒鍵に口づけすると、鍵は杖へと変化。全長50センチの物体となったソレをエリスは両手で携え、涼子の胸元をまっすぐ見ます。
「あの……。これ、は……? それを、どうするの、ですか……?」
「これからコレをね、貴女に――。今あたしが見ている場所、貴女の胸元に差し込むの」
「ええ!? だ、だいじょうぶ、なんです、よね……? 死んだり、しない、ですよね……?」
「もちろん。死んでしまうことはないし、そもそも痛みもなければあとあと異変が起きることだってないわ。安心して頂戴」
穏やかな声音で改めて不安を払拭させて、実行。鍵状の先端が涼子の胸へと入り込み、まずは右へと90度と回転します。
「ノワール、いくわよ。『心域解放(オープン)』」
その声を切っ掛けとして、涼子の肉体はまばゆく発光。それを合図に涼子は僅かに宙に浮かび上がり、
((なんだろ、これ……。ふわふわする……。心が、開いてる……。そんな、感じ……))
大きな解放感を経験しながら身を委ね、そうしていると杖は更に回転。もう一度右方向へと90度、計180度回りました。
「ノワール、もう一ついくわよ。『負情吸引(ドレイン)』」
((ぁ……。胸の奥の、熱が……。ドロドロしたものが、出て行く……。スゥっと、する……。落ち着く……))
次にやって来るのは、適度な心地よさ。おもわず安心の息を吐いていると真っ黒い塊が肉体から吸い出され、以上で作業はお仕舞い。
加藤百合によって体内に溜まってしまっていた負の感情は、全て体外へと出ていったのでした。今後あのようなモヤモヤで苦しむことは、なくなったのでした――。
「ええ、サポートをありがとう。……それじゃあノワール、目覚めの時間よ。『形態移行(チェンジ)』」
小さな黒鍵に口づけすると、鍵は杖へと変化。全長50センチの物体となったソレをエリスは両手で携え、涼子の胸元をまっすぐ見ます。
「あの……。これ、は……? それを、どうするの、ですか……?」
「これからコレをね、貴女に――。今あたしが見ている場所、貴女の胸元に差し込むの」
「ええ!? だ、だいじょうぶ、なんです、よね……? 死んだり、しない、ですよね……?」
「もちろん。死んでしまうことはないし、そもそも痛みもなければあとあと異変が起きることだってないわ。安心して頂戴」
穏やかな声音で改めて不安を払拭させて、実行。鍵状の先端が涼子の胸へと入り込み、まずは右へと90度と回転します。
「ノワール、いくわよ。『心域解放(オープン)』」
その声を切っ掛けとして、涼子の肉体はまばゆく発光。それを合図に涼子は僅かに宙に浮かび上がり、
((なんだろ、これ……。ふわふわする……。心が、開いてる……。そんな、感じ……))
大きな解放感を経験しながら身を委ね、そうしていると杖は更に回転。もう一度右方向へと90度、計180度回りました。
「ノワール、もう一ついくわよ。『負情吸引(ドレイン)』」
((ぁ……。胸の奥の、熱が……。ドロドロしたものが、出て行く……。スゥっと、する……。落ち着く……))
次にやって来るのは、適度な心地よさ。おもわず安心の息を吐いていると真っ黒い塊が肉体から吸い出され、以上で作業はお仕舞い。
加藤百合によって体内に溜まってしまっていた負の感情は、全て体外へと出ていったのでした。今後あのようなモヤモヤで苦しむことは、なくなったのでした――。
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