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エピローグ 結婚式 ユリウス視点
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((……綺麗だ。真白の百合のように))
オルガンの音色に合わせて、ヴァージンロードを歩むクララ。最愛の人を見つめていると、改めて、自然とこんな感想が浮かび上がってきた。
これまでも彼女は、充分に美しかった。だが、1年前――。ちょうどマーガレットに理解をさせたあの辺りから、更に磨きがかかった。
『私、目標が出来たの。だからね、様々なレッスンを頑張れてしまうのよ』
タイトなスケジュールとなってしまう日が、よくあった。けれどクララは幸せそうにそう答え、急激な成長を――進化を遂げていった。
だから、それは必然といえる。
そんなクララ・テリアは現在、ちょっとした有名人。公爵家や王家主催のお茶会など様々な席に招待され、お歴々の御息女のお手本にしたい、と絶賛されている。
だから。それもまた、必然といえる。
そんな姿に感化され、俺も自分自身に磨きをかけた。
自分は元々物事の俯瞰を得意としており、そこを徹底的に伸ばした。そうして数日前に行われた審査で主席を取り、王太子殿下の補佐官として王城で勤務することが決まったのだ。
もともと補佐官を目指してはいたが、殿下に遣えるつもりはなかった――その器ではないと考えていた。けれどクララの姿を見たことで自分自身も高みを目指すと決め、彼女のおかげで上げたハードルを越えることができたのだ。
「……ありがとう、クララ。君のおかげだよ」
祭壇の前で待つ俺の前へと来てくれた、最愛の人。彼女にまずはそう伝え、そうすると――。
「こちらこそ、ありがとう。今の私がいるのは、貴方のおかげよ」
彼女はパチリと片目を瞑り、品よく微笑んだ。
「ユリウスがあんなにも愛し想ってくれているから、努力をしたくなるの。貴方は最高のパートナーだわ」
「それは、俺も同じだよ。ただ……。あんなにも? それは一体……?」
「ふふっ、そこは内緒。……牧師様がお待ちよ。始めましょ」
気にはなるが、このままでは進行が乱れてしまう。そのため頷いて誓約やリングの交換を済ませ、口づけを交わすことになった。のだが――。
ベールアップを行っていると、
(ユリウス。これからも私は、あの頃の私を超えてていくわ。目標は300クララよ)
何かを呟き、彼女はくすりと微笑んだ。
「? クララ? 今、なんて言ったんだい?」
「愛してくれてありがとうっていう、独り言よ。…………ユリウス。愛してます」
「俺もだよ。世界中の誰よりも、クララを愛しています」
俺達は目を細めて言葉を交わし、目を閉じて――キス。互いのぬくもりを感じながら夫婦となり、2人で歩む新たな人生が始まったのだった。
素敵な人が居てくれるから、俺も頑張ることができる。
クララ、これからもよろしくお願いします。
生涯、君を幸せにするよ――。
オルガンの音色に合わせて、ヴァージンロードを歩むクララ。最愛の人を見つめていると、改めて、自然とこんな感想が浮かび上がってきた。
これまでも彼女は、充分に美しかった。だが、1年前――。ちょうどマーガレットに理解をさせたあの辺りから、更に磨きがかかった。
『私、目標が出来たの。だからね、様々なレッスンを頑張れてしまうのよ』
タイトなスケジュールとなってしまう日が、よくあった。けれどクララは幸せそうにそう答え、急激な成長を――進化を遂げていった。
だから、それは必然といえる。
そんなクララ・テリアは現在、ちょっとした有名人。公爵家や王家主催のお茶会など様々な席に招待され、お歴々の御息女のお手本にしたい、と絶賛されている。
だから。それもまた、必然といえる。
そんな姿に感化され、俺も自分自身に磨きをかけた。
自分は元々物事の俯瞰を得意としており、そこを徹底的に伸ばした。そうして数日前に行われた審査で主席を取り、王太子殿下の補佐官として王城で勤務することが決まったのだ。
もともと補佐官を目指してはいたが、殿下に遣えるつもりはなかった――その器ではないと考えていた。けれどクララの姿を見たことで自分自身も高みを目指すと決め、彼女のおかげで上げたハードルを越えることができたのだ。
「……ありがとう、クララ。君のおかげだよ」
祭壇の前で待つ俺の前へと来てくれた、最愛の人。彼女にまずはそう伝え、そうすると――。
「こちらこそ、ありがとう。今の私がいるのは、貴方のおかげよ」
彼女はパチリと片目を瞑り、品よく微笑んだ。
「ユリウスがあんなにも愛し想ってくれているから、努力をしたくなるの。貴方は最高のパートナーだわ」
「それは、俺も同じだよ。ただ……。あんなにも? それは一体……?」
「ふふっ、そこは内緒。……牧師様がお待ちよ。始めましょ」
気にはなるが、このままでは進行が乱れてしまう。そのため頷いて誓約やリングの交換を済ませ、口づけを交わすことになった。のだが――。
ベールアップを行っていると、
(ユリウス。これからも私は、あの頃の私を超えてていくわ。目標は300クララよ)
何かを呟き、彼女はくすりと微笑んだ。
「? クララ? 今、なんて言ったんだい?」
「愛してくれてありがとうっていう、独り言よ。…………ユリウス。愛してます」
「俺もだよ。世界中の誰よりも、クララを愛しています」
俺達は目を細めて言葉を交わし、目を閉じて――キス。互いのぬくもりを感じながら夫婦となり、2人で歩む新たな人生が始まったのだった。
素敵な人が居てくれるから、俺も頑張ることができる。
クララ、これからもよろしくお願いします。
生涯、君を幸せにするよ――。
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にこ様。わざわざお言葉をくださり、ありがとうございます。
いえ……っ。そんな……っ。
お気を遣わせてしまい、申し訳ございません。
にこ様からいただいたご意見は、本当に、貴重なものでして。ありがたく、大切に、受け取らせていただいております。
まだまだ、未熟者でして。そのため自分では気が付かないことも(見えていない部分なども)、たくさんありますので。
もし、よろしければ。感じられたことを、どんどん仰ってくださいませ。
ハッピーエンド🎉
2人とも、前向きな努力で悪評の立つ余地さえ無くしていたようですね、素晴らしいと思います😲 それも、お互いを想うが故であり、お互いに励まし合い支え合っていくのなら燃え尽き症候群などにも無縁でいられそう・・・理想的なカップルですね😄
seraia様。わざわざ感想をくださり、ありがとうございます。
彼女は、決めて、磨いて。彼も、それによって、更に磨いて。
想いがよい方向に作用し、こういった未来を生むこととなりました。
そして。
そうですね……っ。
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にこ様。わざわざ感想をくださり、ありがとうございます。
嫌なお気持ちを生んでしまい、申し訳ございません。
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すでに、モヤモヤされておりますので……。こういった謝罪は、意味がないかもしれませんが……。
にこ様。
ご期待を裏切ることになってしまい、本当に、申し訳ございませんでした。