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第7話 逆監視3日目 監視スタート (2)
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「新たな、っスか? ここから更にって……。何があるんスかねえ?」
《はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……。や、やっと収まったか……っ。くそっっ、よくも俺達を脅かしてくれたな――なああっ!?》
《髪があっ!? 髪が、抜けていく――生えてくるだとっ!?》
ばさりと。全員の髪が一瞬にして抜け落ち、その瞬間から再びジワジワと生え始めます。
《《《《う、うぎゃあああああああああああああああああああああああああ!? ぎぁぁぁぁああああああぁぁぁああああああぁあ!!》》》
安堵、驚愕、驚愕。安心したあとの立て続けの変化によって、5人の精神はもう限界となります。
《《《《ぁ、ぁぁぁぁぁぁ……。ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……》》》
全員がその場にへたり込んでしまい、涙目になって小刻みに震えます。
《なん、なんだ……。なんなんだよ……》
《もうやだ……。嫌だよぉ……っ。また……。さっきみたい、何メートルも伸びるのぉ……っ?》
《お願い、ですから……っ。俺の、俺達の髪……。止まって、ください……っ》
「アイツらの髪はまた急成長してって、あ。全員、元の長さになったら止まったスねっ。でも、んん? なんか、髪質が変わってませんっスか?」
「はい、大正解です。皆さん人間の毛から、獣人の毛になっているんですよ」
体内で生まれた『獣の毛』の養分が、溜まっていた『人間の毛』の養分を外へと追い出し、頭皮を支配する。一連の出来事は、生え代わり、によるものだったのです。
「変化する獣の種類は様々で、そのため人によって髪質は異なります。殿下は硬くツンツンしていますから、ライオン型。少々ボワッとしている国王様は、マントヒヒ型。妃殿下は豹型で、ヴァン様は犬型、ロイ様はネズミ型の獣人のようです」
「はぇ~、そうなんスかぁ。いよいよ本格的に獣になってきて、普通なら同情心が湧いてくるはずなんですけど。アレに加えてコレじゃあ、ちっとも湧かないっスね」
《まったく、一体何だったんだ……? エリーナのせいか……?》
《クオスが今日も問題ないと断言し、昨日はお前が釘を刺している。どんな愚か者でも手を抜きはしないだろう》
《だったら、なんなのかな……? もしかして、祈り過ぎたせいとか? 急成長ってそれっぽいし》
《その可能性が高いように思えますね。変化したものの髪の質は以前より向上していると言えますから、間違いではないでしょう》
《だったら、明日は祈り過ぎないようにさせないといけないわね。どこまでも面倒をかける女だわ……!!》
状況が落ち着くと調子を取り戻し、私への悪口大会が始まりました。
良いことがあれば自分達の行いと言い張り、悪いことがあれば聖女のせいと言い張る。皆さん、いい性格の持ち主です。
「残り3回の変化と、最終日が楽しみっスよ。……さってと。今日はそろそろ、バイバイしましょうっスかね」
「いつもより、お早いですね? 遠くでのお仕事がある日ですか?」
「まっ、そんなとこっスね。ひと頑張りしてくるっスよ」
椅子からスクッと立ち上がり、ペコっと一礼、それに対して私もお辞儀をお返ししていたら、「そうそう」という声が聞こえてきました。
「明日は午前8時頃にお邪魔しますんで、よろしくですっス。それと、キ……。キ……。キト…………お祈り用の服に着替えて、待ってて欲しいっスよ」
「えっ? なぜ、なのでしょうか……?」
「それは、当日のお楽しみっス。じゃあ頼んだっスよっ!」
ニッと笑ったラズフ様は身を翻し、急いで走って出ていかれました。
??? 明日、何があるのでしょうか……? 8時という時間も、関係があるのでしょうか……?
その後私はそんな事を何度も考えながら、一日を過ごしたのでした。
《はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……。や、やっと収まったか……っ。くそっっ、よくも俺達を脅かしてくれたな――なああっ!?》
《髪があっ!? 髪が、抜けていく――生えてくるだとっ!?》
ばさりと。全員の髪が一瞬にして抜け落ち、その瞬間から再びジワジワと生え始めます。
《《《《う、うぎゃあああああああああああああああああああああああああ!? ぎぁぁぁぁああああああぁぁぁああああああぁあ!!》》》
安堵、驚愕、驚愕。安心したあとの立て続けの変化によって、5人の精神はもう限界となります。
《《《《ぁ、ぁぁぁぁぁぁ……。ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……》》》
全員がその場にへたり込んでしまい、涙目になって小刻みに震えます。
《なん、なんだ……。なんなんだよ……》
《もうやだ……。嫌だよぉ……っ。また……。さっきみたい、何メートルも伸びるのぉ……っ?》
《お願い、ですから……っ。俺の、俺達の髪……。止まって、ください……っ》
「アイツらの髪はまた急成長してって、あ。全員、元の長さになったら止まったスねっ。でも、んん? なんか、髪質が変わってませんっスか?」
「はい、大正解です。皆さん人間の毛から、獣人の毛になっているんですよ」
体内で生まれた『獣の毛』の養分が、溜まっていた『人間の毛』の養分を外へと追い出し、頭皮を支配する。一連の出来事は、生え代わり、によるものだったのです。
「変化する獣の種類は様々で、そのため人によって髪質は異なります。殿下は硬くツンツンしていますから、ライオン型。少々ボワッとしている国王様は、マントヒヒ型。妃殿下は豹型で、ヴァン様は犬型、ロイ様はネズミ型の獣人のようです」
「はぇ~、そうなんスかぁ。いよいよ本格的に獣になってきて、普通なら同情心が湧いてくるはずなんですけど。アレに加えてコレじゃあ、ちっとも湧かないっスね」
《まったく、一体何だったんだ……? エリーナのせいか……?》
《クオスが今日も問題ないと断言し、昨日はお前が釘を刺している。どんな愚か者でも手を抜きはしないだろう》
《だったら、なんなのかな……? もしかして、祈り過ぎたせいとか? 急成長ってそれっぽいし》
《その可能性が高いように思えますね。変化したものの髪の質は以前より向上していると言えますから、間違いではないでしょう》
《だったら、明日は祈り過ぎないようにさせないといけないわね。どこまでも面倒をかける女だわ……!!》
状況が落ち着くと調子を取り戻し、私への悪口大会が始まりました。
良いことがあれば自分達の行いと言い張り、悪いことがあれば聖女のせいと言い張る。皆さん、いい性格の持ち主です。
「残り3回の変化と、最終日が楽しみっスよ。……さってと。今日はそろそろ、バイバイしましょうっスかね」
「いつもより、お早いですね? 遠くでのお仕事がある日ですか?」
「まっ、そんなとこっスね。ひと頑張りしてくるっスよ」
椅子からスクッと立ち上がり、ペコっと一礼、それに対して私もお辞儀をお返ししていたら、「そうそう」という声が聞こえてきました。
「明日は午前8時頃にお邪魔しますんで、よろしくですっス。それと、キ……。キ……。キト…………お祈り用の服に着替えて、待ってて欲しいっスよ」
「えっ? なぜ、なのでしょうか……?」
「それは、当日のお楽しみっス。じゃあ頼んだっスよっ!」
ニッと笑ったラズフ様は身を翻し、急いで走って出ていかれました。
??? 明日、何があるのでしょうか……? 8時という時間も、関係があるのでしょうか……?
その後私はそんな事を何度も考えながら、一日を過ごしたのでした。
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