34 / 37
6 罠(4)
しおりを挟む
「は? はっ? は……? さいみん、を、さき、に……?」
理由をお伝えしたら、真犯人さんはお口をパクパクさせ始めた。
ありゃりゃ。信じられないことが起きちゃったから、頭の中が爆発しちゃってるみたい。
「え? は? それは、どういう……?」
「催眠術がね、効かないようにしておいたの。あとから催眠術をかけても意味がないよーにしてたから、真希ちゃんにはかかってなかったんだよー」
かかってないから、忘れろーって命令しても忘れてないんだよね。
「さ、催眠術を防ぐ、催眠術……。そんなことが、できる、のか……?」
「スマートホンのロックとおんなじだよ。あれって正解の番号とかを打ち込まないと、なにも反応してくれないよね? だからぜーんぶ、意味がなかったの」
「ふふふ、これがオチよ先生。アナタにとっては、常識を覆すような催眠でしょ?」
「思い付きもしない…………というか、そんなものは聞いたことがないっ。こんな魔法みたいなことを、しかもこんな子どもが軽々とやれるなんて――いやそれは有り得ない!」
頭を抱えていた真犯人さんが、ぎょろっとした目で睨んで来た。
ふぇ? あり得ない?。
「瞼を下げられないという術はかかっている! オレの催眠術はかかってるじゃないかっっ! お前達の言い分は全部嘘だ!」
「はぇー。わたし達が知らないところで、そんなことがあったんだー」
わたしは、そこにいなかったもんね。知らなかったよ。
「あの時は確かに、かかっていた! 僕が操る催眠をかけたのはその直後だから、そっちもかかるはずだっ! おかしい!!」
「んーん、ちょっぴりもおかしくないよー。だってそれって、真希ちゃんが催眠術にかかったお芝居をしてただけだもん」
「そっ。アタシは、かかったフリをしていたのよ」
わたしはずっと前に、催眠術は効かないって催眠術をかけてたんだもんね。お話を合わせていただけないのです。
「えん、ぎ……っ。あそこからずっと騙していたのか!?」
「いいえ、その前からよ。例の睡眠薬入りのスポーツドリンクを飲んで倒れたところから、アナタを騙していたわ」
真犯人さんは、またハズレ。
最初の最初からずーっと、騙されてたんだよね。
「ボトルを落とす際にワザと零したから、アナタは気付いていないでしょうけど。あれは飲むフリをしていて、アタシは一滴も飲んでいないのよ」
「っっ! そ、んな……さ、催眠術の対策だけではなく、睡眠薬の対策までやっていただなんて……。どうしてそこまで準備をできたんだっ!?」
「真犯人さんが、真希ちゃん――夢卯ちゃんと親しい人を使って、何かをやってくる可能性が高かったからですー。だから『おひとりの時にもらった食べ物と飲み物は手を付けないでね』ってお願いをしてたんだよっ」
放課後までに、きっと悪い動きがある。そう予想してたから、できたのです。
理由をお伝えしたら、真犯人さんはお口をパクパクさせ始めた。
ありゃりゃ。信じられないことが起きちゃったから、頭の中が爆発しちゃってるみたい。
「え? は? それは、どういう……?」
「催眠術がね、効かないようにしておいたの。あとから催眠術をかけても意味がないよーにしてたから、真希ちゃんにはかかってなかったんだよー」
かかってないから、忘れろーって命令しても忘れてないんだよね。
「さ、催眠術を防ぐ、催眠術……。そんなことが、できる、のか……?」
「スマートホンのロックとおんなじだよ。あれって正解の番号とかを打ち込まないと、なにも反応してくれないよね? だからぜーんぶ、意味がなかったの」
「ふふふ、これがオチよ先生。アナタにとっては、常識を覆すような催眠でしょ?」
「思い付きもしない…………というか、そんなものは聞いたことがないっ。こんな魔法みたいなことを、しかもこんな子どもが軽々とやれるなんて――いやそれは有り得ない!」
頭を抱えていた真犯人さんが、ぎょろっとした目で睨んで来た。
ふぇ? あり得ない?。
「瞼を下げられないという術はかかっている! オレの催眠術はかかってるじゃないかっっ! お前達の言い分は全部嘘だ!」
「はぇー。わたし達が知らないところで、そんなことがあったんだー」
わたしは、そこにいなかったもんね。知らなかったよ。
「あの時は確かに、かかっていた! 僕が操る催眠をかけたのはその直後だから、そっちもかかるはずだっ! おかしい!!」
「んーん、ちょっぴりもおかしくないよー。だってそれって、真希ちゃんが催眠術にかかったお芝居をしてただけだもん」
「そっ。アタシは、かかったフリをしていたのよ」
わたしはずっと前に、催眠術は効かないって催眠術をかけてたんだもんね。お話を合わせていただけないのです。
「えん、ぎ……っ。あそこからずっと騙していたのか!?」
「いいえ、その前からよ。例の睡眠薬入りのスポーツドリンクを飲んで倒れたところから、アナタを騙していたわ」
真犯人さんは、またハズレ。
最初の最初からずーっと、騙されてたんだよね。
「ボトルを落とす際にワザと零したから、アナタは気付いていないでしょうけど。あれは飲むフリをしていて、アタシは一滴も飲んでいないのよ」
「っっ! そ、んな……さ、催眠術の対策だけではなく、睡眠薬の対策までやっていただなんて……。どうしてそこまで準備をできたんだっ!?」
「真犯人さんが、真希ちゃん――夢卯ちゃんと親しい人を使って、何かをやってくる可能性が高かったからですー。だから『おひとりの時にもらった食べ物と飲み物は手を付けないでね』ってお願いをしてたんだよっ」
放課後までに、きっと悪い動きがある。そう予想してたから、できたのです。
0
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説
本の女王と司書と本のあやかし
柚木ゆず
児童書・童話
この世界には『本のあやかし』と呼ばれる存在がいて、彼らは本が大好き。朝起きてから寝るまで、ずっと本を読んでいます。
でも中にはちょっと困った本のあやかしがいて、『自分だったら、この本をもっと面白くできる。お話を変えちゃおっと』と思い、お話の一部を勝手に変えてしまうことがあります。そうすると世の中にある同じ題名の本の内容が全て変わってしまい、大変なことになってしまいます。
本のあやかし達から『本の女王』として一目置かれる、本が大好きな中学1年生の少女・本庄彩花。彩花は司書のレオンと共に、イタズラされた本をもとに戻すために今日も本の中へと入り込むのでした。
忠犬ハジッコ
SoftCareer
児童書・童話
もうすぐ天寿を全うするはずだった老犬ハジッコでしたが、飼い主である高校生・澄子の魂が、偶然出会った付喪神(つくもがみ)の「夜桜」に抜き去られてしまいます。
「夜桜」と戦い力尽きたハジッコの魂は、犬の転生神によって、抜け殻になってしまった澄子の身体に転生し、奪われた澄子の魂を取り戻すべく、仲間達の力を借りながら奮闘努力する……というお話です。
※今まで、オトナ向けの小説ばかり書いておりましたが、
今回は中学生位を読者対象と想定してチャレンジしてみました。
お楽しみいただければうれしいです。
あこがれチェンジ!
柚木ゆず
児童書・童話
ねえねえ。『アコヘン』って知ってる?
カッコよかったり、キラキラしてたり。みんなにも、憧れの人っているよね?
そんな人になれちゃうのが、アコヘンなの。
こんな人になりたいっ! そんな気持ちが強くなると不思議なことが起きて、なんとその人とおんなじ性格になれちゃうんだって。
これって、とっても嬉しくって、すごいことだよね?
でも……。アコヘンには色んな問題があって、性格が変わったままだと困ったことになっちゃうみたい。
だからアコヘンが起きちゃった人を説得して元に戻している人達がいて、わたしもその協力をすることになったの。
いいことだけじゃないなら、とめないといけないもんね。
わたし、陽上花美! パートナーになった月下紅葉ちゃんと一緒に、がんばりますっ!
見習い錬金術士ミミリの冒険の記録〜討伐も採集もお任せください!ご依頼達成の報酬は、情報でお願いできますか?〜
うさみち
児童書・童話
【見習い錬金術士とうさぎのぬいぐるみたちが描く、スパイス混じりのゆるふわ冒険!情報収集のために、お仕事のご依頼も承ります!】
「……襲われてる! 助けなきゃ!」
錬成アイテムの採集作業中に訪れた、モンスターに襲われている少年との突然の出会い。
人里離れた山陵の中で、慎ましやかに暮らしていた見習い錬金術士ミミリと彼女の家族、機械人形(オートマタ)とうさぎのぬいぐるみ。彼女たちの運命は、少年との出会いで大きく動き出す。
「俺は、ある人たちから頼まれて預かり物を渡すためにここに来たんだ」
少年から渡された物は、いくつかの錬成アイテムと一枚の手紙。
「……この手紙、私宛てなの?」
少年との出会いをキッカケに、ミミリはある人、あるアイテムを探すために冒険を始めることに。
――冒険の舞台は、まだ見ぬ世界へ。
新たな地で、右も左もわからないミミリたちの人探し。その方法は……。
「討伐、採集何でもします!ご依頼達成の報酬は、情報でお願いできますか?」
見習い錬金術士ミミリの冒険の記録は、今、ここから綴られ始める。
《この小説の見どころ》
①可愛いらしい登場人物
見習い錬金術士のゆるふわ少女×しっかり者だけど寂しがり屋の凄腕美少女剣士の機械人形(オートマタ)×ツンデレ魔法使いのうさぎのぬいぐるみ×コシヌカシの少年⁉︎
②ほのぼのほんわか世界観
可愛いらしいに囲まれ、ゆったり流れる物語。読了後、「ほわっとした気持ち」になってもらいたいをコンセプトに。
③時々スパイスきいてます!
ゆるふわの中に時折現れるスパイシーな展開。そして時々ミステリー。
④魅力ある錬成アイテム
錬金術士の醍醐味!それは錬成アイテムにあり。魅力あるアイテムを活用して冒険していきます。
◾️第3章完結!現在第4章執筆中です。
◾️この小説は小説家になろう、カクヨムでも連載しています。
◾️作者以外による小説の無断転載を禁止しています。
◾️挿絵はなんでも書いちゃうヨギリ酔客様からご寄贈いただいたものです。
ミステリー×サークル
藤谷 灯
児童書・童話
『ミステリーサークル』
それは、南園学園でひそかにささやかれる、秘密の団体。
学園でおこる怪奇現象や、生徒たちの身に起きた奇妙な事件を解決するために作られたらしい。
しかも特別な力を持った生徒しか、入ることができないというのだ。
この春から南園学園に入学した中1の野呂伊織(ノロイオリ)は、くしゃみで除霊ができる特異体質の持ち主。
しかも相手の感情が、においでわかる嗅覚も持っている。
そんな伊織のもとに、なんと『ミステリーサークル』からの招待状が届いて……!
ホラー×謎解き×溺愛のドキドキ物語、開幕!
月神山の不気味な洋館
ひろみ透夏
児童書・童話
初めての夜は不気味な洋館で?!
満月の夜、級友サトミの家の裏庭上空でおこる怪現象を見せられたケンヂは、正体を確かめようと登った木の上で奇妙な物体と遭遇。足を踏み外し落下してしまう……。
話は昼間にさかのぼる。
両親が泊まりがけの旅行へ出かけた日、ケンヂは友人から『旅行中の両親が深夜に帰ってきて、あの世に連れて行く』という怪談を聞かされる。
その日の放課後、ふだん男子と会話などしない、おとなしい性格の級友サトミから、とつぜん話があると呼び出されたケンヂ。その話とは『今夜、私のうちに泊りにきて』という、とんでもない要求だった。
【完結】僕らのミステリー研究会
SATO SATO
児童書・童話
主人公の「僕」は、何も取り柄のない小学校三年生。
何をやっても、真ん中かそれより下。
そんな僕がひょんなことから出会ったのは、我が小学校の部活、ミステリー研究会。
ホントだったら、サッカー部に入って、人気者に大変身!ともくろんでいたのに。
なぜかミステリー研究会に入ることになっていて?
そこで出会ったのは、部長のゆみりと親友となった博人。
三人で、ミステリー研究会としての活動を始動して行く。そして僕は、大きな謎へと辿り着く。
ホントのキモチ!
望月くらげ
児童書・童話
中学二年生の凜の学校には人気者の双子、樹と蒼がいる。
樹は女子に、蒼は男子に大人気。凜も樹に片思いをしていた。
けれど、大人しい凜は樹に挨拶すら自分からはできずにいた。
放課後の教室で一人きりでいる樹と出会った凜は勢いから告白してしまう。
樹からの返事は「俺も好きだった」というものだった。
けれど、凜が樹だと思って告白したのは、蒼だった……!
今さら間違いだったと言えず蒼と付き合うことになるが――。
ホントのキモチを伝えることができないふたり(さんにん?)の
ドキドキもだもだ学園ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる