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第18話 リッダジア家の震撼 俯瞰視点(2)
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「なっ、なんなんだここは!? こんなものっ、知らないぞ!?」
「わっ、わたしだって聞いたことがないっ! 噂すら知らないぞ!? この建物はなんなんだ!?」
マーティンと父アダムが連行されてから、7日後。貴族籍を剥奪された2人はとある僻地内にある山、その更に奥深くに建っている、真新しい2階建ての建造物の前で立っていました。
「ああ、これは失礼致しました。こちらは、貴方がたの新しい住居でございます。マーティン、アダム。お二人にはここで一年間過ごしていただきます」
「い、一年間……!? そっ、そのあとはどうなるんだ――どうなるのですか……!?」
現在は、護送中。後ろ手で拘束されているマーティンは――アダムもまた王家の使者ルークへと首を向け、そうすれば彼は穏やかな笑みを浮かべました。
「お好きにしていただいて結構でございますよ。引き続きこちらで過ごされても構いませんし、外へと出て自由に過ごされても構いません」
「「え……? え……!?」」
「貴方がたの拘束期間は、1年間となっております故。それ以降はなにも致しません。貴方がたが望む通りに生きていただいて結構でございます」
「そ、それは…………。本当に、ですか? 嘘では、ないのですよね?」
「我々は、確かにっ、間違いなくっ! 1年経てば解放されるのだな――ああいえ失礼しましたっ。1年っ、つまり365日が経過すればっ! 外へと出られるようになって! 自分達の意思で好きなように過ごせるのですなっ!?」
「行動などに一切制限はなくっ、どこで何をしても構わないっ。実は解放は1時間程度ということはなくてっ、一生涯! 俺達は自分が望むように過ごせるのですねっ!?」
ぬか喜びとなってしまわないように。マーティンとアダムは事細かに確認を行い、そうすれば――
「もちろんでございます」
――ルークからは、即答がありました。
「わたくしめは王家に仕えし者。主の名を汚す要因となる嘘は吐きません。1年後の自由、そちらは必ず実現する未来でございますよ」
「! やったっ! やったっ!! やりましたよ父上!!」
「うむっ、うむっっ!! 光りだ! 光が差したぞ!!」
ルークの言動により真実だと確信した2人は顔を見合わせ、久しぶりに活き活きとした満面の笑みを浮かべます。そうして声を弾ませて、
「こんなことが起きてくれるだなんて!! 夢のようだ!! 信じられんなマーティンっっ!!」
「ええ、ええっ! 思いもしませんでしたよっ!! 第二王子殿下があのようなことを仰られていたからっ! 恐ろしいことが待っているとばかり――…………」
子どものように飛び跳ねていたマーティンとアダムは、気付いてしまいました。思い出して、しまいました。
『いや、礼には及ばないよ。なぜなら君はこれから、生まれ変わる運命にある――実質、今の君は死んでしまうようなものなのだからね』
という、レオナードの言葉を。
「わっ、わたしだって聞いたことがないっ! 噂すら知らないぞ!? この建物はなんなんだ!?」
マーティンと父アダムが連行されてから、7日後。貴族籍を剥奪された2人はとある僻地内にある山、その更に奥深くに建っている、真新しい2階建ての建造物の前で立っていました。
「ああ、これは失礼致しました。こちらは、貴方がたの新しい住居でございます。マーティン、アダム。お二人にはここで一年間過ごしていただきます」
「い、一年間……!? そっ、そのあとはどうなるんだ――どうなるのですか……!?」
現在は、護送中。後ろ手で拘束されているマーティンは――アダムもまた王家の使者ルークへと首を向け、そうすれば彼は穏やかな笑みを浮かべました。
「お好きにしていただいて結構でございますよ。引き続きこちらで過ごされても構いませんし、外へと出て自由に過ごされても構いません」
「「え……? え……!?」」
「貴方がたの拘束期間は、1年間となっております故。それ以降はなにも致しません。貴方がたが望む通りに生きていただいて結構でございます」
「そ、それは…………。本当に、ですか? 嘘では、ないのですよね?」
「我々は、確かにっ、間違いなくっ! 1年経てば解放されるのだな――ああいえ失礼しましたっ。1年っ、つまり365日が経過すればっ! 外へと出られるようになって! 自分達の意思で好きなように過ごせるのですなっ!?」
「行動などに一切制限はなくっ、どこで何をしても構わないっ。実は解放は1時間程度ということはなくてっ、一生涯! 俺達は自分が望むように過ごせるのですねっ!?」
ぬか喜びとなってしまわないように。マーティンとアダムは事細かに確認を行い、そうすれば――
「もちろんでございます」
――ルークからは、即答がありました。
「わたくしめは王家に仕えし者。主の名を汚す要因となる嘘は吐きません。1年後の自由、そちらは必ず実現する未来でございますよ」
「! やったっ! やったっ!! やりましたよ父上!!」
「うむっ、うむっっ!! 光りだ! 光が差したぞ!!」
ルークの言動により真実だと確信した2人は顔を見合わせ、久しぶりに活き活きとした満面の笑みを浮かべます。そうして声を弾ませて、
「こんなことが起きてくれるだなんて!! 夢のようだ!! 信じられんなマーティンっっ!!」
「ええ、ええっ! 思いもしませんでしたよっ!! 第二王子殿下があのようなことを仰られていたからっ! 恐ろしいことが待っているとばかり――…………」
子どものように飛び跳ねていたマーティンとアダムは、気付いてしまいました。思い出して、しまいました。
『いや、礼には及ばないよ。なぜなら君はこれから、生まれ変わる運命にある――実質、今の君は死んでしまうようなものなのだからね』
という、レオナードの言葉を。
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