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第6話 次に起きる出来事は アリシア視点(2)
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「皆様、ビンゴ大会はまだ終わりではありませんの。これから、ちょっとした授与式が始まりますのよ」
ヴァイオレット様の新たな動き、それは参加者へのプレゼント。ビンゴの順位に応じた贈り物が、参加者全員に、あるみたい。
「先ほど『ビンゴ』を宣言された際にお渡しした、長方形の紙。そちらの番号が小さい方から、順にこちらにいらしてくださいまし」
演奏が行われた、会場の前方――全員からよく見える場所が受け渡し場所になり、まずは1位となったアルマ様が四角い小さめの箱を受け取った。
「アルマ様。1位、おめでとうございます」
「ありがとうございます……っ。せっかくですから、こちらで開けさせていただきますね」
景品を受け取ったあとその場で、嬉々としながら箱の上蓋を取る。そうして箱の中からは――
「まあっ。素敵ですわ……っ」
――蝶をモチーフとした、綺麗なブローチが表れた。
「実を言うとこのビンゴのために、ブローチを41個特注しましたの。順位が上な方ほど豪華な仕様になっていますけど、下位でもしっかりとしたものになっているので安心してくださいまし」
「わぁっ、すごい……っ。たのしみですわ……っ」
「ですわね……っ。わたくしのは、どんなものなのでしょうか……っ」
それを聞いて会場は更に盛り上がり、『受け取る』、『その場で開ける』、『その場で身に着ける』、『盛り上がる』、が繰り返されてゆく。要するに、私もその場で開けて着けないといけない空気が作られてゆく。
((はぁ、そういうことなのね。ビンゴゲームの狙いが大体分かったわ))
変なデザインのものを渡して着けさせる、それがこのゲームの最終目的。二段階で構成された、しょうもない企みなのだと理解した。
「次は、最後ですわね。最後の方は、ええっと………………アリシア様ですわね。アリシア様、どうぞいらしてくださいまし」
「はい、ヴァイオレット様」
こんなことをするために、わざわざブローチを41個も特注するだなんてね。暇な方――。私は心の中で呆れながら移動を行い、四角い箱を受け取る。
そして、
「アリシア様。折角ですから、アリシア様も開けてみてください」
すでにそうする雰囲気が出来上がっているので、私も倣って箱を空ける。すると――
「っっ!!」
その瞬間、私は思わず息を呑んでしまう。なぜなら白くて綺麗な箱の中には、
本物そっくりな、精巧なムカデのブローチ。
そんなものが、収まっていたのだから。
ヴァイオレット様の新たな動き、それは参加者へのプレゼント。ビンゴの順位に応じた贈り物が、参加者全員に、あるみたい。
「先ほど『ビンゴ』を宣言された際にお渡しした、長方形の紙。そちらの番号が小さい方から、順にこちらにいらしてくださいまし」
演奏が行われた、会場の前方――全員からよく見える場所が受け渡し場所になり、まずは1位となったアルマ様が四角い小さめの箱を受け取った。
「アルマ様。1位、おめでとうございます」
「ありがとうございます……っ。せっかくですから、こちらで開けさせていただきますね」
景品を受け取ったあとその場で、嬉々としながら箱の上蓋を取る。そうして箱の中からは――
「まあっ。素敵ですわ……っ」
――蝶をモチーフとした、綺麗なブローチが表れた。
「実を言うとこのビンゴのために、ブローチを41個特注しましたの。順位が上な方ほど豪華な仕様になっていますけど、下位でもしっかりとしたものになっているので安心してくださいまし」
「わぁっ、すごい……っ。たのしみですわ……っ」
「ですわね……っ。わたくしのは、どんなものなのでしょうか……っ」
それを聞いて会場は更に盛り上がり、『受け取る』、『その場で開ける』、『その場で身に着ける』、『盛り上がる』、が繰り返されてゆく。要するに、私もその場で開けて着けないといけない空気が作られてゆく。
((はぁ、そういうことなのね。ビンゴゲームの狙いが大体分かったわ))
変なデザインのものを渡して着けさせる、それがこのゲームの最終目的。二段階で構成された、しょうもない企みなのだと理解した。
「次は、最後ですわね。最後の方は、ええっと………………アリシア様ですわね。アリシア様、どうぞいらしてくださいまし」
「はい、ヴァイオレット様」
こんなことをするために、わざわざブローチを41個も特注するだなんてね。暇な方――。私は心の中で呆れながら移動を行い、四角い箱を受け取る。
そして、
「アリシア様。折角ですから、アリシア様も開けてみてください」
すでにそうする雰囲気が出来上がっているので、私も倣って箱を空ける。すると――
「っっ!!」
その瞬間、私は思わず息を呑んでしまう。なぜなら白くて綺麗な箱の中には、
本物そっくりな、精巧なムカデのブローチ。
そんなものが、収まっていたのだから。
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