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エピローグ ふたりは今度こそ ミシュリーヌ&ジュリエット視点
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「「「「「ミシュリーヌ、おめでとう!」」」」」
「「「「「フィリップ、おめでとう!」」」」」
「「「「「ふたりとも、おめでとう!」」」」」
わたし達が再会した日から、ちょうど1年後。わたし達は教会にいて、大勢の方から祝福の言葉をいただいていました。
今日は、わたし達の結婚式。
前世ではできなかったこと。
さらに一歩前に進むための儀式を、行っているのです。
「……今日という日を迎えられて、幸せだよ」
「……わたしもです。幸せ、です」
あの頃も楽しみにしていて、けれど叶わなかった日。それが今、実現しているのです。
祭壇の前で見つめ合うわたし達は、瞳を潤ませながら頷き合いました。
「…………あの頃の僕は、君を悲しませてしまった。弱い人間だった」
そして、そうしたあと。ポツリと呟かれました。
「自分の身すらロクに護れないんだ。そんな男が、君を護れるはずはないよね」
自嘲をたっぷりと含んだ苦笑。そんなものが表れましたが、すぐに、その表情は消えて――。正反対の、強く硬い意志が宿った笑みが浮かびます。
「でもそんな男は、文字通り生まれ変わった。あの頃も今も僕は僕だけど、違うんだ」
「はい。そうですね」
記憶は覚醒していなかったものの、それでも内側から訴えるものがあったのでしょう。
物心ついた時から体術や剣術を磨き続け、騎士団からスカウトされるほどの実力をお持ちだそうです。
「何があってもこの身は護れるし、君のことだって完璧に護ってみせる。だから――。安心して、これからも一緒に歩いていってください」
「はい、喜んで……! 安心して、一緒に歩かせていただきます……!」
これ以上に嬉しいことはない『約束』の言葉をいただき、微笑み合って。わたし達は最後の工程に移ります。
挙式の最後に行うこと。そちらはもちろん、誓いのキスです。
「………………ジュリエット。愛しています」
「………………ステファン様。愛しています」
わたし達はこれまで『ミシュリーヌ』と『フィリップ』という名で過ごしてきて、突然名前を変えてしまうと周りを驚かせてしまいます。
ですので『ジュリエット』と『ステファン』は、ふたりの時だけの名前。
「ジュリエット」
「ステファン様」
わたし達だけの名前を口にして、その口を口で塞いで。互いの愛を、ぬくもりで感じ合って。
わたし達は前世で果たせなかった夢、
夫婦になる
を、実現したのでした――。
「「「「「フィリップ、おめでとう!」」」」」
「「「「「ふたりとも、おめでとう!」」」」」
わたし達が再会した日から、ちょうど1年後。わたし達は教会にいて、大勢の方から祝福の言葉をいただいていました。
今日は、わたし達の結婚式。
前世ではできなかったこと。
さらに一歩前に進むための儀式を、行っているのです。
「……今日という日を迎えられて、幸せだよ」
「……わたしもです。幸せ、です」
あの頃も楽しみにしていて、けれど叶わなかった日。それが今、実現しているのです。
祭壇の前で見つめ合うわたし達は、瞳を潤ませながら頷き合いました。
「…………あの頃の僕は、君を悲しませてしまった。弱い人間だった」
そして、そうしたあと。ポツリと呟かれました。
「自分の身すらロクに護れないんだ。そんな男が、君を護れるはずはないよね」
自嘲をたっぷりと含んだ苦笑。そんなものが表れましたが、すぐに、その表情は消えて――。正反対の、強く硬い意志が宿った笑みが浮かびます。
「でもそんな男は、文字通り生まれ変わった。あの頃も今も僕は僕だけど、違うんだ」
「はい。そうですね」
記憶は覚醒していなかったものの、それでも内側から訴えるものがあったのでしょう。
物心ついた時から体術や剣術を磨き続け、騎士団からスカウトされるほどの実力をお持ちだそうです。
「何があってもこの身は護れるし、君のことだって完璧に護ってみせる。だから――。安心して、これからも一緒に歩いていってください」
「はい、喜んで……! 安心して、一緒に歩かせていただきます……!」
これ以上に嬉しいことはない『約束』の言葉をいただき、微笑み合って。わたし達は最後の工程に移ります。
挙式の最後に行うこと。そちらはもちろん、誓いのキスです。
「………………ジュリエット。愛しています」
「………………ステファン様。愛しています」
わたし達はこれまで『ミシュリーヌ』と『フィリップ』という名で過ごしてきて、突然名前を変えてしまうと周りを驚かせてしまいます。
ですので『ジュリエット』と『ステファン』は、ふたりの時だけの名前。
「ジュリエット」
「ステファン様」
わたし達だけの名前を口にして、その口を口で塞いで。互いの愛を、ぬくもりで感じ合って。
わたし達は前世で果たせなかった夢、
夫婦になる
を、実現したのでした――。
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