上 下
27 / 27

エピローグ ふたりは今度こそ ミシュリーヌ&ジュリエット視点

しおりを挟む
「「「「「ミシュリーヌ、おめでとう!」」」」」
「「「「「フィリップ、おめでとう!」」」」」
「「「「「ふたりとも、おめでとう!」」」」」

 わたし達が再会した日から、ちょうど1年後。わたし達は教会にいて、大勢の方から祝福の言葉をいただいていました。

 今日は、わたし達の結婚式。

 前世ではできなかったこと。
 さらに一歩前に進むための儀式を、行っているのです。

「……今日という日を迎えられて、幸せだよ」
「……わたしもです。幸せ、です」

 あの頃も楽しみにしていて、けれど叶わなかった日。それが今、実現しているのです。
 祭壇の前で見つめ合うわたし達は、瞳を潤ませながら頷き合いました。

「…………あの頃の僕は、君を悲しませてしまった。弱い人間だった」

 そして、そうしたあと。ポツリと呟かれました。

「自分の身すらロクに護れないんだ。そんな男が、君を護れるはずはないよね」

 自嘲をたっぷりと含んだ苦笑。そんなものが表れましたが、すぐに、その表情は消えて――。正反対の、強く硬い意志が宿った笑みが浮かびます。

「でもそんな男は、文字通り生まれ変わった。あの頃も今も僕は僕だけど、違うんだ」
「はい。そうですね」

 記憶は覚醒していなかったものの、それでも内側から訴えるものがあったのでしょう。
 物心ついた時から体術や剣術を磨き続け、騎士団からスカウトされるほどの実力をお持ちだそうです。

「何があってもこの身は護れるし、君のことだって完璧に護ってみせる。だから――。安心して、これからも一緒に歩いていってください」
「はい、喜んで……! 安心して、一緒に歩かせていただきます……!」

 これ以上に嬉しいことはない『約束』の言葉をいただき、微笑み合って。わたし達は最後の工程に移ります。
 挙式の最後に行うこと。そちらはもちろん、誓いのキスです。

「………………ジュリエット。愛しています」
「………………ステファン様。愛しています」

 わたし達はこれまで『ミシュリーヌ』と『フィリップ』という名で過ごしてきて、突然名前を変えてしまうと周りを驚かせてしまいます。
 ですので『ジュリエット』と『ステファン』は、ふたりの時だけの名前。

「ジュリエット」
「ステファン様」

 わたし達だけの名前を口にして、その口を口で塞いで。互いの愛を、ぬくもりで感じ合って。
 わたし達は前世で果たせなかった夢、

 夫婦になる

 を、実現したのでした――。
しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

【 完結 】「平民上がりの庶子」と言っただなんて誰が言ったんですか?悪い冗談はやめて下さい!

しずもり
恋愛
 ここはチェン王国の貴族子息子女が通う王立学園の食堂だ。確かにこの時期は夜会や学園行事など無い。でもだからってこの国の第二王子が側近候補たちと男爵令嬢を右腕にぶら下げていきなり婚約破棄を宣言しちゃいますか。そうですか。 お昼休憩って案外と短いのですけど、私、まだお昼食べていませんのよ?  突然、婚約破棄を宣言されたのはチェン王国第二王子ヴィンセントの婚約者マリア・べルージュ公爵令嬢だ。彼女はいつも一緒に行動をしているカミラ・ワトソン伯爵令嬢、グレイシー・テネート子爵令嬢、エリザベス・トルーヤ伯爵令嬢たちと昼食を取る為食堂の席に座った所だった。 そこへ現れたのが側近候補と男爵令嬢を連れた第二王子ヴィンセントでマリアを見つけるなり書類のような物をテーブルに叩きつけたのだった。 よくある婚約破棄モノになりますが「ざまぁ」は微ざまぁ程度です。 *なんちゃって異世界モノの緩い設定です。 *登場人物の言葉遣い等(特に心の中での言葉)は現代風になっている事が多いです。 *ざまぁ、は微ざまぁ、になるかなぁ?ぐらいの要素しかありません。

「不吉な子」と罵られたので娘を連れて家を出ましたが、どうやら「幸運を呼ぶ子」だったようです。

荒瀬ヤヒロ
恋愛
マリッサの額にはうっすらと痣がある。 その痣のせいで姑に嫌われ、生まれた娘にも同じ痣があったことで「気味が悪い!不吉な子に違いない」と言われてしまう。 自分のことは我慢できるが娘を傷つけるのは許せない。そう思ったマリッサは離婚して家を出て、新たな出会いを得て幸せになるが……

貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後

空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。 魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。 そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。 すると、キースの態度が豹変して……?

婚約破棄されたら魔法が解けました

かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」 それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。 「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」 あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。 「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」 死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー! ※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です

3歳児にも劣る淑女(笑)

章槻雅希
恋愛
公爵令嬢は、第一王子から理不尽な言いがかりをつけられていた。 男爵家の庶子と懇ろになった王子はその醜態を学園内に晒し続けている。 その状況を打破したのは、僅か3歳の王女殿下だった。 カテゴリーは悩みましたが、一応5歳児と3歳児のほのぼのカップルがいるので恋愛ということで(;^ω^) ほんの思い付きの1場面的な小噺。 王女以外の固有名詞を無くしました。 元ネタをご存じの方にはご不快な思いをさせてしまい申し訳ありません。 創作SNSでの、ジャンル外での配慮に欠けておりました。

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

家の全仕事を請け負っていた私ですが「無能はいらない!」と追放されました。

水垣するめ
恋愛
主人公のミア・スコットは幼い頃から家の仕事をさせられていた。 兄と妹が優秀すぎたため、ミアは「無能」とレッテルが貼られていた。 しかし幼い頃から仕事を行ってきたミアは仕事の腕が鍛えられ、とても優秀になっていた。 それは公爵家の仕事を一人で回せるくらいに。 だが最初からミアを見下している両親や兄と妹はそれには気づかない。 そしてある日、とうとうミアを家から追い出してしまう。 自由になったミアは人生を謳歌し始める。 それと対象的に、ミアを追放したスコット家は仕事が回らなくなり没落していく……。

王侯貴族、結婚相手の条件知ってますか?

時見 靜
恋愛
病弱な妹を虐げる悪女プリシア・セノン・リューゲルト、リューゲルト公爵家の至宝マリーアン・セノン・リューゲルト姉妹の評価は真っ二つに別れていたけど、王太子の婚約者に選ばれたのは姉だった。 どうして悪評に塗れた姉が選ばれたのか、、、 その理由は今夜の夜会にて

処理中です...