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第3章

プロローグその2(4)

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   〇〇〇

「ソーラさん、レイルさん、ありがとうございます。お力添え感謝いたしますのじゃ」

 一階建ての、比較的小さめのお家。お訪ねすると、まずはダイニングテーブル――この家で一番お話ししやすい場所に案内され、お茶を出してくれたその人は深く深く頭を下げた。
 白くて長い髭が特徴の、70代半ばに感じる温厚そうな男性。こちらが今回の依頼者、オルギ・ケンズさんだ。

「ワシのもとにも、貴方がたの名声は届いておりますのじゃ。何卒、よろしくお願い致しますのじゃ」
「承知致しました。……早速ですが、ケンズ殿。経緯を詳しくお教えください」

 私達はまだ、おおよそしか知らないもんね。私は右隣りにいるティルと共に、対面にあるお口に意識を集中させた。

「あれは、三日前のことですじゃ……。午後七時半頃ウチで食事をする約束をしたエクト――孫が、一時間を過ぎても来なかったのですじゃ」

 お茶が入ったコップを、両手で握り締めながら。苦悶を浮かべながら、説明が始まった。

「エクトは時間を厳守する子で、遅刻など一度もなかったのですじゃ。そこでギルドに向かってみると、スタッフは『一時間前に帰りましたよ?』と言うんですじゃ」
「「…………」」
「そのスタッフに不自然な点はなかった故、ワシは急用でもできたのだろうと考え再び我が家で待つ事にしたのですじゃ。けれど、一時間経っても、二時間経っても来なかったのですじゃ……」

 7時半から1時間待って、更に3時間。午後11時半になっても、来なかった……。

「そこでワシは再び出掛け、今度は孫の自宅を訪ねてみたのですじゃ。そうしたら帰宅した気配はなく、街で目撃情報も一切なかった。……それでようやく孫に異変が起きていると気付き、唯一間違いなく信用できる人間――旧友であるレノンに、助けを求めたのですじゃ……」
「…………なるほど、理解致しました。ケンズ殿。その件に関して、いくつか質問をさせて頂きます」

 ティルが小さく頷き、目の鋭さが増した。
 私も聞きたい事が何個かあるけど、私が気になってる部分は当然この人も気になってるはず。ここは幼馴染にお任せして、私は隣で聞いていよう。
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