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第2章
幕間 二つ目のざまぁ(2)
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「報告によりますと戦士の少女ミファ・ソーラ、魔術師の少年ティル・レイル。どちらも冒険者だそうです」
「戦士と魔術師が魔王を倒しただと!? しかもその名前が、ミファとティルだと!? まさかアイツらが生きて、偽名を使って――その可能性は、ないな」
「かつて王族だったミファとその従者ティル、あの者達に魔王を討てるだけの力はございません。そもそも転送した森から抜け出す事さえ、不可能でございます」
「そうだな。それに……」
ミファは僕に怯えきっていて、最期は従順になっていた。万が一奇跡的に生き延びたとしても、アイツは僕を恐れている。勇者様のもとに名前が届くような真似をできるはずがない。
そしてそれ以前にミファは戦士ではないし、なにより、姓だけを変えて名はそのままにするはずがない。どんなバカでもミファとティルという名前が一緒にあれば、本人を疑う。
これは偶然の一致で、偶々憎たらしいヤツらと同名のヤツらが憎たらしい真似をしやがった、という事だ。
――そうノルスは考え、まんまとミファの罠にはまった。
追放される前に消沈して服従していたのは、こう思わせるため。
あえて『ミファ』と『ティル』はそのままにしたのは、こう思わせるため。
ノルスは見事なまでにミファの手の平で踊らされ、彼の中でミファ・ソーラとミファ・エルンは別人となったのだった。
「戦士と魔術師が魔王を倒しただと!? しかもその名前が、ミファとティルだと!? まさかアイツらが生きて、偽名を使って――その可能性は、ないな」
「かつて王族だったミファとその従者ティル、あの者達に魔王を討てるだけの力はございません。そもそも転送した森から抜け出す事さえ、不可能でございます」
「そうだな。それに……」
ミファは僕に怯えきっていて、最期は従順になっていた。万が一奇跡的に生き延びたとしても、アイツは僕を恐れている。勇者様のもとに名前が届くような真似をできるはずがない。
そしてそれ以前にミファは戦士ではないし、なにより、姓だけを変えて名はそのままにするはずがない。どんなバカでもミファとティルという名前が一緒にあれば、本人を疑う。
これは偶然の一致で、偶々憎たらしいヤツらと同名のヤツらが憎たらしい真似をしやがった、という事だ。
――そうノルスは考え、まんまとミファの罠にはまった。
追放される前に消沈して服従していたのは、こう思わせるため。
あえて『ミファ』と『ティル』はそのままにしたのは、こう思わせるため。
ノルスは見事なまでにミファの手の平で踊らされ、彼の中でミファ・ソーラとミファ・エルンは別人となったのだった。
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