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第2章

6話(4)

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「ティル。何か手はない、かな?」

 ごめんなさいだけど、困った時のティル頼み。私は顔を左に向け、幼馴染の顔を覗き込んだ。

「………………。方法なら、一つ浮かんでいる」
「本当っ!? さすが――」
「しかしその案を実行してしまうと、大きな問題が生じてしまう。それはこの状況では死活問題で、行うべきではないんだ」

 ティルは遥か上空にいるゲーランを一瞥し、小さく息を吐く。
 私達はこのあと、アイツと戦わないといけない。要するにそうしたら負ける可能性が高くなる、ってワケね。

「この街――この国に、魔王ゲーランに敵う方はお二人しかいません。そのような代償があるのでしたら、出来ませんね……」
「勇者様が助けてくださらない、夫人の招集を続けるのであれば、魔王の侵攻は日に日に激しくなってしまう。情けない話なのですが……。ソーラさんとレイルさんが倒れる時は、僕達およびメイクスが倒れる時ですから……」

 レルマさんとテオさんが、申し訳なさげ、悔しげに目を伏せる。
 これは、あれ。頼らないといけない自分達、何もできない自分達に、腹が立ってるんだ。

「……他の土地にいる弟と妹にも応援要請を出していて、一、二時間以内に駆け付けてくれます。あの子たちが来てくれれば、別の作戦を立てられるはずですよ」
「そうですね。ただ、それまで持ちそうにないです、よね……」

 狂ってしまった人の暴れ方はすさまじく、騎士団は劣勢のまま。これだと1時間も均衡を保てなくなって、騎士団の人達はいずれ『斬る』という選択肢を取らざるを得なくなってしまう。

「…………そんなのは、駄目。酷すぎる」

 この街の人達には、なんの罪もない。ここの人達はノルスのせいでとばっちりを受けて、苦しんでいるだけ。
 バッドエンドを、迎えさせてはいけない。
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