上 下
123 / 173
第2章

6話(2)

しおりを挟む
「オレ特製の魔物は昨夕から街をじっくり練り歩き、街にいる人間は全てオーラに触れた。そうしてオレの手にあるスイッチを入れると、効果が発動して人は滅茶苦茶攻撃的に――誰彼構わず殺意を頂いてしまうくらいに、なっちゃうんだよ」
「……ティルの推理の片方が、当たってたわね。ギルドマスターさんと騎士団の6人も、その魔物が原因だった……」
「その計7人は存じ上げていないけれど、そうだろうね。部下にとある場所で実験をさせた時、『たまたま近くにいた人間で試してみた』と話していたからねえ」

 ギルドマスターさんが暴れた後、スタッフの人が『先程まで現地調査をされていて、久しぶりに戦士としての血が騒いだのかもしれません』と口にしていた。あれは、そういうことだったのね……っ。

「とまあ二度の実験や幾つかの妨害工作のおかげで無事魔物が完成し、こうして街に混乱をもたらせた。これならば『一つ派手に勇者への牽制をしろ』と仰っていた大魔王様も、大満足だろうね」
「はぁ、ソレもやっぱりアイツが原因なのね。いつもいつも迷惑をかけてくれるわ」

 しかも対処するのは、私達。次に会った時は、100発くらい殴ってやりましょう。

「できればもう少し前に君らの相手をしたかったのだけれど、大魔王様の命は最優先事項だ。招待しての放置を許してくれ」
「悪いと思ってるなら、あの騒ぎを収める方法を教えなさいよ。おかしくなった人達は、どうやったら元に戻せるの?」

 背後――街の中では、騎士団の人が無差別に暴れ回る人々を懸命に止めている。
 相手は罪もない人間なため皆迂闊に手を出せなくて、騎士団員が防戦が中心。そのせいでどんどん負傷していっているんだから、教えなさい。

しおりを挟む
感想 134

あなたにおすすめの小説

レベル“0”ですが、最強です。

勇崎シュー
ファンタジー
 突如勇者として転移された鹿羽琢真。  ステータスを確認したところ、何と彼のレベルは1ではなく“0”だった!  それ故戦力外と判断され王国から追放されるが……。  琢真はレベルが一切上がらない代わりに、本来習得出来ない強力な“剣召喚”スキルを手に入れていた!  追放されたのなら好き勝手に生きます。  どんな相手も最強の剣でやりたい放題!  広大な世界を旅するソードファンタジー。

【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?

つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。 平民の我が家でいいのですか? 疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。 義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。 学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。 必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。 勉強嫌いの義妹。 この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。 両親に駄々をこねているようです。 私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。 しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。 なろう、カクヨム、にも公開中。

【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!

まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。 そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。 その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する! 底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる! 第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。

漆黒のブリュンヒルデ

武者走走九郎or大橋むつお
ファンタジー
主神オーディンの娘にしてヴァルキリアの主将! 堕天使の宿命を背負いし漆黒の姫騎士!  我が名はブリュンヒルデなるぞ! 漆黒の姫騎士の蹉跌と復活の日々を異世界・東京で紡いでいく。 作者渾身の新連載!

【完結】おじいちゃんは元勇者

三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話… 親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。 エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…

【完結90万pt感謝】大募集! 王太子妃候補! 貴女が未来の国母かもしれないっ!

宇水涼麻
ファンタジー
ゼルアナート王国の王都にある貴族学園の玄関前には朝から人集りができていた。 女子生徒たちが色めき立って、男子生徒たちが興味津々に見ている掲示物は、求人広告だ。 なんと求人されているのは『王太子妃候補者』 見目麗しい王太子の婚約者になれるかもしれないというのだ。 だが、王太子には眉目秀麗才色兼備の婚約者がいることは誰もが知っている。 学園全体が浮足立った状態のまま昼休みになった。 王太子であるレンエールが婚約者に詰め寄った。 求人広告の真意は?広告主は? 中世ヨーロッパ風の婚約破棄ものです。 お陰様で完結いたしました。 外伝は書いていくつもりでおります。 これからもよろしくお願いします。 表紙を変えました。お友達に描いていただいたラビオナ嬢です。 彼女が涙したシーンを思い浮かべ萌えてますwww

運び屋『兎』の配送履歴

花里 悠太
ファンタジー
安心、確実、お値段ちょっとお高め。運び屋『兎』に任せてみませんか? 兎を連れた少女が色々なものを配達するほのぼの物語です。 他にも出てくる相棒の召喚獣たちと共に配達してまわります。 兎をもふりたい。 カバで爆走したい。 梟とおしゃべりしたい。 亀と日向ぼっこしたい。 そんな方は是非ご一読を。 転生もチートもロマンスもないお仕事ファンタジーです。 ーーーーーーーーーーー とある街の商業ギルド。 その一室にユウヒという名の少女が住んでいる。 彼女は召喚士であり、運び屋だ。 彼女がこなす運びは、普通の運び屋とはちょっと違う。 時には、魔物の中に取り残された人を運びにいき。 時には、誰にも見つからないようにこっそりと手紙を届けにいく。 様々な能力を持つ召喚獣を相棒として、通常の運び屋では受けられないような特殊な配送を仕事として請け負っているのだ。 彼女がいつも身につけている前かけ鞄には、プスプスと鼻息をたてる兎が一匹。 運び屋の仕事を受けるときも、仕事で何かを運んでいる時も。 いつでも兎と一緒に仕事をする様から、彼女はこう呼ばれていた。 運び屋『兎』 彼女に仕事を頼みたい時は、商業ギルドの受付で 「『兎』に荷物を届けてほしい」 と声をかければ兎と一緒に彼女が仕事を受けてくれる。 召喚した相棒と共に、運べるものなら、手紙でも、荷物でも、何でも。 仕事は確実にこなすが少し手荒め、お値段はかなりお高め。 ある時はカバで街道から山の中へと爆走。 ある時は梟と夜に紛れて貴族の屋敷に潜入。 ある時は亀にまたがり深海へと潜航。 仕事の依頼を通して色々なものを配送するユウヒ。 様々な出会いや、出来事に遭遇して成長していく異世界ファンタジー。 カバに轢かれたくなければ道を開けてください。

その科学は魔法をも凌駕する。

神部 大
ファンタジー
科学が進みすぎた日本の荒廃。 そんな中最後の希望として作られた時空転移プログラムを用い歴史を変える為に一人敵陣に乗り込んだフォースハッカーの戦闘要員、真。 だが転移した先は過去ではなく、とても地球上とは思えない魔物や魔法が蔓延る世界だった。 返る術もないまま真が選んだ道は、科学の力を持ちながらその世界でただ生き、死ぬ事。 持ちうる全ての超科学技術を駆使してそんな世界で魔法を凌駕しろ。

処理中です...