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第2章

5話(3)

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『なん……なの……?』
『あのね。どんな事があっても、僕はミファの味方だよ』

 優しい声が、背中から聞こえてきた。

『どんな時でも、どんなに状況が悪い時でも、僕は変わらない。ヘーゼのように、損得を考えて動かない。今みたいにミファを信じるよ』
『………………』
『そしていつの日か必ず、ミファがこんな思いをしないように――楽しく笑顔で生きられるように、僕も強くなる。だからそれまで諦めないで、全てに絶望しないで待っていて欲しい』

 ティルはそう言うと、「返事はいいよ」と続けて黙ってしまった。
 ソレもこの人の、優しさ。私は嬉し泣きをしちゃって酷い顔になってたから、気を遣ってくれてんだよね。

 ――こんな言葉をくれるなんて、反則。
 ――こんな言葉をくれて、悲しみの涙が止まらないわけがない。

 その日からその言葉とティルが支えになって、私は強くなれた。頼りになる大切な人が傍にいてくれたから、強くなることができたんだよね。

「私がこういう私に成長したのは、ティルのおかげ。感謝しております」
「俺は結局中途半端なままで、城にいる時は言葉通りにはできなかった。感謝は、しっかり実現してから送ってくれ」
「……了解しました。じゃあ、その時まで――ノルスに復讐した後にお礼を言うまで、お互い元気でいないとだね」
「どちらかが不在となったら、叶わない事だからな。これからも二人で前へと進み続け、一先ずは――。これから訪れる『通過点』を、無に帰すとしよう」

 私達は背中をくっつけあったまま、強く強く頷く。そうして私達は更に心身を充実させ、敵の襲来を待つのでした――。
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