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第2章
4話(11)ティルSide
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「これか? これは、俺が創作した魔術。魔物に対してのみ絶大な威力を発揮する、光属性に該当する魔術だな」
「おっ、オリジナルだと……!? その若さで、もう所持しているだとっっ!?」
「ああそうだな。つい二週間前に完成したものだ」
軟禁中に。ティルはこの生活を想定し、魔物に特化したものを考えていた。
「……言っておくが俺は、魔術に限界を感じたから身体を鍛えたんじゃない。魔術だけでは対応できないものが多々存在するから、他の部分を鍛えただけだ」
「ば、バカな……っ。そこまでの才能があれば魔術の高みを目指せるというのに、よそ見をしただと……!?」
「俺にはお前と違い、魔術よりも大切な者がいるんだ。それを守るためなら、なんだって犠牲にするつもりだ」
ティルは優しく温かい眼差しで、ミファを――勝負を制したミファを、一瞥する。
もう二度と、あの顔を悲しませない。
彼にはそんな、強い強い想いがあった。
「……これは威力故に発動に手間がかかるのだが、ようやく下準備が完成した。お遊びで魔術を何度も撃ってくれて助かった」
「オマエは避けながら、この円を描いていたのか……! だがっ、大掛かりな魔術は発動に時間がかかる! それまでに陣から出れば――」
「俺はお前と違い、慢心などない。いつでも発動できる状態になっているから、こうやって解説していたんだよ」
ティルはクールに嘲笑を返し、杖で輝く円をコンと叩く。それを合図にその円は更なる輝きを放ち、天に向けて白い光の柱がのぼった。
「がぁ!! がぁぁっ!! がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁ……!!」
「聖なる光に全身を焼かれて、お仕舞いだ。……勝手に決めつけて呑気に遊んだお前は、四流だな」
その台詞を紡ぎ終わると同時に、人型魔物は己が出したオリジナル魔術と共に消滅。広い大地にもう一つ、大きな魔石が転がったのだった。
「おっ、オリジナルだと……!? その若さで、もう所持しているだとっっ!?」
「ああそうだな。つい二週間前に完成したものだ」
軟禁中に。ティルはこの生活を想定し、魔物に特化したものを考えていた。
「……言っておくが俺は、魔術に限界を感じたから身体を鍛えたんじゃない。魔術だけでは対応できないものが多々存在するから、他の部分を鍛えただけだ」
「ば、バカな……っ。そこまでの才能があれば魔術の高みを目指せるというのに、よそ見をしただと……!?」
「俺にはお前と違い、魔術よりも大切な者がいるんだ。それを守るためなら、なんだって犠牲にするつもりだ」
ティルは優しく温かい眼差しで、ミファを――勝負を制したミファを、一瞥する。
もう二度と、あの顔を悲しませない。
彼にはそんな、強い強い想いがあった。
「……これは威力故に発動に手間がかかるのだが、ようやく下準備が完成した。お遊びで魔術を何度も撃ってくれて助かった」
「オマエは避けながら、この円を描いていたのか……! だがっ、大掛かりな魔術は発動に時間がかかる! それまでに陣から出れば――」
「俺はお前と違い、慢心などない。いつでも発動できる状態になっているから、こうやって解説していたんだよ」
ティルはクールに嘲笑を返し、杖で輝く円をコンと叩く。それを合図にその円は更なる輝きを放ち、天に向けて白い光の柱がのぼった。
「がぁ!! がぁぁっ!! がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁ……!!」
「聖なる光に全身を焼かれて、お仕舞いだ。……勝手に決めつけて呑気に遊んだお前は、四流だな」
その台詞を紡ぎ終わると同時に、人型魔物は己が出したオリジナル魔術と共に消滅。広い大地にもう一つ、大きな魔石が転がったのだった。
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