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第2章
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「へぇ~、ここが『クローズ』。同じ中心的な街でも、ノーンとは雰囲気が違うわね」
この国で一番大きな街にたどり着いた私は、360度を見回して「へぇ~」「へぇ~」と何度も感嘆の息を吐く。
高い城壁と木組みの建物、石畳という構成は同じなのだけれど、色々なところに装飾が施されていて綺麗に彩られている。それに街を歩いている冒険者関連と思わしき人以外は、みんなオシャレ。やはり『服飾文化発祥の地』と言われるだけあって、ナルセイや私達がいた国とは力の入れどころが違ってる。
「武具屋やアイテム屋よりも服飾関係の道が多いなど、この街――この国の人間は、そういう部分に生活の重きを置いているらしいな」(この様子だと恐らく一般人は、魔王ゲーランが国内に居るとは知らないのだろうな)
(そうね。知ってたら、それどころじゃないもの)
24時間365日大騒ぎで、こんなに楽しそうには過ごせない。もしかしたらゲーランは敢えて姿をさらさず、みんなを油断させようとしてるのかもだけど……。アイツの様子からすると、単に気まぐれかもしれない。
こういう部分を深く考えるのは無意味だから、ここまでにしときましょっか。
(それじゃあメイクス国内ということでゲーランを意識しつつ、まずは服を買いにいきましょっか)
「そうだな。できれば先に拠点を確認しておきたいが、この街での宿はサーゼル殿が紹介してくださった場所だ。そちらを優先してもよさそうだな」
実はサーゼルさん(ナルセイで泊ってた宿の主人さん)の旧友がやっている宿があって、出発前に宿泊の話をつけてくれてる。優良な宿を手掛けるあの人が『優良宿』と太鼓判を捺していたのだから、問題ないのよね。
「とにかくサービス品を、狙いたいわ。ティル。看板は、安売りをしている店までは教えてくれないのよね?」
「さしものクローズといえど、そんなサービスはないようだな。自分の足で探すしかないようだ」
「そりゃあそうよね。今のはちょっとしたジョークで、なら行きましょ」
この街は馬車の乗り入れが禁止されているので、預かり所に向けて――お馬さん達に向けて手を振り、出発。この街での最初の『やるべきこと』、洋服のスペア探しを始めたのでした。
この国で一番大きな街にたどり着いた私は、360度を見回して「へぇ~」「へぇ~」と何度も感嘆の息を吐く。
高い城壁と木組みの建物、石畳という構成は同じなのだけれど、色々なところに装飾が施されていて綺麗に彩られている。それに街を歩いている冒険者関連と思わしき人以外は、みんなオシャレ。やはり『服飾文化発祥の地』と言われるだけあって、ナルセイや私達がいた国とは力の入れどころが違ってる。
「武具屋やアイテム屋よりも服飾関係の道が多いなど、この街――この国の人間は、そういう部分に生活の重きを置いているらしいな」(この様子だと恐らく一般人は、魔王ゲーランが国内に居るとは知らないのだろうな)
(そうね。知ってたら、それどころじゃないもの)
24時間365日大騒ぎで、こんなに楽しそうには過ごせない。もしかしたらゲーランは敢えて姿をさらさず、みんなを油断させようとしてるのかもだけど……。アイツの様子からすると、単に気まぐれかもしれない。
こういう部分を深く考えるのは無意味だから、ここまでにしときましょっか。
(それじゃあメイクス国内ということでゲーランを意識しつつ、まずは服を買いにいきましょっか)
「そうだな。できれば先に拠点を確認しておきたいが、この街での宿はサーゼル殿が紹介してくださった場所だ。そちらを優先してもよさそうだな」
実はサーゼルさん(ナルセイで泊ってた宿の主人さん)の旧友がやっている宿があって、出発前に宿泊の話をつけてくれてる。優良な宿を手掛けるあの人が『優良宿』と太鼓判を捺していたのだから、問題ないのよね。
「とにかくサービス品を、狙いたいわ。ティル。看板は、安売りをしている店までは教えてくれないのよね?」
「さしものクローズといえど、そんなサービスはないようだな。自分の足で探すしかないようだ」
「そりゃあそうよね。今のはちょっとしたジョークで、なら行きましょ」
この街は馬車の乗り入れが禁止されているので、預かり所に向けて――お馬さん達に向けて手を振り、出発。この街での最初の『やるべきこと』、洋服のスペア探しを始めたのでした。
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