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7話(2)
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「ソーラさんレイルさん、丁度よかった。そちらに伺おうとしていたところなんですよ」
ギルドの出入り口を潜ると、アルジェさんが駆け寄ってきた。
ギルドマスターが、直々に来ようとしていた。何か、大きなことがあったみたいね。
「アルジェ殿、どうされたのですか? もしや、第二波関係なのでしょうか?」
「現時点では断言できませんが、不自然な現象が確認されました。ですので今し方緊急クエストを発令し、その調査メンバーを募集しているのですよ」
不自然な現象、ね。嫌な臭いがぷんぷんするわ。
「かなり、怪しいですね。アルジェさん、どこで何が起きてるんですか?」
「場所は北西方向にある、『カーレルの森(もり)』。そこに生息していたはずの魔物が、昨日から姿を消しているのですよ」
とあるパーティーが討伐系クエストに行ったら、指定された魔物がいなかった。
とあるパーティーが薬草を採りに行ったら、普段出会うはずの魔物がいなかった。
そんな報告が昨日の昼頃から入るようになって、今日になってもやっぱり魔物が一匹もいなかった。そこで現地調査を目的とした緊急クエストが発表されたそう。
「こんな事はこれまで一度もなく、間違いなく異常です。そこでお二人を中心とした調査隊を結成し、確認などをしていただきたいのですよ」
「この件は私達も関係していて、もちろん参加しますよ。他のメンバーさんは、もう集まってるんですか?」
「ええ、人員はすでに確保済みです。あちらの方々が引き受けてくださいました」
あちら。アルジェさんの斜め後ろを見てみると――
「「姉御に旦那、どうもっス……」」
「お、お久しぶりね」「「ど、ども。この間は、失礼致しました……」」
初日にティルがやっつけた2人とティルを勧誘してきた3人を含む、10人がスタンパイしていた。
他の参加者の半分が、ひと悶着あった人達。これはなかなかにすごいメンバーね……。
「オレらは罰として30万E分の奉仕を義務付けられていて、今回参加したんスよ……」
「姉御と旦那には二度と逆らいませんので、何卒よろしくお願いいたしますっス」
「「もう、無礼な真似はしません。こっちも仕事をこなさないと財政が厳しいんで、どうか仲良くさせてください」」
「事情を耳にしており僕も悩んだのですが、皆さんは反省されており、実力は確かな方ばかりです。今回は特例として、ご協力をお願いします」
「緊急なクエストなので、構いませんよ。ね、ティル」
「ミファが受け入れるのであれば、俺も受け入れる。こちらも問題はありませんよ」
こういう調査は何かあった時のために、自分の身は自分で守れる人がやらないといけない。アルジェさんはきっとそういう部分も考慮してるはずだから、私は首を縦に振った。
「ソーラさん、レイルさん、感謝致します。裏口に馬車を手配していますので、現地への移動はそちらを使ってください」
「はいっ。アルジェさん、いってきますね」
私達はスタッフ専用の通路を通り、各パーティーごとに乗車。4パーティー計4台の馬車が、カーレルの森目指して動き出したのだった。
ギルドの出入り口を潜ると、アルジェさんが駆け寄ってきた。
ギルドマスターが、直々に来ようとしていた。何か、大きなことがあったみたいね。
「アルジェ殿、どうされたのですか? もしや、第二波関係なのでしょうか?」
「現時点では断言できませんが、不自然な現象が確認されました。ですので今し方緊急クエストを発令し、その調査メンバーを募集しているのですよ」
不自然な現象、ね。嫌な臭いがぷんぷんするわ。
「かなり、怪しいですね。アルジェさん、どこで何が起きてるんですか?」
「場所は北西方向にある、『カーレルの森(もり)』。そこに生息していたはずの魔物が、昨日から姿を消しているのですよ」
とあるパーティーが討伐系クエストに行ったら、指定された魔物がいなかった。
とあるパーティーが薬草を採りに行ったら、普段出会うはずの魔物がいなかった。
そんな報告が昨日の昼頃から入るようになって、今日になってもやっぱり魔物が一匹もいなかった。そこで現地調査を目的とした緊急クエストが発表されたそう。
「こんな事はこれまで一度もなく、間違いなく異常です。そこでお二人を中心とした調査隊を結成し、確認などをしていただきたいのですよ」
「この件は私達も関係していて、もちろん参加しますよ。他のメンバーさんは、もう集まってるんですか?」
「ええ、人員はすでに確保済みです。あちらの方々が引き受けてくださいました」
あちら。アルジェさんの斜め後ろを見てみると――
「「姉御に旦那、どうもっス……」」
「お、お久しぶりね」「「ど、ども。この間は、失礼致しました……」」
初日にティルがやっつけた2人とティルを勧誘してきた3人を含む、10人がスタンパイしていた。
他の参加者の半分が、ひと悶着あった人達。これはなかなかにすごいメンバーね……。
「オレらは罰として30万E分の奉仕を義務付けられていて、今回参加したんスよ……」
「姉御と旦那には二度と逆らいませんので、何卒よろしくお願いいたしますっス」
「「もう、無礼な真似はしません。こっちも仕事をこなさないと財政が厳しいんで、どうか仲良くさせてください」」
「事情を耳にしており僕も悩んだのですが、皆さんは反省されており、実力は確かな方ばかりです。今回は特例として、ご協力をお願いします」
「緊急なクエストなので、構いませんよ。ね、ティル」
「ミファが受け入れるのであれば、俺も受け入れる。こちらも問題はありませんよ」
こういう調査は何かあった時のために、自分の身は自分で守れる人がやらないといけない。アルジェさんはきっとそういう部分も考慮してるはずだから、私は首を縦に振った。
「ソーラさん、レイルさん、感謝致します。裏口に馬車を手配していますので、現地への移動はそちらを使ってください」
「はいっ。アルジェさん、いってきますね」
私達はスタッフ専用の通路を通り、各パーティーごとに乗車。4パーティー計4台の馬車が、カーレルの森目指して動き出したのだった。
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