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「少年君。あたし達のパーティーに入ってくれたら、お姉さんがイイコトをしてあげるわよ?」
女性は少し前かがみになり、開いた胸元から覗く谷間を強調する。
3人の、ティルを引き込む作戦。それは、色仕掛けだった。
「少年君も男の子で、こういうのに興味があるでしょ? あたしと一緒に、楽しいコト、しない?」
「リーダーは生まれ育った村の異性全員に告白された、絶世の美女! こんな美人と行動できるんだから、当然来るよなっ?」
「いえ。答えは同じで、お断りさせていただきます」
ティルは、再び即答。小さく息を吐きつつ首を左右に動かした。
「貴方は確かに美しい女性ですが、それとこれは関係ありません。自分はそのような理由で組む相手を決めはしませんよ」
「そ、そんな……。リーダーの誘惑が、効かないだと……!?」
「こいつは、計算外だ……。リーダーどうしますっ?」
この人達はコレで篭絡できると思っていたみたいで、男性2人がオロオロしだす。
けれど、女性の態度は真逆。まだまだ余裕たっぷりで、妖艶に微笑んだ。
「少年君は大人の魅力に触れた経験がないから、ピンとこないのよ。大人の女ってのはね、こーんな感じなのよ」
むぎゅ。彼女はティルの左腕に抱き付き、大きな胸を押し当てた。
うわぁぁ。おっきな胸って、こんなに柔らかいんだ――ってコラ私。なんで女の私がドキドキしてんのよ。
「ほら、気持ちいいでしょ? イイ匂いがするし、ふわふわでしょ?」
「……………………はぁ」
別に、羨ましくなんてないもんね――。私は今でも平均はあるし、まだまだ伸びしろがあるもんね――。
一生懸命感情をコントロールしていたら、ティルの口から短い息が漏れた。
ぁ。この沈黙の長さから出る『はぁ』は、滅茶苦茶呆れている証。イライラ度30%というところだ。
「仲間になってくれたら、ここに触ってもいいのよ? どうかしら?」
「……………………………はぁ」
イライラ度、50%を突破。ティルは現在、施設内には何人も人がいるので体裁のために大人しくしている状態。
女性はため息に気付いていなくて離れる気配がないから、ここは私が強引にでも引き離そう。
「あの、お姉さん。ティルは嫌がっているので――」
「今リーダーが近寄ってるだろ。引っ込んでろっ」
「そうだそうだ! お前は大人しくしてろってのっ!」
近づこうとしていた私は、長髪の男性によって突き飛ばされた。
ぁ、ヤバ。これは
「大人しくするのは貴様だ。今すぐミファに謝罪しろ」
私が思ったことを、心の中で言い切る前に――ティルは瞬時に杖を構え、長髪の男性を鋭く睨みつけた。
その眼光は、冷徹。睨まれた男性がたまらず、「ひぃっ」とすくんでしまう程だった。
女性は少し前かがみになり、開いた胸元から覗く谷間を強調する。
3人の、ティルを引き込む作戦。それは、色仕掛けだった。
「少年君も男の子で、こういうのに興味があるでしょ? あたしと一緒に、楽しいコト、しない?」
「リーダーは生まれ育った村の異性全員に告白された、絶世の美女! こんな美人と行動できるんだから、当然来るよなっ?」
「いえ。答えは同じで、お断りさせていただきます」
ティルは、再び即答。小さく息を吐きつつ首を左右に動かした。
「貴方は確かに美しい女性ですが、それとこれは関係ありません。自分はそのような理由で組む相手を決めはしませんよ」
「そ、そんな……。リーダーの誘惑が、効かないだと……!?」
「こいつは、計算外だ……。リーダーどうしますっ?」
この人達はコレで篭絡できると思っていたみたいで、男性2人がオロオロしだす。
けれど、女性の態度は真逆。まだまだ余裕たっぷりで、妖艶に微笑んだ。
「少年君は大人の魅力に触れた経験がないから、ピンとこないのよ。大人の女ってのはね、こーんな感じなのよ」
むぎゅ。彼女はティルの左腕に抱き付き、大きな胸を押し当てた。
うわぁぁ。おっきな胸って、こんなに柔らかいんだ――ってコラ私。なんで女の私がドキドキしてんのよ。
「ほら、気持ちいいでしょ? イイ匂いがするし、ふわふわでしょ?」
「……………………はぁ」
別に、羨ましくなんてないもんね――。私は今でも平均はあるし、まだまだ伸びしろがあるもんね――。
一生懸命感情をコントロールしていたら、ティルの口から短い息が漏れた。
ぁ。この沈黙の長さから出る『はぁ』は、滅茶苦茶呆れている証。イライラ度30%というところだ。
「仲間になってくれたら、ここに触ってもいいのよ? どうかしら?」
「……………………………はぁ」
イライラ度、50%を突破。ティルは現在、施設内には何人も人がいるので体裁のために大人しくしている状態。
女性はため息に気付いていなくて離れる気配がないから、ここは私が強引にでも引き離そう。
「あの、お姉さん。ティルは嫌がっているので――」
「今リーダーが近寄ってるだろ。引っ込んでろっ」
「そうだそうだ! お前は大人しくしてろってのっ!」
近づこうとしていた私は、長髪の男性によって突き飛ばされた。
ぁ、ヤバ。これは
「大人しくするのは貴様だ。今すぐミファに謝罪しろ」
私が思ったことを、心の中で言い切る前に――ティルは瞬時に杖を構え、長髪の男性を鋭く睨みつけた。
その眼光は、冷徹。睨まれた男性がたまらず、「ひぃっ」とすくんでしまう程だった。
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