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2話(4)

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「ここで、いいな。そいじゃ、お仕置きの時間と洒落込むかぁ」

 薄暗い雰囲気の、4人しかいない場所。そこで私達は対峙していて、8~9メートル先では大男2人が剣とダガーを握りしめた。
 一人は戦士で、もう一人は『盗賊(とうぞく)』。特に盗賊は動きが素早く小回りが利くから、魔術師が不得意とする相手だ。

「もう『金をお渡しします!』と叫んでも、許しはしない。覚悟しろよぉ?」
「もとより、そんな台詞を吐くつもりはない。御託はいいからさっさと来い」

 ティルは素手のままで、一歩前に出る。
 やっぱり、理解不能だ。その状態で、どうやって勝つつもりなの……?

「はっ、とことん生意気なガキだぜ。リーダーっ」
「おうよ。まずはテメェから、ぶちのめしてやらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 二人が同じタイミングで地面を蹴り、盗賊が少し先行する形でグングン距離を詰めてくる。
 今のティルなら一人でも大変なのに、二人同時。どうするつもりっ!?

「………………」

 幼馴染の様子を確認してみると、彼は何もしない。ただただ真っすぐ、静かに、接近する二人を見ている。

「かははっ、まさかの無抵抗かよっ。だが遠慮はしねーぞっ!」

 そんな姿を見てヤツらが手加減するはずもなく、二人は引き続き接近。やがてはそれぞれの攻撃圏内に入り、得物を握る手に力が込められた。

「もしかしてお前っ。ビビッて動けないのかっ?」
「ははは、そりゃ最高だっ! そのまま黙って、オレらに斬られちまいなぁっ!!」

 先行していた盗賊の男が重心を低くし、それを跨ぐようにもう片方の男がジャンプ。一人は相手の上半身を、もう片方は相手の下半身を狙って、刃物を握った右腕を動かす。
 銀色に輝く切っ先はそのまま宙を突き進み、同時攻撃がティルを――

「わざわざ近づいてくれて、感謝する。これはそのお礼だ」

 ティルは突然左右の手を正面に突き出し、握っていた手をパッと開く。そうすればその瞬間――っっ!? ティルの真ん前で爆発が起こり、ヤツらはそれを避けられず直撃。そのまま後方に飛ばされ、二人は顔を抑えて転がり回るようになった。

「ぐぁぁ……。ぁがあああああ……!」
「いぇて……! かおが……っ! いてぇぇぇ……!」
「??? なにこれ? どうなってるの?」

 私は苦しむ二人と平然としている一人を交互に眺め、間抜けにポカンとしてしまう。
 ずっと見守っていたのに、全然わからない。なにが起きたの?
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