お父様お母様、お久しぶりです。あの時わたしを捨ててくださりありがとうございます

柚木ゆず

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第4話 あの日以降のヤニックとジネット 俯瞰視点(2)

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「…………………………」
「…………………………」

 V字回復を目指して動き出してから、およそ半年後。ヤニックとジネットは、アヴァザール邸内で顔を真っ青にしていました。
 あんなにも意気揚々としていたのに、180度違う様子となっている理由。それは――

 莫大な借金を背負ってしまったから。

 商会の業績は、右肩上がりではなく右肩下がりを継続。やることなすこと失敗に終わり、状況は更に悪化――これまでとは比にならないほどに、火の車となってしまっていたのです。

「…………………………こんなことに、なるだなんて……」
「…………………………こんなことに、なるなんて……」

 今度こそ挽回できると意気込んでいた計画の大失敗を知らされ、エントランスにて棒立ちが始まってから20分後。二人はようやくポツリと呟き、それが切っ掛けとなって感情が荒れ狂い始めます。

「なぜなのだ!? ウチにはもう疫病神は居ないのだぞ!? 悪化の元凶は存在していないというのに!! なぜこんなことになるのだっ!!」
「あの子が生まれる前はずっと黒字だったのよ!? エマが居なくなったからあの頃に戻るはずなのにっ、どうなっているの!?」

 そうなっているわけは、赤字転落にエマは関係がなかったから。
 商会の舵を取るワンマン経営者であるナンバー1と2は、その実極めて無能。これまで黒字だったのは『先代が遺した功績』や『偶々時代の波に乗れていた』という、実力外の力が働いていたからだったのです。
 そのためそれらがなくなったことで業績は著しく悪化してゆき、そんな状態でそんな人間が大勝負に出たので、大損害が発生してしまっていたのでした。

「! 分かった!! きっとアイツらのせいだ!! ランバール達が指示通りに動かなかったんだ!!」
「そうよっ! ランバール達はずっと止めてきていたんだもの!! 邪魔をされてしまったせいだわ!!」

 自分達の実力を過信しているヤニックとジネットは、部下のせいにして激昂。使用人たちがおもわず顔を顰めるような暴言を吐きたっぷりと罵った二人は、顔を真っ赤にしたまま頷き合いました。

「ならば、我々だけで一貫して動けばこうはならない。ジネット!」
「ええっ。ランバール達は今すぐクビにして、もう一度挑戦しましょう!」

 そうして落胆していたヤニックとジネットは立ち上がり、今度こそ成功を掴み取るべく――動き出すことは、叶いませんでした。
 なぜならば――

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