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第11話 その後 ジェラールSide ~これから発生する、2つの出来事~ ジェラール視点(1)

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「……………………」
「……………………」

 強制的に追い返されてから、もう5時間が経ったらしい。俺と父上はソファーに力なく座り、執務室の天井を力なく見上げていた。

「……………………」
「……………………」

 マリエット・ルアール。不釣り合いな、最悪な女。アイツとの婚約維持、結婚が決まってしまったんだ。
 そのせいで他の女との結婚、密かな交際さえも不可能となって、好きでもないヤツが屋敷の中に居続けることになるんだ……。世間から白い目で見られるようになるんだ……。
 どんな強靭なメンタルの持ち主だって、放心してしまうに決まっている……。

「……………………」
「……………………」
「……………………」
「……………………もう、終わりなのか……? どうすることも、できんのか……?」

 更に2時間ほど、一点を眺めていた頃だろうか。正面から、小さな声が聞こえてきた。

「明日になれば奴らがやって来て、同棲が始まって……。我が家(いえ)の悪評が広まって……。何もかにもが、悪い方向へと進んでゆく……。それを止めることは、できないのか……?」
「……………………」
「ジェラールよ……! 無理なのか……!? もう、どうにもならんのか……!?」
「っっ、ならないに決まっているだろう!! 相手はあのオルヴァス家なんだぞ!? 次期当主に明確な敵意を抱かれてしまったんだぞ!? 何ができるというんだ!?」

 目の前にあったグラスを壁へと投げつけ、前方を睨みつける。
 伯爵家と侯爵家っ! これだけでも差があるのに、相手はツートップの片割れっ。侯爵家の中でも圧倒的な地位権力を持つ家なんだぞ!? 可否は当主であるアンタがよく理解しているだろうが!!

「っ、なんなのだその態度は!! もとはといえばっ、お前が悪いのだろうが!!」
「なんだと!? どういうことだ!?」
「どういうこと? それさえも分らんのか!? お前がクラリスではなくマリエットが良いと言い出しっ、あんなやり方で縁を切ったことが発端じゃないか!! お前のせいで侯爵家に睨まれる羽目になりっ、1億もの借りができてしまいっ、子爵家如きに翻弄される羽目になっているのだろうが!!」
「っっ、ふざけるな!! アンタが俺をしっかりと咎めていたらっ、なにも起きていなかったじゃないか!! アンタだって同罪だ!! こっちだけに押し付けてくるんじゃない!!」
「貴様っ、言うに事欠いて……!! この親不孝者がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 ぐあ!?
 こ、コイツ……っ。俺を殴りやがった……!
 そっちがそう来るのならっ! 俺だって――

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