わたしを追い出した人達が、今更何の御用ですか？

第１４話 報告と来訪 エミリー視点（１）

「ただいま、エミリーさん。無事にロビン様と直接会ってお話しをできて、とても喜んでいらっしゃったよ」
「お帰りなさい、リシャールさん。わざわざありがとうございました」

　チュワヴァス邸のエントランスで、わたしは姿勢を正して感謝をお伝えしていました。
　このあとに控えている大事な出来事が、もしかしたら前倒しになるかもしれない。そんな可能性があったため、わたしはこの場を離れることができませんでした。
　本人が――問題を起こした者の関係者が直接赴けないのは無礼と重々承知でしたが、ご報告は一日も早い方がいいのでお任せしていたのです。

「ロビン様は感謝されていたよ。後日エミリーさんに会って謝意を伝えたい、とも仰られていた」
「その際は今度こそ、わたし自身がうかがわないといけませんね。……やっと、あの人達の愚行に介入することができました。これでもまだまだ足りませんが、お詫びを行えてホッとしています」

　気に食わないから、捏造をして陥れる。そんなことがあっていいはずがありません。
　何かできる状況ではなかったから無関係、とはならない。なるはずがない。
　わたしはこの先も精一杯、わたしにできることを行わせていただきたいと思います。

「その台詞とその瞳、エミリーさんらしいね。……だからこそ、僕は……」
「リシャールさん？　ごめんなさい、よく聞こえませんでした。なんと仰ったのでしょうか？」
「なんでもないよ、独り言。だから気にしなくてよくて、そんなことよりもうすぐ時間だね」
「は、はい。そうですね。いらっしゃるお時間です」

　アンジェリック・ゼルアレー様。わたしの作品に興味を持ってくださった、もう一人の恩人。
　アンジェリック様はわたしと直接お話しをしたいと仰られていて、そちらが今日このあと行われるお約束になっているんです。

「その際には、アンジェリック様にお伝えしたいことがあるんだよね？　受け入れてくださるといいね」
「許可をいただけると、幸せです。性質上実現は難しいとは思いますが、お願いをさせていただきます」

　そうしてわたしはすぐにアンジェリック様をお迎えする準備を行い、それから十数分後にゼルアレー公爵家の馬車が到着しました。
　ですのでアンジェリック様とわたしは、邸内にある応接室に移動をして――