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第9話 その後 俯瞰視点(3)
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「ごきげんよう、御三方。先ほどぶりですね」
激昂していたマリオンが、平手打ちをできなかった理由。それは突然、銀髪の男が――リシャールが現れたからです。
「な……どうしてここに……? 門番はなにをしているのだ!?」
「当主殿、あの方を責めないでください。門番殿は僕を通さざるをえなかったのですよ」
「通さざるを、えない……? な、なぜですの……!?」
「他家の人間を、私達の許可なしに入れないといけないだなんて……。どういう、こと……?」
「まずは、こちらを――最も重要な部分を、単刀直入にお伝えいたしましょう。皆様の行いは本日、白日のもとに晒されることとなりましたよ」
祖母の形見のブローチを欲しいと要求し、拒否が切っ掛けで激昂。妹マリオンの要望を聞き、父ロークと母リリアンが追放を決めたこと。
ゼルアレー公爵家のアンジェリックが、作品を気に入りエミリーとの会話を希望したため――保身のために、大急ぎでエミリーを探していたこと。
それら全てが明らかとなり、その話は現在猛スピードで貴族界内外に拡散されていっている。そういった内容を、リシャールは3人に伝えました。
「対話を望まれていたアンジェリック様の、ゼルアレー公爵家。会のメンバーが属する、フィリックス侯爵家、ボレリエイ伯爵家、イオテリカ伯爵家、それと我がチュワヴァス子爵家。そして、治安機関。以上の5貴族と公的機関が僕の依頼に応えてくださり、あちこちに真実を広めてくださっているのですよ」
「……バカな……。なにが、起きているんだ……」
「どうなっているの……。どうして……!?」
まだアンジェリックの件のタイムリミットは来ておらず、エミリー追放の件はアンジェリックに悟られていません。にもかかわらず、貴族が4つも協力している――状況を把握できていないゼルアレー家たちが、事実と認めて参画している。
その理由が分からず、3人は間抜けに目を瞬かせました。
「それに、治安機関まで協力しているだなんて……。信じられない……。僕の依頼って……。普通、広めてとお願いされても広めない……。なんなんですの……!?」
「そうしてくださっている理由は、それぞれのお家と機関の代表者の方が、その御耳で真実を聞いているから。僕の言い分がすべて事実であると理解していらっしゃるから、力を貸してくださっているのですよ」
「…………え? 聞いた?」「聞いた……?」「聞いた……?」
「ええ、聞いた、ですよ。ああすみません、そういえば言っていませんでしたね。皆様が応接室でお話しをされていた時、ドアの向こう側には代表者の方々がいらっしゃったのですよ」
3人が大急ぎでチュワヴァス邸を訪れる、その1時間以上前。リシャールの要望を受け、関係者は屋敷に集まっており――
『……お姉様、ごめんなさい。わたくし、反省しております……』
『……エミリー、すまない……。心から反省している……』
『……ごめんなさい、エミリー……。貴方にしたこと、反省しているわ……』
――マリオン、ローク、リリアンが自ら追放騒動の詳細を語ったため、誰一人としてリシャールの言い分を疑う者はいなかったのです。
激昂していたマリオンが、平手打ちをできなかった理由。それは突然、銀髪の男が――リシャールが現れたからです。
「な……どうしてここに……? 門番はなにをしているのだ!?」
「当主殿、あの方を責めないでください。門番殿は僕を通さざるをえなかったのですよ」
「通さざるを、えない……? な、なぜですの……!?」
「他家の人間を、私達の許可なしに入れないといけないだなんて……。どういう、こと……?」
「まずは、こちらを――最も重要な部分を、単刀直入にお伝えいたしましょう。皆様の行いは本日、白日のもとに晒されることとなりましたよ」
祖母の形見のブローチを欲しいと要求し、拒否が切っ掛けで激昂。妹マリオンの要望を聞き、父ロークと母リリアンが追放を決めたこと。
ゼルアレー公爵家のアンジェリックが、作品を気に入りエミリーとの会話を希望したため――保身のために、大急ぎでエミリーを探していたこと。
それら全てが明らかとなり、その話は現在猛スピードで貴族界内外に拡散されていっている。そういった内容を、リシャールは3人に伝えました。
「対話を望まれていたアンジェリック様の、ゼルアレー公爵家。会のメンバーが属する、フィリックス侯爵家、ボレリエイ伯爵家、イオテリカ伯爵家、それと我がチュワヴァス子爵家。そして、治安機関。以上の5貴族と公的機関が僕の依頼に応えてくださり、あちこちに真実を広めてくださっているのですよ」
「……バカな……。なにが、起きているんだ……」
「どうなっているの……。どうして……!?」
まだアンジェリックの件のタイムリミットは来ておらず、エミリー追放の件はアンジェリックに悟られていません。にもかかわらず、貴族が4つも協力している――状況を把握できていないゼルアレー家たちが、事実と認めて参画している。
その理由が分からず、3人は間抜けに目を瞬かせました。
「それに、治安機関まで協力しているだなんて……。信じられない……。僕の依頼って……。普通、広めてとお願いされても広めない……。なんなんですの……!?」
「そうしてくださっている理由は、それぞれのお家と機関の代表者の方が、その御耳で真実を聞いているから。僕の言い分がすべて事実であると理解していらっしゃるから、力を貸してくださっているのですよ」
「…………え? 聞いた?」「聞いた……?」「聞いた……?」
「ええ、聞いた、ですよ。ああすみません、そういえば言っていませんでしたね。皆様が応接室でお話しをされていた時、ドアの向こう側には代表者の方々がいらっしゃったのですよ」
3人が大急ぎでチュワヴァス邸を訪れる、その1時間以上前。リシャールの要望を受け、関係者は屋敷に集まっており――
『……お姉様、ごめんなさい。わたくし、反省しております……』
『……エミリー、すまない……。心から反省している……』
『……ごめんなさい、エミリー……。貴方にしたこと、反省しているわ……』
――マリオン、ローク、リリアンが自ら追放騒動の詳細を語ったため、誰一人としてリシャールの言い分を疑う者はいなかったのです。
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