わたしを追い出した人達が、今更何の御用ですか?

柚木ゆず

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第7話 返事は マリオン視点

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((……………………))

 エミリー・・・・の要求を聞いて、おもわず呆然となっていた。
 わたくしを、追い出す……? お屋敷から……?

 もしも断ったらエミリーがお屋敷に戻ってこなくなって、アンジェリック様の件に対処できなくなる。
 もしも認めたらエミリーがお屋敷に戻って来るようになって、代わりにわたくしがお屋敷から追い出されてしまう。

 どっちになっても、待っているのは地獄……。
 とんでもないことに、なってしまった……。

((駄目……どっちも、駄目……! 第三の選択を用意させないと、大変なことになる……!!))

 でも……。

「――反省していたとしても、無理なんですよ。……今回の騒動が決定打となったのでしょうね。わたしを再三苦しめた元凶とは一緒に暮らしていけないと、心が拒否しているのですよ」

 第三の選択肢も、無理……。
 エミリーはわたくしを恨んでいて・・・・・……。それ以外の選択を用意させるのは、不可能……。

「お父様お母様。マリオンを追い出せば、わたしと過ごせるようになるんですよ」
「「「………………」」」
「お二人はわざわざいらっしゃるほどに、後悔していて、わたしに戻って来て欲しいと思っているんですよね? でしたら、喜んで行ってくれますよね?」

 後悔しているのも反省しているのも、嘘。わたくしもお父様もお母様も、エミリーは問題解決の道具としか見ていない。
 お父様とお母様の子どもはわたくしだけで、わたくしが辛い思いをするような選択はしないと――

「…………………………」
「…………………………」

 ――お、お父様? お母様?
 な、なんで黙っているの!? なんで拒否をしないの!?

「…………………………」
「…………………………」

 要求を受け入れなかったら、アンジェリック様の件で大変なことになる! 分かってるっ!!
 でも要求を受け入れたら、わたくしが辛い目に遭うのよ!? 分かってる!? 分かってるでしょ!?

((もしかしてっ、わたくしだけを切り捨てるつもりなの!? 違うわよね!? 違うんでしょっ!? 早く何とか言いなさいよ!!))
「…………エミリー」「…………エミリー」

 言葉にする余裕がなくて口をパクパクさせながら心の中で怒っていると、ようやく2人は声を出した。
 そして――


「分かった。マリオンを追い出そう」
「分かったわ。マリオンを追い出すわ」


 ――…………………………………………。
 お父様とお母様は……。
 わたくしを、捨て、た………………。


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