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第12話 分からない~諦め、そして~ ロベール視点
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((駄目だ……。直接お話しをしてみても、一切進展がない……))
サンルームにリーズ様をお招きして、1時間と少しが経過した頃。僕はお喋りをしながら、心の中で眉を寄せていた。
『ロベール様。お手数をおかけいたします』
その手がかりを得るべくあらゆる部分に目を光らせていたものの、手掛かりはなし。相変わらず、推測の材料になるものすら見つけることができなかった。
((1時間色々な角度から観察してみても、意味がなかったんだ……。恐らく、これ以上続けても無意味だろう))
すでに、それらを追及できそうな質問などはしてしまっている。これから行えるのはそれ以下の効果を持つものなので、残念ながら確定的だ。
((こうして、2人きりの状況下で叶わなかったのだから……。他の機会でも、良い成果は望めない))
明日になれば登校し、お誘いすればカフェテリアなどで共に過ごせる。だがそれでも、同じ結果となってしまうだろう。
((できれば悟られないように気付き、不安などがあれば取り除きたかったが……。仕方がないな))
あの言葉の意味を伺い、この機会にあの日の表情についても尋ねておこう。
――寂しげな笑み――。
一昨日僅かの間現れた、不自然な表情。ずっと気になっていたものも、瞭然とさせておこう。
((そのためには……。言い出しやすい雰囲気を、作らないといけないな))
なので更に明るく更に活発に、更に積極的に動いて場を温めてゆく。そして、
「よろしければ『あ~ん』をさせてはいただけないでしょうかっ? はははっ!」
コレが終わったら伺おう。そう決めてマドレーヌを差し出していたら、予期せぬ事態が発生した。
「あ……れ……?」
恐らくは、激しい立ち眩みなのだろう。突然立ち上がられたリーズ様の目から光が消え、身体が急激に傾き始めた。
((っ、このままでは顔から激突してしまう……っ。だが……))
僕達はテーブルを挟んで向かい合っていたし、僕はイスに座っている。転倒を阻止するには、時間も距離も足りない。
――激突は確実だ――。
――床は硬い――。
――大怪我をしてしまう――。
なのでそんな文字たちが頭を過り、
――させるか!!――。
続いてそんな言葉が、頭の中を駆け巡る。
((愛する人が、目の前で怪我をしてしまう。何もできずに終わる。そんな未来を生むものかっ!!))
ロベール! お前は一度、リーズ様を助けているだろう!? 一度できたならもう一度できるはずだ!!
――あの時とは条件が違う!? 状況が悪すぎる!?――
――そんなもの知るか!!――。
――間に合わせろ!!――。
僕は僕自身に叫び、そこからは、時間の流れが遅く感じた。
周りはスローなのに、自分だけは早く動けているような感覚。
僕はイスを飛ばしながら立ち上がって床を蹴り、前方へとダイブして――
「……ふぅ。どうにか、間に合ったね」
床にぶつかる寸前で、リーズ様を抱き留めたのだった。
サンルームにリーズ様をお招きして、1時間と少しが経過した頃。僕はお喋りをしながら、心の中で眉を寄せていた。
『ロベール様。お手数をおかけいたします』
その手がかりを得るべくあらゆる部分に目を光らせていたものの、手掛かりはなし。相変わらず、推測の材料になるものすら見つけることができなかった。
((1時間色々な角度から観察してみても、意味がなかったんだ……。恐らく、これ以上続けても無意味だろう))
すでに、それらを追及できそうな質問などはしてしまっている。これから行えるのはそれ以下の効果を持つものなので、残念ながら確定的だ。
((こうして、2人きりの状況下で叶わなかったのだから……。他の機会でも、良い成果は望めない))
明日になれば登校し、お誘いすればカフェテリアなどで共に過ごせる。だがそれでも、同じ結果となってしまうだろう。
((できれば悟られないように気付き、不安などがあれば取り除きたかったが……。仕方がないな))
あの言葉の意味を伺い、この機会にあの日の表情についても尋ねておこう。
――寂しげな笑み――。
一昨日僅かの間現れた、不自然な表情。ずっと気になっていたものも、瞭然とさせておこう。
((そのためには……。言い出しやすい雰囲気を、作らないといけないな))
なので更に明るく更に活発に、更に積極的に動いて場を温めてゆく。そして、
「よろしければ『あ~ん』をさせてはいただけないでしょうかっ? はははっ!」
コレが終わったら伺おう。そう決めてマドレーヌを差し出していたら、予期せぬ事態が発生した。
「あ……れ……?」
恐らくは、激しい立ち眩みなのだろう。突然立ち上がられたリーズ様の目から光が消え、身体が急激に傾き始めた。
((っ、このままでは顔から激突してしまう……っ。だが……))
僕達はテーブルを挟んで向かい合っていたし、僕はイスに座っている。転倒を阻止するには、時間も距離も足りない。
――激突は確実だ――。
――床は硬い――。
――大怪我をしてしまう――。
なのでそんな文字たちが頭を過り、
――させるか!!――。
続いてそんな言葉が、頭の中を駆け巡る。
((愛する人が、目の前で怪我をしてしまう。何もできずに終わる。そんな未来を生むものかっ!!))
ロベール! お前は一度、リーズ様を助けているだろう!? 一度できたならもう一度できるはずだ!!
――あの時とは条件が違う!? 状況が悪すぎる!?――
――そんなもの知るか!!――。
――間に合わせろ!!――。
僕は僕自身に叫び、そこからは、時間の流れが遅く感じた。
周りはスローなのに、自分だけは早く動けているような感覚。
僕はイスを飛ばしながら立ち上がって床を蹴り、前方へとダイブして――
「……ふぅ。どうにか、間に合ったね」
床にぶつかる寸前で、リーズ様を抱き留めたのだった。
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