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プロローグ~ロベールのプロローグ~ ロベール視点
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僕ロベール・フィラミスには、恋をしている人がいる。
その人はここ王立ティアテス学院の2年B組に籍を置く、ハネット子爵家のリーズ様。リーズ様への気持ちが芽生えたのは、半年前のことだった。
「おっと危ない。お怪我はありませんか?」
その更に半年前の、ある日。彼女は僕の近くで貧血を起こし、階段から落ちるすんでのところで助けることができた。そして顔色が悪かったため保健室まで運び、その日は予定が何もなかったため、リーズ様が落ち着かれるまで傍で見守った。
「フィラミス様、ご迷惑をおかけし申し訳ございませんでした。このたびは助けていただき、まことにありがとうございました」
「後者は受け取らせてもらいますが、前者は受け取れませんよ。これは、僕が好きで行ったことです。貴方が無事で本当によかった」
困っている人、危険な状態になっている人を助けるのは、当たり前のこと。そのため、お礼は一切不要なのだけれど――。リーズ様はそちらを望まれており、それを断るのは野暮というもの。
そこで次の日のお昼休みに手作りのカップケーキをいただき、そちらを2人で食べながらお喋りを行った。
「リーズ様、とても美味しいです。お上手なのですね」
「喜んでいただけて、幸せです。……よかった……っ」
「おや、小鳥ですね。甘い匂いに誘われて、やってきたのでしょうね」
「ふふっ、そうみたいですね。……鳥さん達も、カップケーキを食べたいのですか? でも、これは駄目ですよ? これらには皆様のお体には悪い材料が入っていますから、こちらをどうぞ」
頬をピンク色に染めて、はにかむ姿。小鳥たちに優しくカップケーキを差し出す姿。それなりに警戒心があるはずの鳥が肩に乗り、それを愛おしげに眺める姿。
気が付くとそれらの姿に目を奪われていて、彼女をもっと知りたくなった。そうしてリーズ・ハネット様に対する理解を深めてゆき、
知れば知るほどに、良い点だけが増えていった。
だからこの心の中に『好き』という感情が芽生え、すぐにそれは『大好き』へと成長していった。
そのため、今から1日前。その日の放課後、リーズ様に告白をしようと決めていた。
けれど、そんな日の昼に――
「あらまあ、そうなのですね。次はリーズ様、好みを教えてくださいまし」
「私ですか? そうですね…………。しいて挙げるなら、明るくて活発で積極的、だと嬉しいですね」
――偶然カフェテリアでリーズ様を見かけ、そんな会話を耳にしてしまった。
((……明るくて、活発で積極的。それが、リーズ様の好みのタイプなのか……))
僕は明るさはあるとは思うが、落ち着いていると言われることが多い。つまり活発さと積極さはあまりなく、2つ目と3つ目の条件を満たしてはいない。
((リーズ様は外見ではなく、性格を重視される方だ。となると…………このままでは、告白を受け入れてはいただけない……))
この胸の中はリーズ様一色で、どうしてもリーズ様と交際をしたい。そのため僕は必死になって練習を行い――
「やあやあリーズ様ごきげんよう! 今日のランチは僕と一緒にどうかなっ?」
――明るくて活発で、積極的。翌日より、彼女が好む性格になったのだった。
その人はここ王立ティアテス学院の2年B組に籍を置く、ハネット子爵家のリーズ様。リーズ様への気持ちが芽生えたのは、半年前のことだった。
「おっと危ない。お怪我はありませんか?」
その更に半年前の、ある日。彼女は僕の近くで貧血を起こし、階段から落ちるすんでのところで助けることができた。そして顔色が悪かったため保健室まで運び、その日は予定が何もなかったため、リーズ様が落ち着かれるまで傍で見守った。
「フィラミス様、ご迷惑をおかけし申し訳ございませんでした。このたびは助けていただき、まことにありがとうございました」
「後者は受け取らせてもらいますが、前者は受け取れませんよ。これは、僕が好きで行ったことです。貴方が無事で本当によかった」
困っている人、危険な状態になっている人を助けるのは、当たり前のこと。そのため、お礼は一切不要なのだけれど――。リーズ様はそちらを望まれており、それを断るのは野暮というもの。
そこで次の日のお昼休みに手作りのカップケーキをいただき、そちらを2人で食べながらお喋りを行った。
「リーズ様、とても美味しいです。お上手なのですね」
「喜んでいただけて、幸せです。……よかった……っ」
「おや、小鳥ですね。甘い匂いに誘われて、やってきたのでしょうね」
「ふふっ、そうみたいですね。……鳥さん達も、カップケーキを食べたいのですか? でも、これは駄目ですよ? これらには皆様のお体には悪い材料が入っていますから、こちらをどうぞ」
頬をピンク色に染めて、はにかむ姿。小鳥たちに優しくカップケーキを差し出す姿。それなりに警戒心があるはずの鳥が肩に乗り、それを愛おしげに眺める姿。
気が付くとそれらの姿に目を奪われていて、彼女をもっと知りたくなった。そうしてリーズ・ハネット様に対する理解を深めてゆき、
知れば知るほどに、良い点だけが増えていった。
だからこの心の中に『好き』という感情が芽生え、すぐにそれは『大好き』へと成長していった。
そのため、今から1日前。その日の放課後、リーズ様に告白をしようと決めていた。
けれど、そんな日の昼に――
「あらまあ、そうなのですね。次はリーズ様、好みを教えてくださいまし」
「私ですか? そうですね…………。しいて挙げるなら、明るくて活発で積極的、だと嬉しいですね」
――偶然カフェテリアでリーズ様を見かけ、そんな会話を耳にしてしまった。
((……明るくて、活発で積極的。それが、リーズ様の好みのタイプなのか……))
僕は明るさはあるとは思うが、落ち着いていると言われることが多い。つまり活発さと積極さはあまりなく、2つ目と3つ目の条件を満たしてはいない。
((リーズ様は外見ではなく、性格を重視される方だ。となると…………このままでは、告白を受け入れてはいただけない……))
この胸の中はリーズ様一色で、どうしてもリーズ様と交際をしたい。そのため僕は必死になって練習を行い――
「やあやあリーズ様ごきげんよう! 今日のランチは僕と一緒にどうかなっ?」
――明るくて活発で、積極的。翌日より、彼女が好む性格になったのだった。
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