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第6話 2度目の決行 リュシエンヌ視点(2)

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「……? それは…………ノート……?」
「そう、ノート。アンタが破ってくれたノートよ」

 突き飛ばされたり、水をかけられたり、ノートを破られたり、腐りかけた残飯を食べさせられたり……。
 僅か2か月の間に、合わせて54回も……。ほぼ毎日のように、何かしらをされていたのです……。

 あれはまだ『わたし』だった頃の、1か月前。面白がって目の前で破られたノートだ。

「これが……? なんなの……?」
「これがアンタをとっっても困ったことにさせるのよ。……口で説明しても分かりにくいでしょうしね。実際に見せてあげるわ」

 百聞は一見に如かず、というものね。ご覧に入れてあげましょう。

「ここで追加のアイテムが登場。耳かきとこの小瓶――瓶の中に入っている粉を使うわ」
「耳かきと、粉……? なんなの、その粉は……?」
「『疑似アルミパウダー』――って言っても、そもそも『アルミ』が分からないでしょ? 黙って見てなさい」

 この世界には金属のアルミがないから、ここから連想させることもできない。今知ったところで意味はないから、詳説は後回しにして続ける。

「まずはこの小瓶の蓋を開け、そこに耳かきを突っ込み、耳かきの後ろに粉を付着させる」

 耳かきのお尻についている、白いふわふわ。この部分にたっぷりと粉末をまとわせ、小瓶から耳かきを取り出す。

「??? ???」
「あとはこれをノートの表紙部分に近づけ、ポンポンと軽く叩く。これを十数回行うと――こんな風になるのよね」
「??? 粉を表紙につけた、だけ……? こんなことをして、何になるというの……?」
「違う、つけただけ、じゃないわ。よ~く見てみなさい。この部分に、なにか見えるでしょう?」

 半分になった表紙の、向かって右側の部分を指でさす。
 その周りも粉だらけになってるけど、そこだけ違うことになっているはずよ。指差したのだから、今度こそ理解できるわよね?

「…………なにも、見えない――っ! 模様? 模様が、浮かび上がっている……?」
「そうね、模様が浮かび上がってるわ。ちなみにこれ、なんだか分かる?」
「…………分からない。分かるはずないでしょ。なんなのよそれは……?」
「ま、そうでしょうね。ここに浮かび上がっている模様はなんなのか? それはね」

 ノートをさしていた指を動かし、マチルドを――マチルドの右手を真っすぐ指差す。そして、そうしながら――


「これは、『指紋』。アンタの指紋よ」


 ――コレの正体を教えてあげたのだった。


 ここにマチルドの指紋がある、ということは――
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