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第4話 大きな予想外と、特大の予想外 俯瞰視点
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「なんだって!? 拒否をした!?」「拒否をされたですって!?」「拒否をしただと!?」
フロリアンの帰りを待っていた、父ジェローム、婚約者エリア―ヌ、エリア―ヌの父モリス。そんな3人の目は大きく見開かれ、その口は揃ってあんぐりと開いていました。
そうなった理由は言わずもがな、フロリアンが怒りに震えながら戻ってきたからです。
「アイツっ、ファブリスは刺し違えるつもりなんですよ!! 自分達がどうなってもいいから俺を苦しめようとしているんですよ!!」
『返事は、ノーだ。フロリアン、貴様にやる施しなど存在はしない』
『恩を仇で返し、娘の心も体もボロボロにした男。そんな下衆に従うはずがないだろう』
『以上だフロリアン、貴様と話すことはもうない。もうそろそろ娘がザーダ――コホン。外出先から帰ってくるのでな、早急に立ち去ってもらおう』
フロリアンは顔を真っ赤にしながら応接室での出来事を語り、それを聞いた3人の顔もみるみる変化。あっという間に全員が同じ表情となり、室内に金切り声が響き渡りました。
「伯爵家の分際で生意気ですわ!! お父様!! わたくし達の恐ろしさを思い知らせてやりましょう!!」
「我々の家(いえ)のみならず、名門侯爵家を軽視するとは……! 看過できない暴言ですな!!」
「ああエリア―ヌ!! その通りだ卿!! 刺し違える? 自惚れぬなよ!! 嫌という程に現実を思い知らせてやる!!」
マノンの存在を知りながら声をかけた、エリア―ヌ。娘の略奪を許すどころか、応援していたモリス。そんな二人の心も当然歪みきっており、早速醜き計画が動き出しました。
「エリア―ヌ様、あの男は――あの家は、あまりにも調子に乗っている。徹底的に絶望を刻み込んでやってください!」
「……当たり前ですわ。お父様、どちらか片方なんて生ぬるい! 全員の心と身体を、ズタボロにしましょう!」
「うむ、そのつもりで動かしておるよ。あと三日もすれば準備は整い、実行に移せるだろうさ」
ミラレア侯爵家には、優秀な臣下が大勢存在しています。ですので着々と企みは進んでゆき、三日が経過。モリスの読み通り下準備は完了となり、いつでも実行できる状態なった――のですが、モリス達はゴーサインを出せなくってしまいます。
なぜならば――
「む? 緊急の報告だと? なんなのだ……?」
「ま、マノンっ! マノン・アリサリアがっ、ザーダンドの貴族と!! あのウィラルズ公爵家の嫡男であるアレクシとっ、婚約を行っているもようです!!」
ターゲットにしていた家は、隣国の筆頭公爵家と繋がっていたと知ったから。自分達より圧倒的に格が上の家と繋がっていたと、知ってしまったからです。
フロリアンの帰りを待っていた、父ジェローム、婚約者エリア―ヌ、エリア―ヌの父モリス。そんな3人の目は大きく見開かれ、その口は揃ってあんぐりと開いていました。
そうなった理由は言わずもがな、フロリアンが怒りに震えながら戻ってきたからです。
「アイツっ、ファブリスは刺し違えるつもりなんですよ!! 自分達がどうなってもいいから俺を苦しめようとしているんですよ!!」
『返事は、ノーだ。フロリアン、貴様にやる施しなど存在はしない』
『恩を仇で返し、娘の心も体もボロボロにした男。そんな下衆に従うはずがないだろう』
『以上だフロリアン、貴様と話すことはもうない。もうそろそろ娘がザーダ――コホン。外出先から帰ってくるのでな、早急に立ち去ってもらおう』
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「ああエリア―ヌ!! その通りだ卿!! 刺し違える? 自惚れぬなよ!! 嫌という程に現実を思い知らせてやる!!」
マノンの存在を知りながら声をかけた、エリア―ヌ。娘の略奪を許すどころか、応援していたモリス。そんな二人の心も当然歪みきっており、早速醜き計画が動き出しました。
「エリア―ヌ様、あの男は――あの家は、あまりにも調子に乗っている。徹底的に絶望を刻み込んでやってください!」
「……当たり前ですわ。お父様、どちらか片方なんて生ぬるい! 全員の心と身体を、ズタボロにしましょう!」
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ミラレア侯爵家には、優秀な臣下が大勢存在しています。ですので着々と企みは進んでゆき、三日が経過。モリスの読み通り下準備は完了となり、いつでも実行できる状態なった――のですが、モリス達はゴーサインを出せなくってしまいます。
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「む? 緊急の報告だと? なんなのだ……?」
「ま、マノンっ! マノン・アリサリアがっ、ザーダンドの貴族と!! あのウィラルズ公爵家の嫡男であるアレクシとっ、婚約を行っているもようです!!」
ターゲットにしていた家は、隣国の筆頭公爵家と繋がっていたと知ったから。自分達より圧倒的に格が上の家と繋がっていたと、知ってしまったからです。
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