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第7話 調査 エミリアン視点

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「父上、ただいま戻りました」
「お疲れ様。……どうだった?」

 あれから5日後。屋敷に戻った俺を出迎えたのは、父上の神妙な顔だった。
 どうだった? それはもちろん、クリストフについてだ。

「結論から申し上げますと、『エリス』に関係している情報はひとつも手に入りませんでした」

 色々な人、色々な場所を調べてみたけれど、収穫はなし。関係がありそう、という可能性レベルの情報さえもなかった。

「ただそれは、俺の情報収集能力の未熟さ故ではありません。『エリス』に関する情報が存在していなかったのです」
「…………ふむ。存在しない、か」
「どうやら3年間の間に――隣国バーベリアスへの留学中に、何かしらが…………それも、とても大きな何かがあったものと思われます。その証拠に留学前後で、クリストフの言動が大きく変わっているんです」

 留学前の彼は頻繁にパーティーや舞踏会に出席していたのに、帰国後はどうしても出席しなければならないもの以外はすべて断っている。外出さえも、最低限しかしなくなっているようだった。

「…………なるほどな。となると、調査の舞台は隣国バーベリアスになるか」
「そうですね。準備が整い次第、バーベリアスに発ちます」
「……しかしそうなると、情報を集めにくくなってしまうな。隣国となるとこの国のようには――いや、そうでもないか」
「ええ、そうでもありません。バーベリアスには、ジャナヴァエス卿がいらっしゃりますからね」

 幸いにもあの国には、卿――侯爵家当主という、1か月前に懇意になった頼もしい味方が居る。
 あの方とは、ギブアンドテイクの関係。あちらにメリットがなければ一切手を貸してくれはしないけど、同じく幸いなことに良いプレゼント・・・・・・・を用意できる。アレがあれば、喜んで情報収集に協力してくださることだろう。

「すでに帰路でお手紙を送っていて、あのタイミングならば2日以内には到着するはずです。あの御方ならすぐ面会を許可してくださるでしょうし、明後日には出発できるはずです」

 その予想は、当たり。

《いつでも来てもらって構わない》

 とのお返事をいただいたためすぐさま荷物と共に馬車に乗り込み、俺は卿が待つお屋敷を目指したのだった。


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