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2 秘密のお手伝い(3)

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「『猫の大冒険』の内容も、最初から最後まで全部覚えています。いつも通り大丈夫ですよ」

 本の中身を振り返り終えた私は、レオンさんに笑顔をお返しした。
 あやかしさんのイタズラを元に戻すには、その本の内容を詳しく分かっていないといけないの。
 もし元の内容が分からなかったり忘れちゃってたりしたら、別の方法で1週間以上かけて『本のリセット』をしないといけない。その間に中身が変わってるって気付く人がいたら大騒ぎになっちゃうし、本のリセットをするには『猫の大冒険』の本を1冊破らないといけなっちゃうの。
 レオンさんもわたしも、どの本もとっても大切。なくなっちゃうのは嫌で悲しいことだから、早く安心できるようにお伝えしました。

「クイーンは流石ですね。いつも本当に助かります」
「本はどれも家族なので、わたしも協力できて嬉しいです。レオンさん、出発の準備をしましょう」
「ええ、そうですね。あちらまで移動をお願いいたします」

 お家から持って来てる荷物を預かってもらって、本の貸し出しカウンターの後ろ――カウンターの奥にある、本の形をした銀色のプレートがかかっているお部屋に入る。
 このお部屋は図書館の関係者さんしか入れない、ちょっと不思議なお部屋。
 本棚とかテーブルとかイスはなくって、真ん中で虹色にキラキラ輝いてる魔法陣があるだけなんだよ。

「……このページを開いて……。クイーン、お手をお願いします」
「はい。よろしくお願いします」

 そんなお部屋に入ったわたし達は魔法陣の上に立って、まずはレオンさんが1ページ目を開いた『猫の大冒険』の本を魔法陣に置く。そのあとわたしに向けてゆっくり手を出しだしてくれて、私はそれをしっかり握りました。

「ありがとうございます。では、始めますね。……『入書(にゅうしょ)』、開始」

 レオンさんがそう呟いたら、本とわたし達の体も虹色に輝き始めるようになる。
 これはね、レオンさんとわたしが本の中に――『猫の大冒険』のお話の中に、入り込む合図なの。
 あやかしさんのイタズラを直すには、お話の中に入って、おかしくなってる部分を……あやかしさんが変えた部分を見つけて、元に戻さないといけないんだ。

「クイーン。あと10秒後に移動します」
「はいっ」

 レオンさんはあやかしさんと人間のハーフだから、こんな不思議な力があるの。
 わたしはレオンさんにもう1回頷いて――そうしたら体がふわふわ浮いているような感覚になって、目の前が真っ白になったのでした。



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