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第15話 奇跡を掴む、そのために アリア視点(3)

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「アリア様……」
「はい、分かっております。わたしが結婚式で演奏をするのは無理、と仰りたいのですよね?」

 結婚式での演奏は、会場となる教会の関係者が――その教会に在籍する、シスターが行います。
 わたしは教会の関係者でもなければ、シスターでもない。まったくの他人に声がかかるはずがありませんよね。

「それは、伝統です……。いくら貴族であっても、許可は下りません……」
「そうですね。部外者が行ったというケースは、過去一度も耳にした覚えがありません」

 シスターでない者が教会の楽器を使って演奏をする。それは神の怒りに触れかねない、教会にとってはあまりにも論外な行為。
 たとえ公爵家が要望を出したとしても、何十何百億を用意しても、認められることはないでしょう。

「……承知でしたが――失礼致しました。提案者であるアリア様が存じ上げていないはずはありませんね」
「はい。ですので先ほど、可能性が生まれる、としか言えなかったのです」

 わたしの中には、手段はあります。
 ですがそれが通じるかは分からない。
 ですので、そうなっていたのです。

「……とはいえ、失敗するつもりはありません。教会の責任者の方にお会いして、お話しをさせていただき――許可をいただくつもりでいます」
「……アリアさま……」
「レイオン様だけが真実を知らないなんて――騙されて生きていき、一生を負えるなんて間違っています。あまりに残酷です」

 まるで、地獄。そこは天国の皮を被った地獄です。

「そのためにわたしは、動きます。恐らくそれしか、わたしの演奏を聴いていただく方法はないのですから」
「……あの日からいくら考えても、出てこなかった……。そう、でございますね……」
「希望へと繋がる唯一の道を進み、その先にある光を掴み取ります。……そのためにはさっき申し上げたように、情報が必要なのです。ゲインさん、お力をお貸しください」
「承知いたしました。喜んで行動させていただきます」

 色々と心配事が生まれるため、お父様やお母様には内緒。ゲインさんも心配してくださるので、この方にも本当は秘密にしたかった。
 ですがこの作戦は、ゲインさんが居てくださらないと始まりません。
 なのでお願いをさせていただき、それから2日後にお返事ありました。

「『フィネアーシャル教会』。そちらが式場だそうです」
「ありがとうございます。明日早速、フィネアーシャル教会を訪ねます」

 そうしてわたしは、適当な理由をつけて外出許可を得て――

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