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第6話 最悪の来訪 アリア視点(2)
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「そんな……。あの夜……そんなことが、起きていただなんて……」
レイオン様は、異変に気付いてくださっていた――。
その理由は分かりませんが何かしらが切っ掛けとなって違和感を覚え、巧みな誘導によって事実を聞き出していたのです。
それによって脅迫を知り、お優しいレイオン様はすぐに行動してくださった。わたしに事情を伝え関係者に謝罪をさせるために、まずはミータイアス伯爵邸に向かっていて……。
その日は、強い雨が降っていて……。
天候の影響で車輪が滑り、馬車が横転してしまって……。激しく動く車内で、お父様を庇われて……。その際にご自身が、頭を強く打ってしまい……。
その怪我は命に別状はなかったものの、その日からずっと眠ったままだなのそうです……。
「医者の話によると、回復する見込みは少ない。仮に回復したとしても、何かしらの後遺症が残り続ける可能性が高い。90パーセント以上の確率で、どこかしらに問題が発生するそうよ」
「………………。ま、まさか……。あなた様は……」
「ええそうよ。いつ目覚めるか分からない上に、運よく目覚めたとしてもそのレイオンは問題あり。そんな人間要らないわ」
…………。
そのようなことを、さらっと――僅かの罪悪感もなしに言えてしまえるだなんて。
この人は、人間ではありません。悪魔です。
「……ミータイアス様……。あなたは、酷い人です。最低の人間です……!!」
人様に向かって暴言を吐くのは言語道断。ひどい無礼です。
けれどそれでも、そう言わずには要られませんでした。
「ふぅん、そう。へ~ぇ。…………あらまぁっ、手が滑っちゃったわ!!」
「きゃあ!?」
突然左の頬を衝撃が襲い、その勢いでわたしは転んでしまいました。
手が滑ったなんて、真っ赤な嘘。ミータイス様は力を思い切り込めて、平手打ちをした……。
「格上であるわたくしに暴言を吐いたのに、それだけで済むんだもの。有り難く思いなさいよ」
「………………」
「なによその生意気な目は。ねえ、アリア・ニーラック。なにか文句あるの?」
「…………。いえ……。ありません」
言いたいことは、たくさんあります。でもそうすれば今度こそ、お父様やお母様に迷惑がかかってしまいます。
わたしは感情を飲み込み、首を左右に振りました。
「ふふ。ふふっ。弱者は無様よねぇ」
「………………」
「まあいいわ。用は済んだことだし――いけない、大事なことを忘れていたわ」
大事な、こと……?
「おじ様とおば様が、貴女と話しがしたいと言っていた――すぐに了承を得られないなら、明日自分たちが訪ねると言っていたわ。あっちには眠っているレイオンもいるんだし、行ってみたらいいんじゃないかしら?」
「……わたしと……はなしを、したい……」
「今度こそ、用は済んだから失礼するわ。……レイオンとお幸せに。ふふふ」
ミータイアス様は最後までやりたい放題で、嫌みたっぷりにウィンクをして去られました。
ですのでわたしは、すぐに部屋を出て――
レイオン様は、異変に気付いてくださっていた――。
その理由は分かりませんが何かしらが切っ掛けとなって違和感を覚え、巧みな誘導によって事実を聞き出していたのです。
それによって脅迫を知り、お優しいレイオン様はすぐに行動してくださった。わたしに事情を伝え関係者に謝罪をさせるために、まずはミータイアス伯爵邸に向かっていて……。
その日は、強い雨が降っていて……。
天候の影響で車輪が滑り、馬車が横転してしまって……。激しく動く車内で、お父様を庇われて……。その際にご自身が、頭を強く打ってしまい……。
その怪我は命に別状はなかったものの、その日からずっと眠ったままだなのそうです……。
「医者の話によると、回復する見込みは少ない。仮に回復したとしても、何かしらの後遺症が残り続ける可能性が高い。90パーセント以上の確率で、どこかしらに問題が発生するそうよ」
「………………。ま、まさか……。あなた様は……」
「ええそうよ。いつ目覚めるか分からない上に、運よく目覚めたとしてもそのレイオンは問題あり。そんな人間要らないわ」
…………。
そのようなことを、さらっと――僅かの罪悪感もなしに言えてしまえるだなんて。
この人は、人間ではありません。悪魔です。
「……ミータイアス様……。あなたは、酷い人です。最低の人間です……!!」
人様に向かって暴言を吐くのは言語道断。ひどい無礼です。
けれどそれでも、そう言わずには要られませんでした。
「ふぅん、そう。へ~ぇ。…………あらまぁっ、手が滑っちゃったわ!!」
「きゃあ!?」
突然左の頬を衝撃が襲い、その勢いでわたしは転んでしまいました。
手が滑ったなんて、真っ赤な嘘。ミータイス様は力を思い切り込めて、平手打ちをした……。
「格上であるわたくしに暴言を吐いたのに、それだけで済むんだもの。有り難く思いなさいよ」
「………………」
「なによその生意気な目は。ねえ、アリア・ニーラック。なにか文句あるの?」
「…………。いえ……。ありません」
言いたいことは、たくさんあります。でもそうすれば今度こそ、お父様やお母様に迷惑がかかってしまいます。
わたしは感情を飲み込み、首を左右に振りました。
「ふふ。ふふっ。弱者は無様よねぇ」
「………………」
「まあいいわ。用は済んだことだし――いけない、大事なことを忘れていたわ」
大事な、こと……?
「おじ様とおば様が、貴女と話しがしたいと言っていた――すぐに了承を得られないなら、明日自分たちが訪ねると言っていたわ。あっちには眠っているレイオンもいるんだし、行ってみたらいいんじゃないかしら?」
「……わたしと……はなしを、したい……」
「今度こそ、用は済んだから失礼するわ。……レイオンとお幸せに。ふふふ」
ミータイアス様は最後までやりたい放題で、嫌みたっぷりにウィンクをして去られました。
ですのでわたしは、すぐに部屋を出て――
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