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第4話 違和感 レイオン視点(4)

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「……アリア様も、僕を想ってくださっていたのですね。でもそれを、告げることはできなかった。そうしてしまうと、オルネラに――利害の一致で手を組んだ父上と母上も一緒に、『家』に攻撃を仕掛けられてしまうから」

 オルネラは伯爵令嬢で、子爵令嬢と結ばれるよりはずっと良い。そんな理由でこのふたりは、密かに反故にしていたのだった。

「ずっと、裏切られていただんてね。ふふ、滑稽な話ですよ」
「ひっ! わ、悪かった! 反省している!! 認める!! アリア・ニーラックとの婚約を認めるから許してくれ!! この通りだ!!」
「ごめんなさい!! 反省してるわっ! 許して!!」
「……父上、母上も、頭を下げる相手を間違えている。謝る相手は僕ではなく、アリア様ですよ」

 苦しめたこと。悲しませたこと。
 本人の目の前で、しっかりと謝罪をしてもらう。

「オルネラ、同じく共犯のオルネラの父親ゲインおじさんと#オルネラの母親__ノエルおばさん__も。関係者全員、しっかりと詫びてもらいますよ」
「も、もちろんだ――レイオン? どこへ行こうと――まさか今から行くつもりか!? すでに日は落ちている上に雨が強く降っているのだぞ!?」
「今から? 当たり前ですよ。それらは関係ありません。これからミータイアス邸へと向かい、あの3人を連れてニーラック子爵邸へと向かいます」

 今は午後7時前で、雨足や人数を揃える時間を鑑みると到着は深夜になる。そんな時間に訪ねるのは無礼の極みだけれど、脅迫をされているのなら一秒でも早く現状を伝えなければならない。
 そのためリストランテに謝罪を入れ、急いで馬車に乗り込み走らせた。

「……………………」
「……………………」
「……………………」

 リストランテを目指す時とは正反対の、静寂に満ちた世界。誰一人として声を出す者はおらず、静かなまま馬車はミータイアス邸へと続く道を進み――

 1時間半ほどが、経った頃だっただろうか。
 その静寂は不意に、激しく破られることになるのだった。

「ひひぃいぃぃぃぃぃぃぃん!!」
「う、うわああああああああああああああああああああああああああ!?」

 馬の悲鳴と御者の悲鳴。突如2つの大声が耳朶を打ち、その直後だった。車輪や車体が異常な大音を上げ、馬車が一気に右方向へと傾いたのだった。

((横転する!!))

 そう察した時にはすでに手遅れで、転倒を止めることも馬車からの脱出もできなかった。
 僕が、できたのは…………
「きゃああああああ!? っ、あなたぁああ!!」
「うわあああああああ!? ぎゃあああああ!!」
「危ない!!」

 横転した衝撃のせいで……。車内の壁に激しく頭を打ち付けそうになっている、父上を庇うことだけで――




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