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第11話 予想外の帰還 俯瞰視点(3)

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「お前達のせいで我々は職を失う羽目になったんだぞ!! どうしてくれるんだ!!」
「急にこんなことになって、すぐ次の働き先が見つかると思う!? どうしてくれるのよっっ!!」
「レオナルドっ、オレは忠告したはずだぞ・・・・・・・・・・・!! 慎重に賭けろってな!!」
「っっ! お前達の相手をする暇なんてないんだよ!! 黙れ――ひぃっ!」

 顔を真っ赤にして怒鳴り返していたレオナルドは――ロイクもシモーヌも、彼らがいる方向を向くやあっという間に血の気が引いてしまいました。
 その理由は、使用人達の表情。
 この場で殺されると感じる程の迫力が放たれていたため、三人は激しい身の危険を感じていたのです。

「どうしてくれるんだよ!! おい!!」
「……これまで散々偉そうにされて、ずっと我慢していたのに……。これなんて……! 許せないわ……!」
「レオナルド! ロイク! シモーヌ! まずは俺らの怒りを、味わってもらうぞ……! その身体でなあ!!」
(ひっ、こっ、ここにいたら殺される!! ち、父上母上っ!)
(ああっ、喧嘩をしている場合じゃない! 協力しよう!)
(ええっ! 協力してっ、逃げましょう!!)

 十数人に取り囲まれていて、単独では絶対に逃れられない。そう理解した三人は急いで頷き、一斉に走り出しました。

「ヤツら逃げるつもりだ! 逃がすな――」
「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」」」
「「「「「うああぁ!? しまった!!」」」」」」

 レオナルドとロイクとシモーヌが一丸となった、決死の体当たり。ソレによって玄関側にいた使用人達を吹っ飛ばし、

「「「うああああああああああああああああああああああああああああああ!!」」」

 そのまま三人は全力疾走で玄関を駆け抜け、お屋敷の外に脱出しました。

「やった! やったっ! 助かった――」
「まだだレオナルド!! 走るのをやめるな!! ヤツらは来るぞ!!」
「「「「「まちやがれぇええええええええええええええええええええええ!!」」」」」
「「「「「まちなさいよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」」」」

 使用人達がこのくらいで諦めるはずがなく、すぐさま全員が追いかけてくる。そのため今度は、捕まったらただでは済まない恐怖の鬼ごっこが始まました。

「しつこいヤツらめぇ! にっ、にげろおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「「「「「まてぇええええええええええええええええええええええええええええええ!!」」」」」
「まっ、まずい! 馬車を使おうとしているヤツらがいるぞ!! 追いつかれてしまう!」
「あなたっ、レオナルド!! 小道を使うわよ!! そこなら馬車は入れないわ!!」

 このような、絶体絶命の状況がもたらしたシモーヌの機転。

「「「「「絶対ににがすなああああああああああああああああああああああ!!」」」」」
「「「ぜったいにっ! にげきってやるううううううううううううううう!!」」」」」」
「くそっ! なんて速さだ! おっ、追い付けない!!」

 捕まったら死ぬという恐怖が生む、火事場のバカ力。
 それらによって、

「よしっ! ヤツらの姿がみえなくなったぞ!!」

 三人は無事、使用人達から逃れることに成功したのでした。

「「「やった! やったぞ!!」」」

 ですが、そんな風に喜んでいられるのは極僅かの間でした。
 なぜならば――
















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