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第5話 回想~2人の出会いと恋と、決意~ ベンジャミン視点(2)

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「ここは、俺が好きな場所なんですよ。肌を撫でる風が気持ちよく、嫌なことがあった時はよく来るんです」
「…………そのお気持ち、分かります。……風が優しくて、気持ちいいです」

 うちから馬車で三十分程の地点にある、『トーレスの丘』。そこに案内して景色と風に触れてもらったり。

「今日は、ケーキをお持ちしました。実は甘いものに目がなく、この店のオペラは大好物なのですよ」
「…………美味しい。スポンジもクリームも、とても美味しいです。…………こんなにも美味しいオペラがあるなんて、知りませんでした」
「それはよかった。ルーシー様、明日も持ってきますね」

 毎日限定20本と少ないものの、味は他の追随を許さない大好物。それをオープン3時間前から並んで購入し、食べていただいたり。

「えっ? ベンジャミン様の叔母様は、2度も婚約を解消されてしまったのですか……!?」
「かなりタチの悪い相手を、選んでしまう人なんですよ。そのためかなり苦労したそうですが、3度目で素敵な人と出逢えまして。今では幸せに過ごしていますよ」

 叔母上に許可を取り、婚約に関する色々な話をして、聞いてもらったり。
 俺は2週間毎日レーズリック伯爵邸を訪れ、彼女が知らなかったことでありものを、沢山知ってもらった。
 幸いにもルーシーはそれら全てに興味を持ってくれて、こちらが思っていた以上に有意義な時間にすることができた。なので――


「ベンジャミン様、貴方様が仰られていたことは事実でした」

「……私は今……。自分が知らなかったことを、もっともっと知っていきたいと思っています。生きて、色々なことを経験していきたいと思っています」


 そんな、嬉しい返事があった。
 そうしてルーシーは思い留まってくれて、俺はそれが心から嬉しかったから。以降も関係を持ち続け、色々な時を一緒に過ごしたのだった。
 だから、だったのだろう。やがて――

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