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第6話 2つ目の爆発音が聞こえた直後~怯えるロビンとイリア~ 俯瞰視点(1)
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「ロビン様!! 侵入者でございます!! 念のため避難をお願い致します!!」
門が吐く黒い煙を見て固まっていた、ロビンとイリア。そんな2人の後方にある扉が勢いよく開き、眼鏡をかけた金髪の青年が――従者ニックが、血相を変えて飛び込んできました。
「侵入者だと!? ウチにか!? このっ、堅牢な場所にか!?」
「はいっ! 侵入者はっ、白のローブを纏った仮面の男! 何かしらの手段で門番達を一蹴し、現在敷地内を縦断しているもようです!!」
「ひっ、独りだと!? 独りであんなことをしたのか!? どうやったんだ!?」
「あ、あり得ませんわ……。なんなんですの……!?」
彼らはまだ侵入者の正体や目的、特製の爆弾の存在を知りません。そのため瞬く間に顔が真っ青となり、仲良く頭を抱えてしまいました。
「そもそもっ、目的はなんだ!? 誰なんだ!? 何をしたいんだ――そっ、そんなことは今はどうでもいい!! はっ、早くオレ達を安全な場所に誘導しろ!! そのために来たんだよなっ!? さっ、さっさと案内しろ!!」
「は、はいっ。ロビン様イリア様!! こちらでございます!!」
そうしてロビンとイリアは自室を飛び出し、廊下の突き当りにある部屋に――万が一の際の避難先として用意されている部屋に飛び込みました。するとそこには、
「おぉ、ロビンにイリア嬢。無事で何よりだ」
この屋敷の主である父・ダニスがおり、そんな彼は余裕たっぷりで椅子に座っていました。
「ち、父上? あ、あれ……? どうしてそんなにも、落ち着かれているのですか?」
「正体不明の侵入者が、居るんです、わよね……? あ、あら……? わたくし達は、夢を見ていた……? 爆発なんて、なかった……?」
ロビンは勿論のことイリアも、ダニスは臆病、怖がりだと知っていました。そのためその態度が気になって何度も首を傾げていると、そんな2人に大笑いが返ってきました。
「決まっているだろう。たった今、全衛兵が捕縛に向かったからだ。多勢に無勢、これでは勝ち目なんてないのだよ」
セガデリズ家の衛兵は、ダニス自らが選抜した精鋭部隊。そのため彼には余裕があり、それを見て聞いて、ロビンとイリアの表情も和らぎます。
「そ、そうだった。そうでしたね! あの者達は有能でした!!」
「いくら相手が異様でも、優秀な方が20倍近く居るんですものっ。話になりませんわっ!」
「うむ、そういうことだ。……ロビン、イリア嬢も。ここでのんびりと、捕縛の報告を待つとしようじゃないか」
そうして室内は安心感で満たされ、ロビンとイリアの顔には笑顔が浮かぶようになりました。
ですが、その僅か2分後――。ロビンがとあることに気付き、部屋内の空気は再び一変してしまうことになるのでした。
「な、なあ……。大勢の悲鳴が、聞こえないか……?」
門が吐く黒い煙を見て固まっていた、ロビンとイリア。そんな2人の後方にある扉が勢いよく開き、眼鏡をかけた金髪の青年が――従者ニックが、血相を変えて飛び込んできました。
「侵入者だと!? ウチにか!? このっ、堅牢な場所にか!?」
「はいっ! 侵入者はっ、白のローブを纏った仮面の男! 何かしらの手段で門番達を一蹴し、現在敷地内を縦断しているもようです!!」
「ひっ、独りだと!? 独りであんなことをしたのか!? どうやったんだ!?」
「あ、あり得ませんわ……。なんなんですの……!?」
彼らはまだ侵入者の正体や目的、特製の爆弾の存在を知りません。そのため瞬く間に顔が真っ青となり、仲良く頭を抱えてしまいました。
「そもそもっ、目的はなんだ!? 誰なんだ!? 何をしたいんだ――そっ、そんなことは今はどうでもいい!! はっ、早くオレ達を安全な場所に誘導しろ!! そのために来たんだよなっ!? さっ、さっさと案内しろ!!」
「は、はいっ。ロビン様イリア様!! こちらでございます!!」
そうしてロビンとイリアは自室を飛び出し、廊下の突き当りにある部屋に――万が一の際の避難先として用意されている部屋に飛び込みました。するとそこには、
「おぉ、ロビンにイリア嬢。無事で何よりだ」
この屋敷の主である父・ダニスがおり、そんな彼は余裕たっぷりで椅子に座っていました。
「ち、父上? あ、あれ……? どうしてそんなにも、落ち着かれているのですか?」
「正体不明の侵入者が、居るんです、わよね……? あ、あら……? わたくし達は、夢を見ていた……? 爆発なんて、なかった……?」
ロビンは勿論のことイリアも、ダニスは臆病、怖がりだと知っていました。そのためその態度が気になって何度も首を傾げていると、そんな2人に大笑いが返ってきました。
「決まっているだろう。たった今、全衛兵が捕縛に向かったからだ。多勢に無勢、これでは勝ち目なんてないのだよ」
セガデリズ家の衛兵は、ダニス自らが選抜した精鋭部隊。そのため彼には余裕があり、それを見て聞いて、ロビンとイリアの表情も和らぎます。
「そ、そうだった。そうでしたね! あの者達は有能でした!!」
「いくら相手が異様でも、優秀な方が20倍近く居るんですものっ。話になりませんわっ!」
「うむ、そういうことだ。……ロビン、イリア嬢も。ここでのんびりと、捕縛の報告を待つとしようじゃないか」
そうして室内は安心感で満たされ、ロビンとイリアの顔には笑顔が浮かぶようになりました。
ですが、その僅か2分後――。ロビンがとあることに気付き、部屋内の空気は再び一変してしまうことになるのでした。
「な、なあ……。大勢の悲鳴が、聞こえないか……?」
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