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第1話 クール系令息テオの、もう一つの姿 俯瞰視点
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「わぁ……っ。見てみて……っ。スロス様よ……っ」
「朝からお目にかかれるだなんて、ラッキー……っ。今日は良い日になりそう……っ!」
貴族の令嬢令息のみが在籍を許される、『王立タイモンス学院』。そんな学び舎で圧倒的支持を受ける者、それがテオ・スロス。
「「「スロス元会長~っ。おはようございますっ!」」」
「「「スロス様っ。おはようございます!」」」
「ああ、おはよう。今日もお互い、タイモンスの名に恥じない学院生活を送ろう」
頭脳明晰、成績優秀、容姿端麗。背中で束ねられた美しい銀髪と常にポーカーフェイスな美形が相まって、つけられた異名は『氷の貴公子』。
どんなトラブルが起こっても、淡々と適切に処理をする。告白を申し込む時でさえもクールを崩さなかった、いつも余裕をたっぷりと備えた美少年。卒業を控え生徒会長を引退してもなお、現生徒会長よりも高い影響力を持つ美男子。
それが、テオ・スロス。
――これが、テオの外での姿――。
そしてこれが、家の中での――婚約者ジュリエットと一緒の時の、テオの姿です。
「っっ。テオ様、この紅茶とても美味しいです……っ。こんなにもフルーティーな紅茶は、初めて飲みました……っ」
「ゆうべ運よく、珍しい茶葉が手に入ったんだ。喜んでもらえてよかったよ」
というのは、嘘。彼は紅茶が好きなジュリエットに喜んでもらうために、国を跨いで東奔西走。いつものようにその目と舌で吟味するべく自ら動き、徹夜をして4つ隣の国まで買い付けに行っていたのです。
――テオはジュリエットとの出逢いによって、心の中でビッグバンが発生――。
その時よりジュリエットが絡むと彼女にしか目がいかなくなり、ジュリエットの為ならなんでもしたくなるようになっていたのです。
そのためこういう事があったり、
「テオ様!? テオ様っ!? お待ちください!!」
「ん? どうしたテオの従者。何を驚いている?」
「な、何をって……。テオ様こそ、なにをなさっているのですか!?」
「もうじき、俺達は学舎を卒業するだろう? ようやくジュリエットへの卒業プレゼントが決まり、添える花の手配をしようとしていたのだ。これの何がおかしいのだ?」
「……そちらの行動自体は、どこもおかしくはありません……。おかしいのは、その量でございます……。テオ様は、何本用意するおつもりなのですか……?」
「数か? 数は、ジュリエットを表した白ユリを100000本だな」
「失礼ですがアンタアホですか!? そんな数用意できませんし『添える』の範疇を越えていますよ!?」
「しかしだな。学院の卒業、卒業式は、人生で1度きりのもの。少々特別にしたいんだ」
「ソレは『少々』ではありませんから!! ジュリエット様だって困りますからね!? テオ様的には『かなり控えめ』にしないと全員が唖然となりますからね!? この件は――卒業式が絡むすべての問題は、必ず旦那様達と相談して決めてくださいね!?」
特別な記念日に異様な盛り上げ方をしようとして、従者に――その後家族に全力で止められたり。
テオはとにかく、ジュリエットが大好き。傍目には全く分かりませんが、滅茶苦茶溺愛していたのです。
そのためマリィは、そこまでの好意があるとは知らず――。
彼女はやがて『ジュリエットへの大きな愛』によって、あっさりと一蹴される羽目になるのでした。
「朝からお目にかかれるだなんて、ラッキー……っ。今日は良い日になりそう……っ!」
貴族の令嬢令息のみが在籍を許される、『王立タイモンス学院』。そんな学び舎で圧倒的支持を受ける者、それがテオ・スロス。
「「「スロス元会長~っ。おはようございますっ!」」」
「「「スロス様っ。おはようございます!」」」
「ああ、おはよう。今日もお互い、タイモンスの名に恥じない学院生活を送ろう」
頭脳明晰、成績優秀、容姿端麗。背中で束ねられた美しい銀髪と常にポーカーフェイスな美形が相まって、つけられた異名は『氷の貴公子』。
どんなトラブルが起こっても、淡々と適切に処理をする。告白を申し込む時でさえもクールを崩さなかった、いつも余裕をたっぷりと備えた美少年。卒業を控え生徒会長を引退してもなお、現生徒会長よりも高い影響力を持つ美男子。
それが、テオ・スロス。
――これが、テオの外での姿――。
そしてこれが、家の中での――婚約者ジュリエットと一緒の時の、テオの姿です。
「っっ。テオ様、この紅茶とても美味しいです……っ。こんなにもフルーティーな紅茶は、初めて飲みました……っ」
「ゆうべ運よく、珍しい茶葉が手に入ったんだ。喜んでもらえてよかったよ」
というのは、嘘。彼は紅茶が好きなジュリエットに喜んでもらうために、国を跨いで東奔西走。いつものようにその目と舌で吟味するべく自ら動き、徹夜をして4つ隣の国まで買い付けに行っていたのです。
――テオはジュリエットとの出逢いによって、心の中でビッグバンが発生――。
その時よりジュリエットが絡むと彼女にしか目がいかなくなり、ジュリエットの為ならなんでもしたくなるようになっていたのです。
そのためこういう事があったり、
「テオ様!? テオ様っ!? お待ちください!!」
「ん? どうしたテオの従者。何を驚いている?」
「な、何をって……。テオ様こそ、なにをなさっているのですか!?」
「もうじき、俺達は学舎を卒業するだろう? ようやくジュリエットへの卒業プレゼントが決まり、添える花の手配をしようとしていたのだ。これの何がおかしいのだ?」
「……そちらの行動自体は、どこもおかしくはありません……。おかしいのは、その量でございます……。テオ様は、何本用意するおつもりなのですか……?」
「数か? 数は、ジュリエットを表した白ユリを100000本だな」
「失礼ですがアンタアホですか!? そんな数用意できませんし『添える』の範疇を越えていますよ!?」
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「ソレは『少々』ではありませんから!! ジュリエット様だって困りますからね!? テオ様的には『かなり控えめ』にしないと全員が唖然となりますからね!? この件は――卒業式が絡むすべての問題は、必ず旦那様達と相談して決めてくださいね!?」
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テオはとにかく、ジュリエットが大好き。傍目には全く分かりませんが、滅茶苦茶溺愛していたのです。
そのためマリィは、そこまでの好意があるとは知らず――。
彼女はやがて『ジュリエットへの大きな愛』によって、あっさりと一蹴される羽目になるのでした。
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