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第11話 今日は返って来る日 ~ジャゾンの場合 前編~ ジャゾン視点(2)
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「出発前、命令が浮かんだと言っていただろう? あれは嘘なんだよ」
こんな場所で、何をさせるつもりなんだ……? こんな場所でやることに、意味なんてあるのか……?
そんなことを考えていると、信じられない言葉が聞こえてきた。
…………。うそ……?
「現場に着いてから説明した方が分かりやすい、というのも嘘。スムーズにココに――人の気配がまったくない場所に運ぶために、吐いた嘘なんだよ」
「……え……? え…………? なぜ……そんなにも、嘘を……?」
「決まっているだろう? 誰にも見られずにお前を殺すためだよ」
!!!
俺の前にいたエクトルの護衛が……。ナイフを抜いた……。
「お前をここで刺殺し、埋める。そうすれば誰にも気付かれない。よしんば気付かれたとしても、僕の関与を疑われることはない。証拠隠滅の完成だ」
「そ、そんな……。殺さないって、言った……! 言ったのに……。約束、したのに……」
「僕はそんなことは言っていない。『拷問はしない』と言っただけだ」
『……良いことを思い付いた。その手伝いをするというのなら、特別に拷問はやめてやってもいいぞ』。
あの時口にした台詞を繰り返し……。エクトルは、ニヤリと笑った。
「シルヴィを何度も苦しめておいて、あのくらいで罪が帳消しになると思ったのか? 消えるはずがないだろ?」
「……………………」
「僕は約束は守る男。約束してしまったから残念ながら拷問はできないが、それ以外はなんでもできる。できる中で最も苦しむ方法、『殺害』を実行するんだよ」
「……………………」
「命乞いしても無駄だ。最期に言いたい言葉があれば聞いてやる。喋りたかったら喋っていいぞ」
……本気だ……。脅しではなくて、本気……。
コイツはここで、俺を殺す……。このままでは俺はコイツに、殺される……!!
「……………………」
「いつまで経ってもだんまりってことは、ないらしい。……お前達、やってくれ。アイツをめった刺しにしてく――」
「うっ、うわああああああああああああああああああああああああああああ!!」
俺は力任せに地面を蹴りっ、森を目指し走り出す!
油断したな!! 護衛に取り囲ませなかったから逃げるチャンスができてるんだよっ!
「しまったっ! 追え! 追うんだ!!」
今更気付いても遅い! 今更追わせても遅い!
この距離と森があったら、逃げ切れる!
((うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!))
声で悟られないように心の中で絶叫しながら走り、右へ左へジグザグに突き進む。
弾けそうな心臓や重くなってくる脚に鞭を打ちながらひた走り、走って、走って、走って、走って、走って――
「や、やった! ヤツら撒いた!!」
――森を抜けて近くの街に辿り着いた俺は、高らかに拳を振り上げる。
ここまで来れば、ヤツらは見つけられない。
「……ははは、はははは……! た、助かった……」
もう、限界だ。俺は崩れるように座り込み――
こんな場所で、何をさせるつもりなんだ……? こんな場所でやることに、意味なんてあるのか……?
そんなことを考えていると、信じられない言葉が聞こえてきた。
…………。うそ……?
「現場に着いてから説明した方が分かりやすい、というのも嘘。スムーズにココに――人の気配がまったくない場所に運ぶために、吐いた嘘なんだよ」
「……え……? え…………? なぜ……そんなにも、嘘を……?」
「決まっているだろう? 誰にも見られずにお前を殺すためだよ」
!!!
俺の前にいたエクトルの護衛が……。ナイフを抜いた……。
「お前をここで刺殺し、埋める。そうすれば誰にも気付かれない。よしんば気付かれたとしても、僕の関与を疑われることはない。証拠隠滅の完成だ」
「そ、そんな……。殺さないって、言った……! 言ったのに……。約束、したのに……」
「僕はそんなことは言っていない。『拷問はしない』と言っただけだ」
『……良いことを思い付いた。その手伝いをするというのなら、特別に拷問はやめてやってもいいぞ』。
あの時口にした台詞を繰り返し……。エクトルは、ニヤリと笑った。
「シルヴィを何度も苦しめておいて、あのくらいで罪が帳消しになると思ったのか? 消えるはずがないだろ?」
「……………………」
「僕は約束は守る男。約束してしまったから残念ながら拷問はできないが、それ以外はなんでもできる。できる中で最も苦しむ方法、『殺害』を実行するんだよ」
「……………………」
「命乞いしても無駄だ。最期に言いたい言葉があれば聞いてやる。喋りたかったら喋っていいぞ」
……本気だ……。脅しではなくて、本気……。
コイツはここで、俺を殺す……。このままでは俺はコイツに、殺される……!!
「……………………」
「いつまで経ってもだんまりってことは、ないらしい。……お前達、やってくれ。アイツをめった刺しにしてく――」
「うっ、うわああああああああああああああああああああああああああああ!!」
俺は力任せに地面を蹴りっ、森を目指し走り出す!
油断したな!! 護衛に取り囲ませなかったから逃げるチャンスができてるんだよっ!
「しまったっ! 追え! 追うんだ!!」
今更気付いても遅い! 今更追わせても遅い!
この距離と森があったら、逃げ切れる!
((うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!))
声で悟られないように心の中で絶叫しながら走り、右へ左へジグザグに突き進む。
弾けそうな心臓や重くなってくる脚に鞭を打ちながらひた走り、走って、走って、走って、走って、走って――
「や、やった! ヤツら撒いた!!」
――森を抜けて近くの街に辿り着いた俺は、高らかに拳を振り上げる。
ここまで来れば、ヤツらは見つけられない。
「……ははは、はははは……! た、助かった……」
もう、限界だ。俺は崩れるように座り込み――
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