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「………………アイツが何を仕掛けてくるかは、この段階では予想できないからな。とりあえず戻るか」
俺は鼻から息を抜いて引き返し、二人のもとに着くと一部始終を説明する。
普段なら不安にさせないよう内緒にする案件なのだが、相手は鬼畜中の鬼畜だからな。どんな状況であっても、育美が騙されないようにしておかなければならないのだ。
「――はい、これがさっきの出来事。四空統希は、要注意人物なんだよ」
「うっわ、あの人ってそんな人間だったんだ……。サイテー……」
「……優君、ジブンどうなるんだろ……。一緒にいられる、よね?」
「ああ、そこは保証する。どんなことをしてきても、思い通りにはさせないよ」
人生は、一度きりだ。防げる不幸――人為的な不幸は、何が何でも防ぐさ。
「よっしゃ、ならばアタシも力を貸すよっ。こんなの放っておけないもん!」
「南川さん、ありがとう。援護は助かるよ」
「ん、とっても助かりますだよ。ありがとー」
「いえいえ~。困った時はお互い様ですて」
南川さんは小さく手を振り、気持ちの良い笑みを作ってくれる。
一人は自己中人間で、もう一人は心優しき人間。改めて、十人十色だと感じずにはいられないな。
「男女が一緒にいられるトコでは、花島くんがガード。トイレとか女子限定のトコでは、アタシがガードする。こうしとけば安心安全でしょっ?」
「そうだね。そういう時は、育美をよろしくお願いしますっス」
「あいよ任されたっ。このアタシが責任を持って、可愛い妹ちゃんを――」
「土水育美くん。急なんだけど、君にお話があります」
彼女の台詞を遮った、今日3人目の闖入者。それは、脂肪だらけの肉体をスーツに詰め込んだ中年男性。この人はここ、霊能師育成高等学校の校長だ。
俺は鼻から息を抜いて引き返し、二人のもとに着くと一部始終を説明する。
普段なら不安にさせないよう内緒にする案件なのだが、相手は鬼畜中の鬼畜だからな。どんな状況であっても、育美が騙されないようにしておかなければならないのだ。
「――はい、これがさっきの出来事。四空統希は、要注意人物なんだよ」
「うっわ、あの人ってそんな人間だったんだ……。サイテー……」
「……優君、ジブンどうなるんだろ……。一緒にいられる、よね?」
「ああ、そこは保証する。どんなことをしてきても、思い通りにはさせないよ」
人生は、一度きりだ。防げる不幸――人為的な不幸は、何が何でも防ぐさ。
「よっしゃ、ならばアタシも力を貸すよっ。こんなの放っておけないもん!」
「南川さん、ありがとう。援護は助かるよ」
「ん、とっても助かりますだよ。ありがとー」
「いえいえ~。困った時はお互い様ですて」
南川さんは小さく手を振り、気持ちの良い笑みを作ってくれる。
一人は自己中人間で、もう一人は心優しき人間。改めて、十人十色だと感じずにはいられないな。
「男女が一緒にいられるトコでは、花島くんがガード。トイレとか女子限定のトコでは、アタシがガードする。こうしとけば安心安全でしょっ?」
「そうだね。そういう時は、育美をよろしくお願いしますっス」
「あいよ任されたっ。このアタシが責任を持って、可愛い妹ちゃんを――」
「土水育美くん。急なんだけど、君にお話があります」
彼女の台詞を遮った、今日3人目の闖入者。それは、脂肪だらけの肉体をスーツに詰め込んだ中年男性。この人はここ、霊能師育成高等学校の校長だ。
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