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第14話 家族3人の代償 俯瞰視点(2)

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「っ、なっ、何を安心しておるのだ! 安心している場合じゃないだろうが!」
「えっ、ええ! そうだわっ!」
「アンタ何者よ!! 何をしに来たのよっ!!」
「……俺は、精霊王セレスティン。貴様らに、とあることを伝えに来た」

 ラシェルを保護していること。セゼール達によって消された心を、無事に取り戻したこと。あんな真似をした3人に、激しい怒りを覚えていること。まずは一つ目の『伝える』を行い、そうすれば――3人は一斉に、目を剥きました。

「な、なんてことだ……! 我々は、嵌められていただなんて……!!」
「陛下――いいえっ、ジスラン! 許せないわ……!!」
「精霊王様っ! わたし達は騙されなければあの子にあんな真似をしてません! 悪いのはあの男ジスランっ、むしろわたし達も被害者なんです!! 怒りをぶつけるならあっちにぶつけてください!! わたし達も一緒にぶつけさせてください!!」

 自分達が色々するのは構わないけれど、自分達がされるのは嫌だ。絶対に許せない。そんな考えを持つ3人は声を荒らげ、それに対してセレスティンは嘆息を返しました。

「そうだな。あの嘘がなければ、貴様らは黒魔術をかけなかった。だがそれは、遅かれ早かれ起きていた。仮にソレがなかったとしてもいずれ必ず、貴様らは似た行動を取っていたのだよ」

 黒魔術の『儀式』に必要なものは、触媒、必要に応じた呪文、そして『非情な心』。想う気持ちが僅かでもあるのであればラシェルへのアレは発動しておらず、以上の理由でセレスティンは断言をしていました。

「故に俺は――俺達は、憤りを覚えている。その代償を、貴様らにも払わせたいと思っている」
「そ、そんな……。ち、ちがう……っ」
「わたくしたちは、そんなことを……。思っていませんわ……」
「そっ、そうよっ。黒魔術に非常な心なんて、要らないっ! アンタの――精霊王様の勘違い、ですよっ!」
「俺は黒魔術を熟知し、知り尽くしている。したがって紛れもない事実であり、だからこそ――。払わせたい気持ちはあるが、俺達は何もしない」

 ふとセレスティンに嘲りの色が表れ、そんな彼は静かに奥を――3人の真後ろを、見つめるようになりました。
 そのため、

「「「???」」」

 3人は首を傾げ、その視線を追って振り返りました。すると程なく、そこには魔法陣が――セゼール達3人がかつて血で描いた魔法陣と同様のものが浮かび上がって、


「モライニ キタゾ」


 そこから、どす黒いオーラが溢れ出し――。大きな鎌を持ったガイコツが、ぬるりと現れ出たのでした。

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