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第9話 最悪の再会 俯瞰視点(1)
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「「「……………………」」」
「また会えて嬉しいよ。今日は最高の日だね」
あれから、およそ1日半後。イヴェットとレジスとゾエは人気(ひとけ)のない森の中にいて、目の前にはストロベリーブロンドの男性が――キックスが立っていました。
「テランス殿には、心から感謝をしなければならないよ。できれば直接お礼を申し上げたいところだけれど、そうしてしまうと逆に迷惑がかかるかな。……まあいい。そちらについては、コレの処理を済ませたあとで考えよう」
コレ。それを指すのは、もちろん三人。
キックスの怒りを含んだ視線が、イヴェット達を射抜きました。
「イヴェット、レジス、ゾエ、根回しをする手間が省けて助かるよ。自ら死亡を演出したことで、法や周囲を気にせず罰を与えられるのだからね」
「ぁ、ぁぁ……」「ぁぁ……」「ぁぁ、ぁぁぁ……」
馬車の落下事故。三人はあの日、死を演出しました。
その細工は逃走には役立ちましたが、自分達の首を絞める形で返ってきてしまいました。
「10年前にレーナを傷付け、その10年後に再び傷付けようとした。……大切な人への蛮行、万死に値する。その身体でしっかりと償ってもらうよ」
テランスが、パチンと指を鳴らす。そうすると三人の前に三人の男が現れ、それぞれがナイフを手にしました。
「!? まっ、まさか!!」「ひい!?」「ナイフ!?」
「なにを驚いているんだい? 万死にと言っているのだから、そうするに決まっているだろう? ソレで殺すんだよ」
顔面蒼白の三人を順番に見やり、怪しく光る白刃を一瞥して、また三人を順番に見据える。
その間中イヴェット達は泣きながらブンブンと首を振りますが、キックスが許すはずがありません。彼がもう一度指をパチンと鳴らすと、男達はナイフの投擲準備に入りました。
「お前達はレーナの『顔』を傷付けたのだから、傷付けられるは当然『顔』。これからお前達は顔のど真ん中でナイフを受け止めて、絶命するのさ」
「ひぃぃぃ……」「ひぁぁ……:」「ひぃ……」
飛んでくるナイフ。命中した痛み。激痛で苦しみ、もがいて死ぬ。
一瞬の間に頭の中をそのイメージが駆け巡り、彼らにとってはすっかりお馴染みとなった出来事――三人仲良く、無様に失禁します。
「や、やめ……。たすけ、て……」「たす、けて……」「やめ……。やめぇぇ……」
「お前達がそう言うと、ますますやりたくなる。……さて、そろそろ始めようか。最高のショーをね!」
「「「御意」」」
その言葉を合図にして、三人の男は淡々と得物を投げました。
「「「ひぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
よく磨かれた、切れ味鋭いナイフ。一撃で獲物を仕留めることの出来る凶器は、真っすぐ三人へと飛んでいって――
「また会えて嬉しいよ。今日は最高の日だね」
あれから、およそ1日半後。イヴェットとレジスとゾエは人気(ひとけ)のない森の中にいて、目の前にはストロベリーブロンドの男性が――キックスが立っていました。
「テランス殿には、心から感謝をしなければならないよ。できれば直接お礼を申し上げたいところだけれど、そうしてしまうと逆に迷惑がかかるかな。……まあいい。そちらについては、コレの処理を済ませたあとで考えよう」
コレ。それを指すのは、もちろん三人。
キックスの怒りを含んだ視線が、イヴェット達を射抜きました。
「イヴェット、レジス、ゾエ、根回しをする手間が省けて助かるよ。自ら死亡を演出したことで、法や周囲を気にせず罰を与えられるのだからね」
「ぁ、ぁぁ……」「ぁぁ……」「ぁぁ、ぁぁぁ……」
馬車の落下事故。三人はあの日、死を演出しました。
その細工は逃走には役立ちましたが、自分達の首を絞める形で返ってきてしまいました。
「10年前にレーナを傷付け、その10年後に再び傷付けようとした。……大切な人への蛮行、万死に値する。その身体でしっかりと償ってもらうよ」
テランスが、パチンと指を鳴らす。そうすると三人の前に三人の男が現れ、それぞれがナイフを手にしました。
「!? まっ、まさか!!」「ひい!?」「ナイフ!?」
「なにを驚いているんだい? 万死にと言っているのだから、そうするに決まっているだろう? ソレで殺すんだよ」
顔面蒼白の三人を順番に見やり、怪しく光る白刃を一瞥して、また三人を順番に見据える。
その間中イヴェット達は泣きながらブンブンと首を振りますが、キックスが許すはずがありません。彼がもう一度指をパチンと鳴らすと、男達はナイフの投擲準備に入りました。
「お前達はレーナの『顔』を傷付けたのだから、傷付けられるは当然『顔』。これからお前達は顔のど真ん中でナイフを受け止めて、絶命するのさ」
「ひぃぃぃ……」「ひぁぁ……:」「ひぃ……」
飛んでくるナイフ。命中した痛み。激痛で苦しみ、もがいて死ぬ。
一瞬の間に頭の中をそのイメージが駆け巡り、彼らにとってはすっかりお馴染みとなった出来事――三人仲良く、無様に失禁します。
「や、やめ……。たすけ、て……」「たす、けて……」「やめ……。やめぇぇ……」
「お前達がそう言うと、ますますやりたくなる。……さて、そろそろ始めようか。最高のショーをね!」
「「「御意」」」
その言葉を合図にして、三人の男は淡々と得物を投げました。
「「「ひぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
よく磨かれた、切れ味鋭いナイフ。一撃で獲物を仕留めることの出来る凶器は、真っすぐ三人へと飛んでいって――
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