婚約者でマウントを取るのはやめなさい。幼馴染の忠告を無視した結果

エピローグ その後その２ 俯瞰視点（３）

「…………致し方ない。お前達を公務執行妨害で捕縛する！」

　フロリアーヌ達に近づいた男達はみな訓練を積んでおり、全員が腕を使って受け止めていました。ですがそれでも暴力に変わりはなく、

「きゃあああ!?」
「ぐあああ!?」
「ぐお!?」
「ぁがぁ!?」

　フロリアーヌ。マイク。ジャック。リュカ。４人は一瞬して腕を捩じられ、後ろ手に拘束されてしまいました。

「はっ、離しなさい!!　コイツは、ずっと憎んでいた相手なの!!　邪魔するなあ!!」
「離しやがれ!!　邪魔をするな!!」
「終わった後でならいくらでも付き合ってやる！　邪魔せず待っていろ!!」
「わたしには高貴なる血が流れているのだぞ!!　敬え邪魔をするな!!」
「…………貴様らにはもう、自由はなくなっている。お前達」
「「「「はっ！」」」」

　リーダー格の合図で４人は引っ張られてゆき、乱暴に馬車へと放り込まれてしまいました。

「やめなさい！　やめろ!!　じゃまするなぁあああああ!!」
「はなせええええええええええええ!!」
「やめろと言っているだろうがぁあああああ!!」
「汚い手できやすく触れるな!!　かいほうしろおおおおおおおお!!」

　車内に押し込まれた４人は暴れ喚きますが、聞き入れられるはずもなく――。４人を乗せた馬車は発進し、この出来事によって４人の人生は更に激変することとなりました。

　――隣国にやって来た、元貴族の平民――。

　それが、

　――隣国にやって来た、元貴族の罪人――。

　となり、４人には前科がついてしまいました。
　ですので自由の身となった彼らを待っているのは、もっと厳しい生活。更に条件が悪くタチの悪い仕事にしか就けなくなり、

「ぁぁぁぁ……。ぁぁぁぁぁ……」
「ぁぁ……。ぁぁぁ……」

「うぁああ……。ぁあ……」
「ぁぁぁぁぁ……。ぁぁ……」

　フロリアーヌ。マイク。
　ジャック。リュカ。

　４人は今日もうな垂れ、かつて自分がバカにしていた者達よりも遥かに酷い毎日を、命ある限り続ける羽目になったのでした――。