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第3話 提示と要求 俯瞰視点(3)
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「ネズザルク様。貴方様はフロリアーヌ様を信じていらしたので、つらいことではあると思うのですが……。この件を公にした上で、厳しく対応していただきたく思います」
にやり。心の中で笑みを浮かべたミレーユは、用意してた言葉を――仲間と共に考えた言葉を、口にしてゆきます。
「あのような性格をお持ちの方は、きっと『告げ口した』とお怒りになります。それだけで済めばいいのですが、何かしらの攻撃をされてしまう可能性もありますので……。ネズザルク様のお目が届かない場所でそういったことをできないように、真実を言い広めていただきたいのでございます」
「ああ、そうだね。あのようなことを平然と行うような人間は、そういう真似も平気でするだろう」
よかった――。うまく誤魔化せたぞ――。ジャックはそう思いながら神妙な面持ちを作り、「分かった」と続けました。
「これからソレに最適な状況を考え、必ず実行すると約束しよう。これがその証だ」
そしてミレーユが持参していた紙に自身の名前とサインを書き、誓うというメッセージを添えました。
「こういったことが発覚した以上、父上とも色々と相談しなければならない。とはいえ放ってはおけない問題だから、できるだけ早く動くようにするよ」
「はい、ネズザルク様。お待ちしております」
「済まないね。そのお詫びに、というのは変なのだけれど……。その際には君達関係者にも同席をしてもらい、目の前できっちり対応する――不安の芽が摘まれたと分かるようにするつもりだ。必ず安心できるようにするから、期待していて欲しい」
「痛み入ります。よろしく、お願い致します」
言質も取りましたし、直筆の誓約書モドキも手に入りました。ですのでもう『共犯者』に用はないため、ミレーユは感謝するフリをしてネズザルク邸を去ったのでした。
そして――
〇〇
((予想以上に、上手くいったわ。これならこのあとも、ネズザルク様は思い通りに動いてくれそうね)
馬車の中でミレーユは手ごたえを喜び、
〇〇
((ふう、無関係だと上手く誤魔化せたようだな。……こうなった以上、仕方がないな。フロリアーヌ、悪く思うなよ))
同時刻。ジャックは安堵の息を吐き、父親のいる執務室を目指し始めたのでした――。
にやり。心の中で笑みを浮かべたミレーユは、用意してた言葉を――仲間と共に考えた言葉を、口にしてゆきます。
「あのような性格をお持ちの方は、きっと『告げ口した』とお怒りになります。それだけで済めばいいのですが、何かしらの攻撃をされてしまう可能性もありますので……。ネズザルク様のお目が届かない場所でそういったことをできないように、真実を言い広めていただきたいのでございます」
「ああ、そうだね。あのようなことを平然と行うような人間は、そういう真似も平気でするだろう」
よかった――。うまく誤魔化せたぞ――。ジャックはそう思いながら神妙な面持ちを作り、「分かった」と続けました。
「これからソレに最適な状況を考え、必ず実行すると約束しよう。これがその証だ」
そしてミレーユが持参していた紙に自身の名前とサインを書き、誓うというメッセージを添えました。
「こういったことが発覚した以上、父上とも色々と相談しなければならない。とはいえ放ってはおけない問題だから、できるだけ早く動くようにするよ」
「はい、ネズザルク様。お待ちしております」
「済まないね。そのお詫びに、というのは変なのだけれど……。その際には君達関係者にも同席をしてもらい、目の前できっちり対応する――不安の芽が摘まれたと分かるようにするつもりだ。必ず安心できるようにするから、期待していて欲しい」
「痛み入ります。よろしく、お願い致します」
言質も取りましたし、直筆の誓約書モドキも手に入りました。ですのでもう『共犯者』に用はないため、ミレーユは感謝するフリをしてネズザルク邸を去ったのでした。
そして――
〇〇
((予想以上に、上手くいったわ。これならこのあとも、ネズザルク様は思い通りに動いてくれそうね)
馬車の中でミレーユは手ごたえを喜び、
〇〇
((ふう、無関係だと上手く誤魔化せたようだな。……こうなった以上、仕方がないな。フロリアーヌ、悪く思うなよ))
同時刻。ジャックは安堵の息を吐き、父親のいる執務室を目指し始めたのでした――。
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