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第11話 だって、わたくしの逆鱗に触れたんですもの(1)
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「…………あら、でも……。そういえば、このあいだ……」
危なかった。これなら私は学院に残れるし、被害者のひとりだから平然と社交界にも出られる。アリーヌもヘクターもいい仕事をしてくれたわ、ラッキー――。オドレイが心の中でニンマリとして、大喜びをしていた時でした。
再び不意に、特大のラッキーをもたらしたアリーヌが首を傾けました。
「あ、アリーヌさま……? ど、どうなされたのですか……?」
「あれは、一週間前でしたわね。音楽室でヘクター様に協力を持ち掛けられた際、『このネックレスを使った計画は、なんとオドレイがヒントをくれたんだ』と嬉しそうに笑っていたのを思い出しましたわ。あの方に嫌々従っているのなら、こんな風に率先して作戦を進めようとはしませんわね」
偶然思い出した――というのは真っ赤な嘘ですが、その言葉は嘘ではありません。ここでもオドレイはヘクターを誘導していて、彼がこの計画を思い付くようにしていたのです。
なので――
「しまっ」
――『やってしまった』。実際に口にしているためヘクターはたまらず声を出してしまい、もちろんアリーヌはその言葉をを逃しません。
「あら? あらあら? オドレイ様が共犯になれば多少は罪が軽減するというのに、『しまっ』。……どうやらヘクター様は嘘をついて、最愛の人を庇っていたみたいですわね」
「ちっ、ちがっ! 違うっっ‼ しょっ、証拠はあるのか!? 僕達が共犯だという証拠はあるのかっ!? ないだろう!?」
「そのリアクション、そのお顔が、なによりの証拠ですわ」
あっという間に真っ青になり、顎から滴れ落ちるほど汗まみれになった顔。演技ではないと瞭然な顔面を指さし、アリーヌははぁとため息をつきました。
そして――
危なかった。これなら私は学院に残れるし、被害者のひとりだから平然と社交界にも出られる。アリーヌもヘクターもいい仕事をしてくれたわ、ラッキー――。オドレイが心の中でニンマリとして、大喜びをしていた時でした。
再び不意に、特大のラッキーをもたらしたアリーヌが首を傾けました。
「あ、アリーヌさま……? ど、どうなされたのですか……?」
「あれは、一週間前でしたわね。音楽室でヘクター様に協力を持ち掛けられた際、『このネックレスを使った計画は、なんとオドレイがヒントをくれたんだ』と嬉しそうに笑っていたのを思い出しましたわ。あの方に嫌々従っているのなら、こんな風に率先して作戦を進めようとはしませんわね」
偶然思い出した――というのは真っ赤な嘘ですが、その言葉は嘘ではありません。ここでもオドレイはヘクターを誘導していて、彼がこの計画を思い付くようにしていたのです。
なので――
「しまっ」
――『やってしまった』。実際に口にしているためヘクターはたまらず声を出してしまい、もちろんアリーヌはその言葉をを逃しません。
「あら? あらあら? オドレイ様が共犯になれば多少は罪が軽減するというのに、『しまっ』。……どうやらヘクター様は嘘をついて、最愛の人を庇っていたみたいですわね」
「ちっ、ちがっ! 違うっっ‼ しょっ、証拠はあるのか!? 僕達が共犯だという証拠はあるのかっ!? ないだろう!?」
「そのリアクション、そのお顔が、なによりの証拠ですわ」
あっという間に真っ青になり、顎から滴れ落ちるほど汗まみれになった顔。演技ではないと瞭然な顔面を指さし、アリーヌははぁとため息をつきました。
そして――
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