何でも欲しがる妹が、私が愛している人を奪うと言い出しました。でもその方を愛しているのは、私ではなく怖い侯爵令嬢様ですよ?

柚木ゆず

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第12話 翌日~テデファリゼ邸内での2つの反応~ ザラ視点(2)

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「お、オーガスティン様……? ど、どうなされたのですか……?」「お、オーガスティン様……?」
「オーガスティン、さま……? どう、なされたのでしょうか……?」

 な、なに……? なんですの、この反応は……?
 なぜこんなにも、怒っていらっしゃるんですの……?

「「「? ??? オーガスティン様……?」」」
「…………卿、夫人、ザラ。貴様らは、何を考えている……! どういった目的で、こんな捏造を行っているんだ……!?」

 突然の激昂に戸惑っていたわたくし達は、すぐ更に戸惑う羽目になってしまった。
 ここにあるこの手紙が……。ねつ、ぞう……!?

「俺の言葉に頷いた、その僅か2日後に離れようとする……。お前達は、何かを企んでいるな……? 目的はなんだ……!? 敵対貴族の差し金だったのか!?」
「めぇっ、滅相もございませぬぅ!! さしがねぇっ、などてぇはぎょざいませぬ!!」
「ぎょぉざません!! ぎょざいぃません!!」
「わたくひたちはそのような存在ではございませんんわっ! ちぎゃいます!!」
「その慌てよう……。どうやら、そうだったらしいな……!!」

 違うっ! わたくし達にそんな役目はないっ! これはっ、恐ろしい勘違いをされて狼狽えているだけ!
 なのに、オーガスティン様はそう確信されて……。

「「「ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」

 わたくし達は、あっという間に……。テデファリゼ家の人々によって、拘束されてしまった……!!

「ちぃっ、俺はまんまと嵌められていたらしいな……っ。だがもう、好き勝手にはさせんぞ! 徹底的に調べ上げて洗いざらい吐かせてやる。卿、夫人、ザラ、覚悟しろよ……? 俺に喧嘩を売ったこと、後悔させてやるからな……!!」
「おっ、お待ちくださいませぇぇっ!! 嵌める、そんなつもりは微塵もございませぬ!! この子っ、ザラはオーガスティン様を想っておりますのですううう!! 裏のある行動ではまったくなくっ!! お慕いするっ、その心しかありませぬっ!!」
「……ほぉ、じゃあなぜこうなるんだ? 俺を愛している者がご丁寧な捏造をして突然関係を絶とうとする。こいつはどう説明するんだ!?」

 そ、その、説明……。捏造は、ともかくとして……。関係解消の、理由……。
 そ、それは……。それは………。





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