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第10話 お昼休み~恐怖の音楽室~ ザラ視点
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「さて、聞かせてもらいましょうか。……ねえ。オーガスティンとの関係は、しっかりと絶ったのよね?」
「………………………………。はい、マリー様……。本日オーガスティン様に、校舎の前でお会いした際に……。その意思をお伝えし、しっかりと関係を絶ちました……」
あれから約4時間後の、お昼休み。別館にある音楽室を訪れているわたくしは、声を震わせながら頷いた。
だって! 光りのない目が10センチくらいの距離から覗き込んでくるんですもの!!
真実を耐えたら、きっとわたくしはこの場で酷いことになってしまうから……。無理でした、なんて言えるはずがありませんわ!!
「そう、ちゃんと約束を守ったのね。……あそこまで手を出していたから、滅茶苦茶にしてあげたかったのだけどねぇ。レナエル様に免じて許してあげるわ」
「あっ、ありがとうございますっ! ありがとうございますっ!!」
一生懸命嬉しそうな顔を作って感謝を伝えるけど、内心は真逆。まったく喜べる状況ではなくって、わたくしは酷く焦っていた。
((この嘘がバレたら、今度こそ終わってしまう……。だから…………。マリー様がオーガスティン様に接触するまでに、ちゃんと関係を絶たなければならない……))
でも……。
『ならばあの日忌々しくも拒否しはしないし、何よりだ。俺はそんな間抜けな間違いを犯すような男じゃない。したがって間違っているのは、ザラ、お前だ』
意味不明なことになっていて、練りに練った作戦は使えなくて……。なのにオーガスティン様はわたくしを強く愛してくださっているせいで、ああいった理由以外では解消させることができない……。
つまり、そうできる方法がまったく見当たらなくて……。
現実逃避したくなるくらい、追い詰められているんですの……。
((で、でも……。現実逃避しても、時間は進んでしまって……。何もしなければ、明日マリー様にバレてしまう……))
今日一緒に過ごしたかったけど、ザンネン。明日こそはオーガスティンとランチをしましょう――。って、狂気たっぷりに笑ってるんですもの……!! 血を混ぜたテリーヌとか、恐ろしい独り言が聞こえてきてるんですもの……!!
明日までになんとかしないと、今度こそわたくしは死ぬ……。
((死ぬのは嫌ですわっ!! だ、だからっ!!))
またお父様とお母様に助けを求めて、一緒に解決策を見つけるしかない!!
なのでわたくしはっ、即座に早退をしてっ! 大急ぎでお屋敷に戻ったのでした!!
「………………………………。はい、マリー様……。本日オーガスティン様に、校舎の前でお会いした際に……。その意思をお伝えし、しっかりと関係を絶ちました……」
あれから約4時間後の、お昼休み。別館にある音楽室を訪れているわたくしは、声を震わせながら頷いた。
だって! 光りのない目が10センチくらいの距離から覗き込んでくるんですもの!!
真実を耐えたら、きっとわたくしはこの場で酷いことになってしまうから……。無理でした、なんて言えるはずがありませんわ!!
「そう、ちゃんと約束を守ったのね。……あそこまで手を出していたから、滅茶苦茶にしてあげたかったのだけどねぇ。レナエル様に免じて許してあげるわ」
「あっ、ありがとうございますっ! ありがとうございますっ!!」
一生懸命嬉しそうな顔を作って感謝を伝えるけど、内心は真逆。まったく喜べる状況ではなくって、わたくしは酷く焦っていた。
((この嘘がバレたら、今度こそ終わってしまう……。だから…………。マリー様がオーガスティン様に接触するまでに、ちゃんと関係を絶たなければならない……))
でも……。
『ならばあの日忌々しくも拒否しはしないし、何よりだ。俺はそんな間抜けな間違いを犯すような男じゃない。したがって間違っているのは、ザラ、お前だ』
意味不明なことになっていて、練りに練った作戦は使えなくて……。なのにオーガスティン様はわたくしを強く愛してくださっているせいで、ああいった理由以外では解消させることができない……。
つまり、そうできる方法がまったく見当たらなくて……。
現実逃避したくなるくらい、追い詰められているんですの……。
((で、でも……。現実逃避しても、時間は進んでしまって……。何もしなければ、明日マリー様にバレてしまう……))
今日一緒に過ごしたかったけど、ザンネン。明日こそはオーガスティンとランチをしましょう――。って、狂気たっぷりに笑ってるんですもの……!! 血を混ぜたテリーヌとか、恐ろしい独り言が聞こえてきてるんですもの……!!
明日までになんとかしないと、今度こそわたくしは死ぬ……。
((死ぬのは嫌ですわっ!! だ、だからっ!!))
またお父様とお母様に助けを求めて、一緒に解決策を見つけるしかない!!
なのでわたくしはっ、即座に早退をしてっ! 大急ぎでお屋敷に戻ったのでした!!
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